心に響く歌

君とゆく道の果たての遠白く夕暮れてなほ光あるらし

（皇后陛下）

忘年会の想い出

社会人になって初めての忘年会。
誰か二次会に誘ってくれないかなと思っていたところに、酔って上機嫌になったK課長が声を掛けてきた。
「おい、今からわしの店に行くのだが、お前も来るか」。
私は待ってましたとばかりに、「はい！行きます」と元気よく答えた。
すると、周りにいた同僚が、「おれも」「わしも」と、集まってきて、総勢5～6人になった。
K課長はたじろいだように見えた。
しかし、そこは太っ腹のK課長、「よーし、まとめて面倒見よう。皆ついて来い」と言ったかと思うと、勢いよく雑踏の中を歩き始めた。
K課長は気短な性格で、いつも速足で歩くのだが、その時はいつにも増して速かった。
狭い路地を右に曲がり左に曲がり、短い脚で猛烈に歩く。
私たちは、遅れてはならじと、必死についていく。
K課長はますますスピード上げ駆け足になった。
そして、一瞬目を離した隙に人ごみの中に消えていった。