平ねぎ数理工学研究所ブログ

意志は固く頭は柔らかく

地球温暖化-CO2主因説を疑う(17)

2010-02-25 23:18:55 | 地球温暖化

 

昨日の続きです。
IPCC2007の日本版(気候変動2007:統合報告書、政策決定者向け要約)の7ページにつぎのような訳文がありました。

引用ここから***

SRES排出シナリオの範囲では、今後20年間に、10年当たり約0.2℃の割合で気温が上昇すると予測される。
たとえ、全ての温室効果ガス及びエーロゾルの濃度が2000年の水準で一定に保たれたとしても、10年当たり0.1℃のさらなる昇温が予想されるであろう。
その後の気温予測は、個別の排出シナリオに依存性が増すようになる。{3.2}

ここまで***

問題の箇所はつぎです。

たとえ、全ての温室効果ガス及びエーロゾルの濃度が2000年の水準で一定に保たれたとしても、10年当たり0.1℃のさらなる昇温が予想されるであろう。

この文は2通りの解釈ができると思います。
①温室効果ガス等が2000年の水準で一定であれば、気温上昇率は0.1℃/10年になる。
②温室効果ガス等が2000年の水準で一定であれば、つぎの10年間の気温上昇は0.1℃である。

素直に読めば①の解釈が正しいように思われますが、前後の文脈のつながりが分かりにくいので、②のようにも読み取れます。

あまり良い翻訳じゃないですね。
原文を調べてみましょう。

For the next two decades a warming of about 0.2°C per decade is projected for a range of SRES emissions scenarios.
Even if the concentrations of all GHGs and aerosols had been kept constant at year 2000 levels,a further warming of about 0.1°C per decade would be expected.
Afterwards, temperature projections increasingly depend on specific emissions scenarios. {3.2}

ありゃ、原文を読んでもよく分かりません。もともと原文が分かりにくかったのですね。
センテンスの順序を入れ替えて、このようにしたらどうでしょう。

For the next two decades a warming of about 0.2°C per decade is projected for a range of SRES emissions scenarios.
Afterwards, temperature projections increasingly depend on specific emissions scenarios.
Even if the concentrations of all GHGs and aerosols had been kept constant at year 2000 levels,a further warming of about 0.1°C per decade would be expected.{3.2}

和訳はこうなります。

SRES排出シナリオの範囲では、今後20年間に、10年当たり約0.2℃の割合で気温が上昇すると予測される。
その後の気温予測は、個別の排出シナリオに依存性が増すようになる。
たとえ、全ての温室効果ガス及びエーロゾルの濃度が2000年の水準で一定に保たれたとしても、10年当たり0.1℃のさらなる昇温が予想されるであろう。{3.2}

これだとよく分かります。つまりこういうことです。
①どの排出シナリオを選んでも、今後20年間は約0.2℃/10年の気温上昇になる。20年以降はそれぞれの排出シナリオの特性に従う。
②2000年の水準で一定に保たれたとしても、0.1℃/10年(=1.0℃/100年)の気温上昇が予想される。

①は、グラフに示されている気温上昇特性とよくあっています。
②は、縦軸の目盛りが一桁違います。1.0℃/100年でなければならないのに、0.1℃/100年になっています。

このように見ていくと、やっぱりIPCCは、グラフ表示を間違えているのではないでしょうか。
皆さんはどう思います?

参考URL
http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th/syr_spm.pdf(気候変動2007:統合報告書、政策決定者向け要約)
http://www.ipcc.ch/publications_and_data/ar4/syr/en/spms3.html(IPCC Fourth Assessment Report:Climate Change 2007)


地球温暖化-CO2主因説を疑う(16)

2010-02-24 21:16:42 | 地球温暖化

図は6種類の排出シナリオに対する世界平均気温の上昇量の予測を示したものです。

この図にはおかしな点があります。黄色の線を見てください。この線はCO2の濃度が2000年時のまま変わらないとした場合の予測です。
2000年までの100年間の世界平均気温の上昇率は概ね0.7℃/100年ですが、2000年以降CO2濃度が増えないと仮定すれば、
上昇率が急激に減少して0.1℃/100年~0.2℃/100年になるというのです。

これは考えにくいです。例えて言えば、時速70kmで走行していた車が急減速し、時速10km~20kmになるようなものです。
急ブレーキをかけて車に逆向きの力を作用させなければ、このようなことは起きません。地球の気温についても同じことが言えます。
強い外的強制力によって地球を冷やさない限り不可能だと思います。

そもそも、上昇率0.1℃/100年は小さすぎる気がします。0.1℃/100年など実質的には変化なしです。ほとんど誤差の範囲です。

このグラフ、どこか間違っているのではないでしょうか。

参考URL
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/GWP/Vol7/pdf/1-2.pdf(地球温暖化予測情報 第7巻)
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/an_wld.htm(世界の年平均気温の平年差の経年変化(1891~2009年))


地球温暖化-CO2主因説を疑う(15)

