平ねぎ数理工学研究所ブログ

意志は固く頭は柔らかく

京都議定書…

2008-03-31 21:59:16 | 地球温暖化
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080330-00000057-mai-pol
(<京都議定書>4月1日から「約束期間」…危うい6%削減)

引用ここから---

先進国に温室効果ガスの排出削減を義務付けた京都議定書の「約束(対象)期間」が4月1日、日本でも始まる。日本は2012年度までの5年間平均で90年度比6%削減を義務付けられたが、対策は遅れ、排出は逆に増えた。福田康夫首相は「我が国の取り組みの真剣さが伝わらなければ発言も説得力を持たない」と話しており、北海道洞爺湖サミットなど温暖化交渉で主導権を握るためにも、6%削減は至上命令だ。-以下略-

ここまで---

>北海道洞爺湖サミットなど温暖化交渉で主導権を握るためにも…

福田さん、お願いだ
サミットでは黙っててくれ。
余計なことは一切言うな。
主導権など握るな。
温室効果ガス対策レースは世界の最後尾あたりを走っていればいい。
いずれ逆回りのレースになる。
その時はトップランナーだ。

プロの眼から見た耐震偽装事件(8)

2008-03-30 23:39:37 | 耐震偽装
現行の耐震設計は、2段階の検討を行うことになっています。

<1次設計:中規模地震動に対する検討>
建物の耐用年数中に一度ないし数度経験する程度の、比較的頻度の多い中規模地震動に対しては、ほとんど損傷は生じない。

<2次設計:大規模地震動に対する検討>
きわめてまれに遭遇するかもしれない大規模地震動に対しては、建物に多少の損傷が生じてもやむを得ない。しかし建物の倒壊、破損その他派生する災害により、人身に危険の及ぶようなことがあってはならない。

耐震偽装事件で耐震性の評価に使われたQu/Qunは、大規模地震動の検討に用いる指標です。
QuとQunの意味はつぎのとおりです。
Quは建物の耐力です(保有水平耐力)。
Qunは大規模地震動によって建物に生じる力です(必要保有水平耐力)。
QuがQunよりも大きければ(Qu≧Qun、またはQu/Qun≧1.0)、建物の耐力が大規模地震動の揺れの力を上回っているので建物は倒れないことになります。
ところが、QuもQunも相当いい加減な代物なのです。つまり、両者とも精度が悪いのです。いい加減なものをいい加減なもので割ると、出てきた答えは当然いい加減なものです。
いい加減な指標を基にこの建物は安全だとか危険だとかが判定されて、危険と判定されたら最後、行政措置が執行され退去命令そして解体です。たまったものじゃありません。

そもそも、Qu/Qunは設計のための指標です。設計目的に限定して用いられるべきであって、倒壊可能性の判定に用いるのは使用目的を逸脱しています。
「Qu/Qun≧1.0ならば安全である」は、精度は別にして建前上一応は言えます。けれども、Qu/Qun<1.0なら危険だとは言えません。例えば、Qu/Qun=1.0の建物と、Qu/Qun=0.5を比べると、Qu/Qun=1.0の建物の方がより安全であるということは言えるが、Qu/Qun=0.5が危険だとは一概に言えないし、ましてや倒壊する可能性が高いなどとは絶対に言えません。

「震度5強で倒壊のおそれあり」は荒唐無稽です。 Qu/Qunは大規模地震動に対する指標であって、中規模地震動に適用するためのものではないからです。だから、Qu/Qunがいくら小さくても、「震度5強程度の中規模地震でも倒壊または大規模な破損のおそれがある」などとは言えないのです。

プロの眼から見た耐震偽装事件(7)

