今なぜ世界経済は不振なのか 3
前回指摘しましたEU、ユーロ圏の経済不振は矢張り深刻なようです。ECB(欧州中央銀行)が、マイナス金利(加盟国の銀行がECBにカネを預けた場合の金利がマイナス)というウルトラCの金融緩和政策で、何とか経済成長をと努力していますが、なかなか実効は上がらないようです。
2002年ユーロが流通を開始したころ、1US$は0.9ユーロで買えました。ご祝儀相場と言えばそうかもしれませんが、ユーロの将来を期待して、ユーロの価値は高かったのです。
しかしユーロ加盟国が広がり、南欧の国々や東欧の国々、地中海の島国などが加盟し、ユーロの高い価値を満喫するようになると事情は変わってきました。
ラテン系の国々は国民性が陽気ということもあるのでしょうか。国力以上の経済生活をするようになり、経常赤字の国が増えて行きました。
ユーロの価値が次第に落ち、2008年には1ドルを買うのに1.55ユーロが必要といった状況になっています。
ギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリアなどの経常赤字が問題になり、大幅黒字国のドイツがそれを補填するといった状態になって、ドイツから苦情が出、日本の新聞なども報道したのは2010年頃です。
このユーロ安は、EU内部の不協和音にはなりましたが、お陰でユーロは値下がりし、黒字国のドイツの競争力は強まり、日本でも、VW、BMW、ベンツなどが割安になり、ドイツ車が随分増えたなと感じた方は多いと思います。
その後、ユーロ圏でも論議が重ねられ、IMFの指導などもあって、上記の赤字国は努力を重ね、ほぼ黒字に転換し、ユーロ圏自体は大幅黒字を回復しました。
ギリシャもスペインも、イタリアも経常赤字が消えて、漸く健全化の方向が見え、一安心という時、マネー資本主義の当然の帰結として「ユーロ高」が起きてきました。
今は$1=1.27ユーロほどでしょうか。2008年ごろに比べれば2割以上のユーロ高です。
日本が日銀の政策転換で2割の円安になり、日本経済が息を吹き返したのとちょうど逆です。2割のユーロ高は、ユーロ経済圏のコストと物価を一律に2割高くしたわけですから、ユーロ圏がデフレ状態になる可能性は当然高くなります。
経常赤字国が生活を切り詰め、経済の健全化を果して、消費と貯蓄→投資のバランスを回復し、経済成長路線を取り戻すことはIMFの指導理念でもある大変結構なことのはずですが、真面目にそれをやると「通貨が切り上がって」経済が「成長」ではなく「デフレ」になるという、経済の本来から言えば全く困ったことが、一般的な経済現象として発生するのが現在のマネー資本主義経済の実状です。
こんなことで世界経済はいいのでしょうか、何故こんなことになるのでしょうか。長くなるので次回にします。
前回指摘しましたEU、ユーロ圏の経済不振は矢張り深刻なようです。ECB(欧州中央銀行)が、マイナス金利(加盟国の銀行がECBにカネを預けた場合の金利がマイナス)というウルトラCの金融緩和政策で、何とか経済成長をと努力していますが、なかなか実効は上がらないようです。
2002年ユーロが流通を開始したころ、1US$は0.9ユーロで買えました。ご祝儀相場と言えばそうかもしれませんが、ユーロの将来を期待して、ユーロの価値は高かったのです。
しかしユーロ加盟国が広がり、南欧の国々や東欧の国々、地中海の島国などが加盟し、ユーロの高い価値を満喫するようになると事情は変わってきました。
ラテン系の国々は国民性が陽気ということもあるのでしょうか。国力以上の経済生活をするようになり、経常赤字の国が増えて行きました。
ユーロの価値が次第に落ち、2008年には1ドルを買うのに1.55ユーロが必要といった状況になっています。
ギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリアなどの経常赤字が問題になり、大幅黒字国のドイツがそれを補填するといった状態になって、ドイツから苦情が出、日本の新聞なども報道したのは2010年頃です。
このユーロ安は、EU内部の不協和音にはなりましたが、お陰でユーロは値下がりし、黒字国のドイツの競争力は強まり、日本でも、VW、BMW、ベンツなどが割安になり、ドイツ車が随分増えたなと感じた方は多いと思います。
その後、ユーロ圏でも論議が重ねられ、IMFの指導などもあって、上記の赤字国は努力を重ね、ほぼ黒字に転換し、ユーロ圏自体は大幅黒字を回復しました。
ギリシャもスペインも、イタリアも経常赤字が消えて、漸く健全化の方向が見え、一安心という時、マネー資本主義の当然の帰結として「ユーロ高」が起きてきました。
今は$1=1.27ユーロほどでしょうか。2008年ごろに比べれば2割以上のユーロ高です。
日本が日銀の政策転換で2割の円安になり、日本経済が息を吹き返したのとちょうど逆です。2割のユーロ高は、ユーロ経済圏のコストと物価を一律に2割高くしたわけですから、ユーロ圏がデフレ状態になる可能性は当然高くなります。
経常赤字国が生活を切り詰め、経済の健全化を果して、消費と貯蓄→投資のバランスを回復し、経済成長路線を取り戻すことはIMFの指導理念でもある大変結構なことのはずですが、真面目にそれをやると「通貨が切り上がって」経済が「成長」ではなく「デフレ」になるという、経済の本来から言えば全く困ったことが、一般的な経済現象として発生するのが現在のマネー資本主義経済の実状です。
こんなことで世界経済はいいのでしょうか、何故こんなことになるのでしょうか。長くなるので次回にします。