2010-02-23 01:09:57 | 地球温暖化
画像は世界の年平均気温の推移図です。CO2主因説を唱える研究者たちは、20世紀後半の気温上昇は、人為起源のCO2増加を考慮しなければ説明できないと主張します。しかし、先入観なしに素直な心でこの図を見れば、人為起源のCO2の影響の入る余地はどこにもないことが解かると思います。確かに、20世紀の後半(1980年以降)で上昇していますが、数十年規模の変動成分の位相がプラス側に振れていることで説明できます。

1890年から2010年までの右肩上がりの上昇は一見直線状に見えますが、これは観測期間が120年しかないためです。長周期の変動の中の120年間を切り取って示しているためにそのように見えるだけです。アラスカ大学の赤祖父教授は、この直線状の気温の上昇は、17世紀の小氷河期からの回復であると説明しています。

17世紀の小氷河期を長周期変動の極小期であると見なし、現在と同じように温暖な時代であったといわれている中世を長周期変動の極大期と見なすと、直線状に見える変動の周期は概ね800年~1000年です。地球の気温変動は、さまざまな長さの周期成分の重ね合せで表されるので、地球の温暖化や寒冷化を議論する際には、長い時間スパンで考えることが大切です。

CO2主因説を唱える研究者たちは1980年以降の気温上昇に固執します。それは、彼らが行っている数値シミュレーションが19世紀後半から現在までの極めて短い期間を解析の対象にしているため、短周期の変動しか取扱うことができないからです。解析の継続時間をTとすると、Tを超える周期の変動を解析することはできません。彼らの数値シミュレーションには100年を超える変動成分の寄与は含まれていないのです。

19世紀後半から現在までの範囲内であれば、何とか辻褄を合わせることができるでしょう。しかし範囲外のことについては何も言えません。100年後の予想など論外です。

参考URL
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/an_wld.html
(世界の年平均気温の平年差の経年変化(1891~2009年))

山本良一氏の異様さ

2010-02-19 18:37:06 | 地球温暖化

山本良一氏による「環境エグゼクティブセミナー基調講演」に関する記事の一部を引用します。
http://kankyomedia.jp/news/20091224_7627.html(環境メディア)
引用ここから***

山本氏の基調講演の内容は、次の2つに集約される。
1つは「自然科学的には、あと20年で温暖化地獄の入り口に到達する」(山本氏)こと、
そしてもう1つは「社会科学的に見れば、あと5年で『ポイント・オブ・ノー・リターン』が来る」(同)
ということだ。

いま世界は急激に低炭素経済に向けて動き始めているが、「それも地獄だ」と山本氏は語る。
なぜなら、「これまでの産業構造を変換しなければならないからだ。
それには膨大な投資が必要で、その過程で大量の失業者が発生する」からである。
では、いま低炭素革命を起こさなかったらどうなるか。
「温暖化による損害や適用コストがほぼ無限大になる」。
つまり、「灼熱地獄に落ちて無限大の損害や適用コストを払い続けるのがいいのか、
30~40年かかるけれども低炭素革命を断行するのがいいのか、2つに1つの選択を迫られている」のだ。
山本氏はこのように畳み掛けるように話し、
「進むも地獄、退くのも地獄だったら、無間地獄はやめにして、
猛烈な勢いでグリーン産業を成長させて問題を解決する。
この方向にしか解決策はない」と断言した。

ここまで***

この人は少しおかしいです。
未来のことなんか分かりっこないのに、断定的な物言いをするし、
まともな科学者なら絶対に口にしないような単語を平気で使っています。
例えば、「灼熱地獄に落ちて無限大の損害や…」「進むも地獄、退くのも地獄…」など。
私は地獄という場所に行ったことがないので灼熱地獄に落ちることがどんなに苦しいのか解りません。
また、無限大の損害というものがどれだけの損害か想像できません。
はっきり言ってしまうと、山本氏は精神の病を患っているのではないでしょうか。
意味不明な言葉の羅列、思考の飛躍、根拠のない確信、気分の異常な高揚、破滅妄想、等の症状をもとに素人診断すれば、
おそらく躁病の類ではないかと思われます。


朝青龍、引退(残念)

2010-02-07 23:25:43 | ニュース
朝青龍の処分について思うと、怒りと悔しさがこみ上げてくる。やり方があまりにも酷い。残忍かつ残虐である。突然呼び出され、弁明の機会を与えられないまま裁判が行われ、あれよあれよと言う間に死刑が宣告され刑が執行された。たとえて言えばそういうことだ。朝青龍は相撲界の功労者である。白鵬が横綱に昇進するまで一人で相撲界を牽引してきた。その多大な功績に対する仕打ちがこれである。恩を仇で返す蛮行である。
朝青龍は、記者会見で「土俵に上れば鬼になる」と語っていたが、これが彼の真骨頂だ。これが彼の魅力なのだ。白鵬は確かに強いが、大仏が相撲をとっているようで面白くもなんともない。相撲界は、品格というガラクタと引換えにかけがえのない宝を失った。
ところで、昨日のことだが、私は中国新聞社に抗議の電話をした。朝青龍を中傷する事実無根の記事がコラムと社説に書かれていたので、訂正記事の掲載を求めたのだ。結果は、予想通り相手にされず失敗に終わった。これについては、別の機会に書く。