2008-03-28 23:59:37 | 耐震偽装
耐震偽装物件「グランドステージ東向島」は、「Qu/Qunが0.31しかなく、震度5強の地震動で倒壊のおそれあり」とされ、使用禁止命令が執行された物件です。
http://gshm.qee.jp/(グランドステージ東向島公式ホームページ)
ところが、『建築知識』(2006年4月号)が行った検討内容を見ると、この物件はそんなに悪くないのです。
具体的にいうと、Qu/Qunは、X方向に対して1階から11階まで一定値0.557、Y方向に対しては、1階、2階=0.578、3階~10階=0.795、11階=0.690です。強度は不足していますがバランスがとれています。一カ所に損傷が集中しにくくなっています。
感心したのは、破壊形態が梁崩壊型になっている点です。つまり、塑性ヒンジが梁端にできるのです。梁崩壊型は理想的な破壊パターンで、粘りが期待できます。
たしかに強度は不足していますが靱性があるため、大規模地震動でもそう簡単には倒壊しないのではないかと思います。
姉歯元建築士は(この物件に関しては)できるだけ被害が少なくなるような偽装をしているな、という印象です。

大木惇夫の詩

2008-03-27 22:19:49 | 短歌・詩
春は別れの季節です。別れといえばこの詩を思い出します。

この夕べ相離(さか)るとも
かがやかし南十字を
いつの夜か、また共に見ん、
言ふなかれ、君よ、わかれを、
見よ、空と水うつところ
黙々と雲は行き雲はゆけるを

この詩は、大木惇夫の「戦友別盃の歌」です。
大木惇夫は「大地讃頌」の作詞者としても有名です。
http://homepage1.nifty.com/mrjsroom/midi/words/daichi.htm

プロの眼から見た耐震偽装事件(6)

2008-03-26 22:29:25 | 耐震偽装
『[総力特集]マスコミ報道では知られざる真実』(建築知識2006年5月号)からの引用です。

引用ここから---

【国土交通省にきく「Qu/Qun<0.5」の根拠、Qu/Qun<0.5だと倒壊する!?】

国土交通省が定めた耐震強度の安全指標値にはさまざまな疑問の声が飛び交った。いたずらに一人歩きしている数値について、編集部では疑問点を直接国土交通省にぶつけてみた。取材は住宅局建設指導課担当官が応じてくれた。

○編集部 危険な分譲マンションの安全指標値の設定根拠について教えてください。

●建築指導課(以下、指導課) まず誤解を解きたいのは、Qu/Qun(保有水平耐力/必要保有水平耐力)が0.5未満だと今にも倒壊するような報道のされ方もあったようですが、そのような表現は一度も使っていないと思います。

○編集部 Qu/Qun<0.5が設定されるまでの過程について教えてください。

●指導課 今回の事件発覚当初に確認された姉歯秀次元一級建築士による偽装物件については、一次設計の段階で偽装が行われていました。特に、偽装発覚当初の竣工済み14物件では大胆な差替え偽装が行われており、緊急に再計算することを要しました。このため、姉歯元建築士が行っていた方法と同じく許容応力度等計算によって再計算を行ったところ、Qu/Qunが0.3程度の非常に低い数値のものがあるという結果がでたのです。当然、建築基準法上Qu/Qunが1.0以上でなければいけないわけですが、それが0.3だったらどうなのかというようなケースは今回が初めてであり、また、その場合にどう判断するかということについては確定していない状況でした。
ご存じのように、現在の建築基準法における耐震基準の考え方は昭和56年に導入されたものであり、中規模地震に対してはほとんど損傷を生じず極めてまれにしか発生しない地震に対しては、人命に危害を及ぼすような倒壊などを生じないことを目標とし、それぞれ一次設計、二次設計で検証することとしています。このような考え方は、平成12年の建築基準法令改正においても変わっていません。
したがいまして、今回のように、Qu/Qunが建築基準法の耐震基準を大きく満たしていないものは、大規模地震に対して倒壊などの可能性が高いと言えると思いますが、中規模地震に対する倒壊などの可能性についてオーソライズされた検証方法はありませんでした。
こうしたなかで、今回の物件は、二次設計の前提となる一次設計さえ満たしていなかったことを考慮し、さらに、二次設計のQu/Qunが建築基準法で定める値の半分にも満たないものに関しては、大規模地震で倒壊の可能性が高いのみならず、震度5強程度の中規模地震でも倒壊または大規模な破損のおそれがあると判断し、それを目安とすることについて関係地方公共団体と申し合わせがなされました。ですから、「必ず倒壊する」という意味ではありませんし、あくまでも「震度5強程度で倒壊するおそれがある」という表現だったと思います。

