平ねぎ数理工学研究所ブログ

意志は固く頭は柔らかく

ひふみん会心譜

2013-08-06 20:40:15 | 将棋


ひふみんファンの皆様、こんばんは。
今夜はひふみんの会心譜を紹介しましょう。
図は、昭和43年12月3日4日に行われた十段戦の局面で、
大山十段が封じ手の5二歩を打ったところ。
ひふみんは、前日から合計7時間を使って絶妙手を発見しました。
加藤一二三:将棋名人血風録、角川書店、から引用します。

その日は、大山さんが封じ手をして終わった。食事を終えた私は、午後七時から部屋にこもり、
そこからどう指すか考えはじめた。第四局は一日目の時点ですでに終盤に突入していたからだ。
しかし、どれだけ考えても、決め手がみつからない。気がつくと時計の針は深夜零時を指そうと
していた。つまり、ほぼ五時間考え続けていたことになる。翌朝、午前九時大山さんの封じ手が
開封された。それは予想通りの手であったけれど、昨晩は五時間かけても答えが出なかった手
でもある。再び私は長考に入った。とはいえ、不思議と焦りはなく、心は澄み切っていた。
そうして、二時間近くたったときだった。ふと、4四銀、同金、6二歩という手が浮かんだ。
読み進めていくうちに確信した。
「これは決め手になる!」
自信をもって6二歩が確信通り奏功し、大山さんに勝つことができた。


いまや棋譜をつくる作業はソフトの役割になっています。
王位戦第三局を観戦し、つくづくそう思いました。
しかし、ソフトがどんなに強くなってもひふみんのような将棋指しがいるかぎり、
棋士という職業がなくなることはないでしょう。