tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

マイナス金利の功罪:2 価値基準「金」からの離脱と金融市場

2016年02月20日 10時01分39秒 | 経済
マイナス金利の功罪:2 価値基準「金」からの離脱と金融市場
 かつては通貨の基本は金でした。金は錆びなから減らないという理由でしょう、選ばれて貨幣・通貨になりました。
 金は基本的にはモノですから、金を貨幣に使えば、ある意味では物々交換です。しかし金は「減価しない」という特徴から、金の価値を基準にして、それ以外の価値を測ると便利ということになったのでしょう。

 こうして金をベースに貨幣の3つの機能「価値の基準」「交換の手段」「価値の貯蔵」が生まれました。その結果世界中の人が金を探し求めました。金を掘り当てれば金持ちになれるからです。
 しかし金の生産量(もともと賦存量)には限りがあります。金の生産より経済の拡大のほうが大きくなると通貨が足りなくなります。
  
 金の量という制約を脱出するために金に交換できる兌換紙幣が生まれました。その頃は人間はまだ真面目でしたが、人間には欲があります。勝手に紙幣を印刷してお金を増やす政府なども現われ、最後は1971年基軸通貨の ドルが金と縁を切って、世界は完全にペーパーマネーの時代に入りました。

 ペーパーマネーの価値はだれが決めるのでしょうか。貨幣を発行する国の信用力が保証するというが理屈でしょうが、そんなものは正確には誰も測れません。結局基軸通貨のドルに対する為替レートという形で、国際金融市場が決めることになっています。

 そこで「マーケットは正しいか」という問題が起こります。為替相場に影響を与えるような巨大な機関投資家もいたりして、未曽有の混乱状態です。かつては、それでもドルの信用という形がありましたが、サブプライム・リーマンショックで アメリカの証券の信用は地に堕ち、「有事のドル」から「さしあたって円買い」などと、どこの通貨を信用するか、マーケットのプレーヤー達も揺れ動いています。

 今の為替は「フロート制」などと言われますが、正に波のまにまに揺れ動く不安定なシステムで、その不安定な価値の変動を前提にビジネスをすることになった企業は、本当に大変です。私は「伸縮するメートル」原器を基準に構造物の設計をするようなものと感じます。

 今の金融政策は、こうした不安定さの中で、何とか一国経済を健全に成長させ、さらには、予期しない為替変動なのでとんでもない大損などしないよう防御をしつつ、出来るだけ安定した一国経済を維持しようとする努力ということになるでしょう。

 では、今の日本にとっては何が一番問題で、その解決のために、マイナス金利がどんな役割を果たせるかということになります。

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