tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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「毎月勤労統計」のご利用には当分ご注意を!

2018年09月29日 11時30分56秒 | 労働
「毎月勤労統計」のご利用には当分ご注意を!
 この春5月9日のこのブログで「賃金上昇率の動きに変化?」を書きました。
 今年に入って賃金上昇率がハッキリと高くなっているという事を「毎月勤労統計」のデータをグラフにして説明したものです。

 私自身、この統計には 多少不安で、一時的なものかもしれないので、今後さらに見ていかないとと本当の所は解らないと書いていますが、今朝、新聞記事の中で、「毎月勤労統計」のサンプルの取り方が変わったので、過去との比較が正確に出来ないのではという解説記事があり、私の疑問は取り敢えず氷解しました。

 疑問氷解はいいのですが、賃金、労働時間その他我が国の「勤労」に関わる分野の統計としては基幹中の基幹統計である、いわゆる「毎月勤労統計」の今回の改定の結果の数字にはは些か疑問を感じているところです。

 統計には、一定の期間を定め、サンプルの再設計は当然必要ですが、今回の改定でサンプルのつなぎ方が大きく変わっていました。

 サンプルを取る母集団を「経済センサス(旧事業所統計調査)」から「事業所母集団データベース」にしたとのことですが、この違い(改善点)の説明は十分ではないように感じます。多分精度を高めるとかアップデートが適切になるという事でしょうか。

 もう1つはサンプルの入れ替え方法です。これまで一定期間同じサンプル事業所で調査し、一定期間後、サンプルの総入れ替えをし、その際発生する誤差については新旧サンプルの並行調査期間(1年?)を設けてリンク指数を作成して補足という形だったと記憶しますが、今年からはサンプルを毎年3分の1ずつ入れ替えるというローテーション方式にしたそうです。(入れ替えについての誤差については簡易な補助資料があるようです)
 
 いずれも合理的な改定という事で、行われたのでしょうが、結果、出てきた統計数値は前述のように、何か違和感を感じるものです。
 新聞の解説では、サンプルに大企業傘下の事業所が多く含まれるようになった、などとありましたが、新旧接続時点での、利用者への配慮はどうだったのでしょうか。

 日本の統計の精度は世界に冠たるものと私は信じていますが、 GDPの増加の多くの部分がGDPの定義の変更によるもの(それを断らずに安倍総理が成長率の説明に利用)だったり、裁量労働では 業務統計を正式なサンプル設計による統計の様に使ってみたりすることもあったので、何か統計の使い方も含めていい加減になっているように感じて残念です。
 正確な統計を作り、正確な使い方をしましょう。

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