tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

行き詰まる金融政策

2016年08月05日 11時08分48秒 | 経済
行き詰まる金融政策
 2013年春、異次元金融緩和で円安を実現し、華々しく登場した黒田日銀の金融政策ですが、ここにきて、行き詰まり状態ではないかといった見方が出ているようです。
 黒田総裁はいつもニコニコとお元気で、まだまだ打つ手はありますといっておられますが、このところの円高は、日本経済にかなり深刻な影響を与えそうです。

 主要な金融緩和は都合3回ありました。2013年春の異次元緩和、いわゆる黒田バズーカ第1弾、次いで2104年期の第2弾、そして今春のマイナス金利導入です。
 第1・2弾はまさに投機筋の意表を突いたもので、2回に亘り各20円幅の円安を齎しました。
 しかし、その後は 先を読まれているのでしょうか、アメリカの利上げ戦略との関係でしょうか、効果は”?“です。

 日銀は金融緩和の目標としてインフレ率2パーセントを掲げました(政府も同じ、そしてアメリカも同じです)。
 こうした政策は、アメリカのバーナンキFRB がやったのと同じですから、アメリカに「為替操作」などと文句を言わせないためには大変結構だと思っていました。

 しかし、アメリカは一足先に金融の正常化を掲げることになり(遅々として進みませんが)状況は微妙に変化してきました。アメリカはたとえ利上げをしても、ドル高にすることは徹底的に避けるのではないでしょうか。日本の円高阻止は益々やりにくくなるようですし、現状はすでにバズーカ第2弾による円安(20円分)は消失です。

 もともと、この所の金融緩和政策は、「インフレ目標のため」と言いながら、 その実は円安実現 のためでした。

 日銀は、円安による輸入物価上昇と、通貨の流通量の増加による「貨幣数量説」に従ったインフレと、その両方で2パーセントインフレ目標が達成できると思っていたのでしょうか。しかし日本では、 労使関係からも、 国民感情からも、これまで述べてきたように、インフレは起きません。

  もっと金融を緩めればといってもアメリカを始め為替操作の壁が立ちはだかるでしょう。トヨタも来年3月期決算は円高のせいで減益になると発表しています。
 マイナス金利は、本来、通貨の価値を否定するもので、まともな政策ではないでしょう。

 現実問題として金融政策は行き詰まりの気配です。安倍政権は 巨額財政支出で景気浮揚と考えているようですが、これも日銀の国債などの買い入れを前提にしたものでしょう。
 それでは順次財政の行き詰まりに波及していくことは必至です。

 単純に考えて、貯金したらまともな利息が付くような経済社会にすることが金融の正常化でしょうから、(アメリカも苦労していますが)今の金融政策には具体的なそこへのシナリオがあるのでしょうか。

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