引用終 ---

>二次設計のQu/Qunが建築基準法で定める値の半分にも満たないものに関しては、大規模地震で倒壊の可能性が高いのみならず、震度5強程度の中規模地震でも倒壊または大規模な破損のおそれがあると判断し、…

話になりません。
判断の根拠を訊かれると困るはずです。
何の根拠もないからです。
どのように考えれば、このようなことが言えるのでしょうか。
(続く)

プロの眼から見た耐震偽装事件(5)

2008-03-25 23:41:58 | 耐震偽装
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080325-00000059-jij-soci
(有罪判決に不機嫌な表情=「間違いだ、控訴して」-直立不動、口への字・小嶋被告)

引用ここから---

「被告人を懲役3年に処する。5年間刑の執行を猶予する」。詐欺罪に問われた「ヒューザー」元社長小嶋進被告(54)の25日の判決公判。執行猶予付きの有罪判決に対し、小嶋被告は口をへの字に曲げ、不機嫌そうな表情を見せた。
 閉廷後には弁護団に「判決は間違いだ。控訴して正してください」と話したという。
 小嶋被告は午前10時、東京地裁の104号法廷に入廷した。濃紺のスーツ、ネクタイに白いワイシャツ姿。白髪が交じった髪はきれいに刈り込まれていた。
 毛利晴光裁判長が促し、小嶋被告は証言台の前に。「小嶋進でしたね」。裁判長に尋ねられ、同被告は「はい」と返答。有罪宣告を直立不動で聞いた。
 「無責任極まりない」「エンドユーザー軽視」。無罪主張が退けられ、指弾する裁判長の声が響く。約1時間に及ぶ判決理由朗読の間、被告人席に着いた小嶋被告は手を前に組み、鋭い目つきで前を見据えた。不機嫌そうな表情は終始変わらなかった。
 閉廷後に記者会見した主任の安田好弘弁護士は「誤った判決。客観証拠を無視し、あい路を探し出して有罪にする一方、刑罰的に執行猶予で妥協した。民事判決と見間違う」と批判した。

ここまで---

「判決は間違いだ。控訴してくれ」は、正直な気持ちだと思います。
小嶋氏はむしろ被害者です。真犯人は、マンション住民から住処を奪い、彼らを借金地獄に突き落とした国土交通省の役人です。

私の好きな歌(5)

2008-03-24 22:23:25 | 短歌・詩
あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る(額田王)

【解釈】薬草である紫草の生えている紫野を行き、また朝廷の直轄領である標野を行き、あなたは私に袖を振ってくださる。標野の管理人に見つかりやしないかしら。お願いだから、そんな大胆なことはなさらないで……。

袖を振る、とは、当時の愛情のストレートな表現。大きな声で「君を愛してるよー」と呼びかけているようなものである。人目の多いところで、白昼堂々とそんなことをされたら、誰だって相手を制止たくなるだろう。もちろん嬉しい。でも、恥ずかしい。

(俵万智:「短歌をよむ」、岩波新書)

私の好きな歌(3)

2008-03-22 23:59:50 | 短歌・詩
青空のもとに楓ひろがりて君亡き夏の初まれるかな(与謝野晶子)

遺歌集『白桜集』に収録されている歌です。
夫が亡くなって初めて迎える夏を詠んだものです。

与謝野晶子は、情熱歌人として知られています。たとえば、歌集『みだれ髪』には次のような歌があります。

やわ肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君
むねの清水あふれてつひに濁りけり君も罪の子我も罪の子
なんとなく君に待たるるここちして出でし花野の夕月夜かな
髪五尺ときなば水にやはらかき少女(おとめ)ごころは秘めて放たじ
くろ髪の千すじの髪のみだれ髪かつおもひみだれおもひみだるる
その子二十(はたち)櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな
狂ひの子われに焔の翅かろき百三十里あわただしの旅

これらの歌に比べると「青空のもとに」のなんと静かなことでしょうか。
そして、夫(鉄幹)へ寄せる想いのなんと深いことでしょうか。