tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

高プロ問題:なぜ政府は固執するのか?

2018年03月05日 10時23分16秒 | 労働
高プロ問題:なぜ政府は固執するのか?
 安倍政権の働き方改革には、日本の社会で働いてきた人間には解らないことが多すぎます。なぜ、安倍政権は、無暗と自説に固執するのでしょうか。
 
 裁量労働の導入が余りにもいい加減なデータを含む導入根拠の崩壊から挫折しましたが、今度はまた高度プロフェッショナル制度を持ち出して、これは通すと言っています。

  この問題 は、すでに大分前に日本的経営との関係で取り上げてきていますが、もともと、残業問題に関係ない管理職(あるいはその待遇職)でなくて、1075万円以上(平均賃金が上がればこの数字も上がるでしょう)の年収という人はどれだけいるか把握しているのでしょうか。

 そんな極く一部の人のために法律を作る必要があるのでしょうか。
 安倍さんの国会答弁によれば、対象者は、大変素晴らしい知識や能力の持ち主で、自ら成果を求めて、時間に関係なく働けるのが良いと考えている、というようなことですが、現状では企業はそういう人をどう処遇しているのでしょうか。

 正社員として採用されている方ならば、大抵はすでに管理職待遇の専門職でしょう。若し、そこ迄昇格していなければ、企業としてはそのような素晴らしい人を昇格させないことの方が問題でしょう。

 そういう役に立つ人を、外部から求めた場合には、企業には、従来から、それなりの処遇方法がきちんとあるのです。
 このブログでも紹介していますが、かつて日経連が提唱した雇用ポートフォリオの中の「高度専門能力活用型」のケースです。契約社員として、年俸制で、参事待遇、理事待遇といった形でしょう。通常、年俸は、正社員の場合より高いでしょう。長期に勤めてほしければ、そして本人も納得すれば、正社員、参事ある理事として処遇するでしょう。

 安倍さん自身は企業で働き上げた経験はありません。政治の世界に住んでいます。そして「決める政治」、つまり自分で決めるのがお好きなようです。だから「自由な働き方が良い」という思い込みは強いのかもしれません。

 しかし、エリック・フロムの『自由からの逃走』ではありませんが、人間の中には、自分で決めることに躊躇する部分が必ずあるのです。その部分が多い人の方が普通のようにも思います。

 自分で決めることに快感を感じる人の中には、トランプさんや、習近平さんや、プーチンさんもおられるようですが、「良い決定」をすることは実は大変なのです。

 思い込み、自己過信から卒業し、聖徳太子の「17条の憲法」の 第17条を尊重することも大事なのではないでしょうか。

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