tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

マネー資本主義を使うと何ができるか

2012年01月26日 12時20分14秒 | 経済
マネー資本主義を使うと何ができるか
 第二次世界大戦中にアメリカが準備し、戦後実行してきたブレトンウッズ体制は固定相場制をベースに置きました.
基軸通貨ドルは金(ゴールド)にリンクしていました。そこにはマネー資本主義はなく、マネーは経済成長の潤滑油として実体経済を助けるのが役割でした。

 しかし、固定相場制は、一国経済に厳しいディシプリンを課します。生産性上昇を超えて、賃金やマネーが独り歩きするとインフレが起こり、コストや物価が上がって、競争力を失います。つまり、働いた分の中で生活することを強いられるのです。

 しかし、民主主義の中で、政権担当者が、民意に迎合しやすくなると、この範囲を逸脱して実体経済より良い生活(稼ぎより良い生活)を認めてしまうケースが増えます。生産性を超える賃上げによるコストプッシュインフレが典型的なものです。

 政権担当者が国民に「自分たちが生産性の範囲内で生活しましょう」と説得できなくななった国は、コストプッシュのひどい順にスタグフレーションに陥りいます。1970年代から80年代にかけての、先進国病の時代(サッチャー、レーガン改革前)が典型です。
 経常赤字をゼロに戻す努力ができない国の通貨は、イギリスポンド、アメリカドル、フランスフランをはじめ軒並み下落です。

 こうして、結果的に、ドルやIMF特別引き出し権(SDR)など通貨を増やし、当座を借金で凌ぐことと、通貨の切り下げで凌ぐうちに、次第に、マネー資本主義が形作られます。

 これを経済戦略として明確に登場させたのが「プラザ合意」でしょう。自国のコストが下がらなければ、相手国のコストを上げることで対抗しようということです。日本のコストはプラザ合意後2年間に2倍になり、為替レート切り上げの場合には、物価も同時に2倍になりますから、当然デフレになりました。

 マネーが実体経済を無視して国際経済関係を大幅に変える武器になることが明らかになったのです。

 さらにもう1つの、複雑なシステムも開発されました。それは,黒字国のカネを赤字国に流すシステムです。これは国際的なシステムの変更で、資本取引の自由化、時価会計、デリバティブ、レバレッジの緩和といった大掛かりなものでした。政治的には規制緩和が条件を整備します。

 こうして本来ならば、赤字国の努力で、早期に是正されていなければならない、国際的な経済の不均衡が、危機的なものに巨大化するまで、隠されたり、気づかれなかったり、放置されたりすることになってしまったのが今日の状態でしょう。

 これが、マネー資本主義にできること、やってきたことの概要だと思います。


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