tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

中国に住宅バブル崩壊の危険は?

2021年12月04日 14時52分08秒 | 経済
中国の不動産業最大手の 恒大グループの経営不安は、その後利子の支払いが行われたとの報告もありましたが、国外の債権者との間で債務の再編を協議する方針といった報道も入り、矢張り容易ではない様な気がします。

日本の土地バブルの崩壊、アメリカのサブプライムローンの破綻(リーマンショック)に次いで、中国の不動産バブルの蹉跌と順に並べると、不動産価格と金融政策で景気維持という手法の限界が見えてくるような気もします。

確かに恒大グループは拡大を急ぎ過ぎたのかもしれませんが、その背景には、現代中国の高級住宅価格は何処までも上昇する(特に上海、北京など)という神話があるような気がします。

そうであれば、恒大は超大手ですが、それに連なる大手から中小に至る不動産業が皆健全であるという事はあり得ないでしょう。

そして、それに連なるのは土地の利用権を分譲する地方政府の財政、その上に乗る中国政府という構造、不動産価格の上昇に大きく依存するのかもしれない中国の政治経済体制です。

今日、中国が一帯一路を掲げ、世界の調所に巨大な投資をしている資金は、世界の工場として付加価値を生み出した成果の分配による資本蓄積のレベルを超えているように感じられないでしょうか。

かつて日本が土地バブルの時代、日本の都市銀行が世界のトップ10に何行も入る資金量を持ち、NYのロックフェラーセンターやテtィファニーを買い取っていた事を思い出します。
土地バブルが崩壊してみれば「あのお金は一体何処へ消えたんだ」などと不思議がる意見もありました。

金融緩和による土地価格の上昇で生じたお金は土地価格の下落で消えるのです。増えるときには金融と投機で異常に増え、消えるときはそれが全て消えます。
アメリカのサブプライムローンで出来た豪奢な住宅やサブプライム層の豊かさも、みんな金融と不動産バブルの組み合わせで生じた現象です。

最近、中国で、不動産の「売り急ぎ」が出ているという報道もあります。地域によっては、早く売らないと値下がりが大きいといった危機感もあるようです。

中国に何か転機が来ているのでしょか。
それを示唆するものがいくつかあります。まず、政府が不動産価格の過度な上昇を抑制しようと、金融の引き締め政策を取っているという事です。
これは習近平主席の掲げる「共同富裕」実現、富の配分のより均等なものにしようという新しい中国の形を目指すものでしょう。

これらと軌を一にするのでしょうか、今までなかった固定資産税に相当する「不動産税」を導入するという方向も発表(一部試行)されています。

日本でも、土地バブル崩壊のきっかけは、金融引き締めと地価税(新土地保有税)の導入でした。
こうした新政策の導入は、適切な程度の導入にするといった調節は極めて困難なようです。
理由は、相手は投機的な動機による価格形成だからです。

中国政府が、(計らずも?)推進してしまった不動産価格上昇による信用創造の結果の巨大な資金量の増大を、巧に適正な規模に調整することに成功しうるでしょうか、それはかなり難しいような気がします。

習近平主席が目指す、これまでの経済発展の成果である巨大な資本蓄積を利用して「共同富裕」を実現するという構想の「富裕」の源が今後どうなっていくのか、確り見守る必要がありそうです。

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