財界は「5%以上」でも難色か
連合が来春闘の地投げ要求を「5%以上」という事で正式に発表しました。
このブログの分析からすれば、昨年・今年の「賃上げ」は日本経済の行方の決定的な判断材料になるもの。岸田総理の減税政策よりずっと重要な経済的影響力を持っています。
しかし、残念ながら新聞の記事などは、それに比し随分小さいようです。
政府の減税政策は、経済状態の後追いのパッチワークですが、連合の賃上げ要求は日本経済全体の過半を占める家計の消費需要を左右し、日本経済のバイタリティーに決定的な役割を持つ日本経済の原動力を左右するものだからです。
それにしては連合は慎ましやかだと思いますが、日銀は大きな関心を持っているようです。
日銀は「賃上げを伴う物価上昇」が起きることが異次元金融緩和政策の転換の条件と言っていますから実質賃金低下では動きが取れないとの思いもあるのでしょう。
要求は、昨年の「5%」に「以上」が付いた「だけ」ですが、財界からはすでに懸念の声が上がっているようです。
特に中小企業の代表とも言うべき日本商工会議所は「物価上昇をカバーする賃
上げが望ましいと言いながら「以上」が付くことには難色を示すようです。
財界総本山の経団連は「物価上昇以上の賃上げに昨年同様取り組む姿勢」のようですが、昨年は、その意気込みも成果なしでした。
財界は、連合の要求を受けて立つ立場ですから、受け身になるのは当然かもしれませんが、経済界として、日本経済を活力ある成長経済に持っていくために如何なる賃上げが必要かという、日本経済を支える立場からの発言が聞きたいところです。
経団連の十倉会長の言葉からは、そうした雰囲気が感じられるところですが、具体的な説明がないのが残念です。
「望ましい」のは、連合の「以上」をつけた要求がそれなりの成果を上げ、昨年以上の賃上げ率が達成され、一方、物価の方は現状がピークになり、次第に落ち着き、結果的に実質賃金がプラスになって行くというプロセスが「巧く」起きてくれる可能性です。
しかしこれはかなり難しいことになりそうです。今の消費者物価の上昇は3%台ですが、エネルギー関係の補助金で1%下げていますから本当のインフレは4%台となり、賃上げが1%増えても実質賃金プラスは難しいでしょう。
政府は補助金を当面延長と言っていますが、補助金は一時的で持続可能ではありません。
一方食料品や日用品のような生活必需品の値上がりは10%前後に達し、10月からの一斉値上げでさらに上昇の可能性もあります。
最近の物価上昇の主因であるアメリカの金利引き合上げによる円安は、アメリカの都合でまだ続きそうです。結果、物価は上がり、家計調査で見ますと、この夏から家計は緊縮の生活防衛に戻り、平均消費性向は低下する様相が見えています。
日本人は耐乏生活で、良いものを安く作って、外国やインバウンドを喜ばせているというのがアベノミクス以来の日本という事なのです。円安対応の方法論が間違っているのです。
政労使と言いますが、政府が本気で考えているのは「選挙」で、経済政策は後追い中心、労使は共に受け身で、自分達が日本経済を創っていく気概を忘れているようです。
石油危機の時には経営者が日本を救おうと立ち上がりました。そして成功し「ジャパンアズナンバーワンの基礎を作りました。
その伝で言えば、いまは連合が賃上げで日本を救う立場でしょう。変動相場制下の賃金決定論の理論的支柱になってくれることを期待します。
<蛇足>
問題は日本全体が受け身になっている事でしょう。政府はアメリカの受け身、国民はその政府の政策に受け身で注文を付けるだけ。
これがあらゆる分野で世界ランキングを落としてきた衰亡日本の最大原因のようです。
連合が来春闘の地投げ要求を「5%以上」という事で正式に発表しました。
このブログの分析からすれば、昨年・今年の「賃上げ」は日本経済の行方の決定的な判断材料になるもの。岸田総理の減税政策よりずっと重要な経済的影響力を持っています。
しかし、残念ながら新聞の記事などは、それに比し随分小さいようです。
政府の減税政策は、経済状態の後追いのパッチワークですが、連合の賃上げ要求は日本経済全体の過半を占める家計の消費需要を左右し、日本経済のバイタリティーに決定的な役割を持つ日本経済の原動力を左右するものだからです。
それにしては連合は慎ましやかだと思いますが、日銀は大きな関心を持っているようです。
日銀は「賃上げを伴う物価上昇」が起きることが異次元金融緩和政策の転換の条件と言っていますから実質賃金低下では動きが取れないとの思いもあるのでしょう。
要求は、昨年の「5%」に「以上」が付いた「だけ」ですが、財界からはすでに懸念の声が上がっているようです。
特に中小企業の代表とも言うべき日本商工会議所は「物価上昇をカバーする賃
上げが望ましいと言いながら「以上」が付くことには難色を示すようです。
財界総本山の経団連は「物価上昇以上の賃上げに昨年同様取り組む姿勢」のようですが、昨年は、その意気込みも成果なしでした。
財界は、連合の要求を受けて立つ立場ですから、受け身になるのは当然かもしれませんが、経済界として、日本経済を活力ある成長経済に持っていくために如何なる賃上げが必要かという、日本経済を支える立場からの発言が聞きたいところです。
経団連の十倉会長の言葉からは、そうした雰囲気が感じられるところですが、具体的な説明がないのが残念です。
「望ましい」のは、連合の「以上」をつけた要求がそれなりの成果を上げ、昨年以上の賃上げ率が達成され、一方、物価の方は現状がピークになり、次第に落ち着き、結果的に実質賃金がプラスになって行くというプロセスが「巧く」起きてくれる可能性です。
しかしこれはかなり難しいことになりそうです。今の消費者物価の上昇は3%台ですが、エネルギー関係の補助金で1%下げていますから本当のインフレは4%台となり、賃上げが1%増えても実質賃金プラスは難しいでしょう。
政府は補助金を当面延長と言っていますが、補助金は一時的で持続可能ではありません。
一方食料品や日用品のような生活必需品の値上がりは10%前後に達し、10月からの一斉値上げでさらに上昇の可能性もあります。
最近の物価上昇の主因であるアメリカの金利引き合上げによる円安は、アメリカの都合でまだ続きそうです。結果、物価は上がり、家計調査で見ますと、この夏から家計は緊縮の生活防衛に戻り、平均消費性向は低下する様相が見えています。
日本人は耐乏生活で、良いものを安く作って、外国やインバウンドを喜ばせているというのがアベノミクス以来の日本という事なのです。円安対応の方法論が間違っているのです。
政労使と言いますが、政府が本気で考えているのは「選挙」で、経済政策は後追い中心、労使は共に受け身で、自分達が日本経済を創っていく気概を忘れているようです。
石油危機の時には経営者が日本を救おうと立ち上がりました。そして成功し「ジャパンアズナンバーワンの基礎を作りました。
その伝で言えば、いまは連合が賃上げで日本を救う立場でしょう。変動相場制下の賃金決定論の理論的支柱になってくれることを期待します。
<蛇足>
問題は日本全体が受け身になっている事でしょう。政府はアメリカの受け身、国民はその政府の政策に受け身で注文を付けるだけ。
これがあらゆる分野で世界ランキングを落としてきた衰亡日本の最大原因のようです。