平ねぎ数理工学研究所ブログ

意志は固く頭は柔らかく

よく揺れる新社屋

2018-06-28 16:47:01 | 耐震構造

私の職場は新社屋(2015年竣工)の4階にある。
新社屋はよく揺れる。
大型車が通ったけでも大きく揺れる。
新社屋は5階建ての安普請鉄骨ラーメン構造だ。
鉄骨ラーメン構造なので軽量でかつ剛性が小さい。
また、減衰も小さい。だからよく揺れる。

先日、広島県北部でM4.9の地震が起きた。





K-NET広島(HRS013)における観測記録を以下に示す。 

■ 震度 

計測震度=1.83 震度2 

■ 加速度波形

 

高々震度2なのに船酔いしたような気持ちの悪さを感じた。
私は、2001年芸予地震時に自宅のマンションで200gal程度の揺れを経験したが、
恐怖や気持ちの悪さはなかった。
小さな揺れなのに気持ち悪くなったのは、新社屋の固有周期が自宅マンションの固有周期よりも長く、
私がこれまであまり経験したことのない周期帯の揺れであったためだろう。
私は短周期の揺れはなんともないが、長周期の揺れはダメなのだ。
子供のころ、バスに乗るといつもきまって酔っていた。 

■ 加速度応答スペクトル 

加速度応答スペクトルを示す。
減衰定数はh=0.005としている。
RC構造の減衰定数はh=0.03程度であるが、鉄骨ラーメン構造はRC構造に比べ一桁小さいので、h=0.005とした。

図をみると、1次、2次、3次の卓越周期がはっきり現れている。
広島市は干拓・埋立を繰返して造られた人工地盤であり、地層がほぼ水平に堆積しているので明瞭な卓越周期が現れる。
大型車が通ったけでも揺れるのは、建物の固有周期と地盤の卓越周期が合っているからだろう。

K-NET広島の地盤の1次卓越周期は概ね0.9secである。
建物直下の地盤がK-NET広島の地盤と同じであると仮定し、建物の固有周期と地盤の卓越周期が合っているとすると、
建物の1次固有周期は0.9secになる。 

つぎに、加振周波数と人体の応答について見てみよう。
ISO(2631-1974)によると、水平振動に対しては、1~2Hz(0.5~1sec)の範囲で人体は最もよく応答する。
だから、この周期帯にある新社屋は私にとって辛い職場環境なのだ。


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