tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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米FRB、金融正常化に軸足(2017/6 FOMC)

2017年06月15日 12時05分03秒 | 教育
米FRB、金融正常化に軸足(2017/6 FOMC)
 6月13、14両日のFOMCで、アメリカ連邦準備銀行は、日銀の公定歩合に当たるフェデラルファンドレートの誘導目標を0.25%引き上げ、1~1.25%のレンジに引き上げることを決定ました。

 トランプ新政権の支持率も急落、経済回復基調もはかばかしくない中で、FRB、イエレン議長としては思い切った決断なのでしょう。

 経済指標としては雇用の堅調と株高はありますが、2%を目指す物価の上昇は足踏み、実体経済面では問題も多い中で、金利引き上げ、さらに年内にバランスシートの圧縮(FRBの持っている債券などを減額し、市中からカネを吸い上げることで、異次元金融緩和を収束させる政策)を開始するという発表は、「何が何でも金融の正常化を」という気持ちの表れとも感じられます。

 もともと、アメリカ主導のマネー資本主義がリーマンショックを引き起こし、世界の金融システムを壊し、アメリカ自身の経済も行き詰まった状態を、前議長バーナンキさんの「金融さえ緩めれば、恐慌は回避できる」という信念からの異次元金融緩和政策の導入だったわけです。

 労働経済が専門で、実体経済を重視するイエレン議長としては、金融の正常化で正常な経済の回転を回復させるのは最大の課題との考えではないでしょうか。

 従来、アメリカが金利を引き上げればドル高・円安になり、日本も株高にというマネー評論家の解説が一般的でしたが、今回は、アメリカが金利を引き上げても、経済情勢からその浸透は不明で、円レートへの影響はあまりなさそうという意見が多いようで、やはり日本は真面目に自力で経済再建の努力を必要とするようです。

 FRBが、政治情勢の不安定の中でも、何とか金融の正常化、それによって、実体経済の健全化を目指しているのであれば、日本も、さらなる円安に乗った経済回復でなく、技術革新や生産性の向上による実体経済の前進による、「額に汗した」経済成長を目指すべきでしょう。

 そのためには、もう、賞味期限の切れた異次元金融緩和を放置するのではなく、金融正常を進めることで、経済活動の健全化を促進するといった、方向を真剣に模索すべきでしょう。

 実質経済成長率がありながら、金利がゼロだったりマイナスだったりというのは、一時的、人為的な政策としてはあり得ても、正常な経済システムではありません。
 経済成長率がプラスであれば、金利はいくらかでもプラスであるべきでしょう。異次元金融緩和という「緊急避難措置」を当たり前だと勘違いするようにならないうちに、金融正常化への方針が日本でも示される時期でしょう。

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