tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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日銀短観(2024/3月)で企業の現況を見る

2024年04月02日 12時34分02秒 | 経済

昨日、日本銀行から2024年3月時点の「短観」、正式には「全国企業短期経済観測」が発表になりました。

マスコミでは、日本の景気を引っ張っているとみられる製造業の大企業の景況判断が4期ぶりに(短観は四半期調査)悪化したことを見出しにしていますので、一寸気になるところですが、記事などの中身を見て頂けば分かりますように原因は一部自動車メーカーの出荷停止という事態があったことの影響で、日本経済全体の状態に問題があってのことではないようです。

大企業製造業の景況は昨年3月を底に3四半期順調に伸びてきました。円安による輸出大企業の収益向上が大きかったようで、その意味では、先行きが気になるところですのでその辺を中心に見てみましょう。

先ず調査対象企業が、今後の円レートをどう見ているかですが、2024年の上期も下期も141円台で、現状より10円の円高とみている点は大事なポイントでしょう。

製造業大企業の悪化というのはDIが12月の13から3月は11になったという程度ですが、先行き(ほぼ3か月後)は10という予測で、堅めに予測し、改善とは見ていません。

同じDIは中堅企業では6-6-5、中小企業は2-▲1-0で大きな動きはなく中小企業が今季はないナス1ですが、今後は0(良い企業と悪い企業が同数)と多少の改善を見込んでします。これは、公取が、コスト上昇の価格転嫁を公式に認めたことと関係がありそうです。

非製造業は好調が続いているので、同じく規模別にDIの動きを見ますと大企業は32-34-27、中堅企業は19-20-15、中小企業は14-13-8で、インバウンドなどの盛況を映し、好況を維持しそうです。

DIは企業としての感覚ですが、もう少し具体的な数字という事で、売上高経常利益率の計画値の動きを見てみますと下の図のようになります。

    業種別・規模別企業の経常利益率計画(左が製造業、右が非製造業:%)

 

            資料:日銀全国企業短期経済観測

この図で見ますと、円高があまり急激に進まない限り、企業は製造業、非製造業ともに当面順調な推移を予測しているようです。

アメリカは現状ではドル高を善しとしているようにいもわれますが、今後の日米の政策金利の動きが決定的に重要なようです。


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