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ひふみんファンの皆様、こんにちは。酷暑の中いかがお過ごしでしょうか。
さて、今日は20年前に行われた第51期順位戦加藤九段VS羽生竜王の一戦を鑑賞しましょう。
図は加藤九段が2五歩と突いたところ。
ここで羽生マジックが出ました。
加藤一二三:羽生善治論-「天才」とは何か、角川書店、より抜粋します。
「これはいける」
すでに午前中の段階で、私は思った。
羽生さんは相当研究したであろう新手を出してきたのだが、私の応手にあっという間に苦しくなってしまった。
「ほぼ間違いなく勝てる」
その時点で私は確信した。羽生さんからすれば、思わぬ展開だったのだと思う。困惑したようだった。
勝ちを確信した私が四九手目(ママ)、2五歩と指したときだった。そこで事件が起きた。いきなり羽生さんが袈裟懸けに手刀を切ったのである。あたかも空気を切り裂くかのように、何回も、何回も、……。
対局中、そんな仕草をする棋士をもちろん見たことがなかったので、たいそう驚いた。そして羽生さんは対局場から姿を消し、二時間近く戻ってこなかった。
彼はそんなに長く考えることはあまりない。もちろん、長時間考えるだけの能力がないということではなく、それほど苦しい将棋になることが少ないからだ。だから、このときは相当に苦しかったのだろう。
そうして、117分考えて指したのが、3七桂成という手だった。
その後加藤九段有利に推移しましたが、最終盤に見落としがあり大逆転負けを喫してしまいました。加藤九段は「妖術によって頭が麻痺させられたからとしか考えられない」と書いています。手刀切りも羽生マジックのひとつだったのですね。