tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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長期不況の脱出、黒田日銀の業績に思う 

2023年04月08日 15時21分51秒 | 経済
日銀総裁が黒田さんから植田さんに変わりました。10年という任期は最長だったそうで、その間一貫して異次元金融緩和政策を続けました。

ご本人は長期に亘る金融緩和は誤りではなかったと述べ、マスコミは、「最後まで黒田節」などと多少批判的な揶揄もあったようです。

10年に亘る異次元金融緩和には批判の声も多いようですが、もっと早く金融緩和の出口にと思っていても、その条件が整わなかったので、結局伸び伸びになったという事でしょう。

その証拠には新任の植田さんにしても、当分今の政策を変えないと言わざるを得ないというのが現実だからです。

黒田日銀のスタートは華々しいものでした。2013年、14年と2回に金融緩和政策で、それまで$1=75~80円だった円レートは120円と大幅円安になりました。
意表を突く大幅金融緩和で円安実現可能という新しい為替政策を上手に使ったのです。

この大成功で、プラザ合意での$1=240円から120円への円高を、そっくり逆転するような日本経済の国際経済環境の大改善を黒田日銀が実現したことは周知のとおりです。

それまでコスト高に呻吟していた日本産業は、一挙に国際競争力を取り戻し日本製品は高くない、日本観光は安くて良質というインバウンド盛況などの基礎条件を作ったのです。

このブログでも、これで日本経済は円高に苦しまない、「プラザ合意」以前の正常な経済に復すると考え、そのために必要な、企業や政府の為すべきことなどを書いてきました。

円安実現で強調し成功した政府と日銀は、早速「2%インフレ目標」というスローガンを掲げ、日本経済の正常化に邁進しようと考えたようです。

「2%インフレ目標」は、アメリカが2012年に掲げた目標の踏襲で、目標としては経済学的に適切なものでしたが、日本では、これが上手く行かなかったのです。

それまで、20年以上、円高によるコスト高の中で、賃金と物価を下げる事だけが「命」と考えていた産業界には、常にインフレ体質のアメリカと同じ「2%インフレ目標」への道筋は理解不能だったのではないでしょうか。

当時総理の安倍さんのやった事は、労使代表を呼びつけて「賃上げをしてほしい」と言うだけですから、労使の方は事態の急変に戸惑うだけだったようです。

そうした中で、日銀の役割は、金融緩和を続けて、政府や民間企業が、経済活動を活発化する際の資金供給を潤沢にする事が最も重要だったのでしょう。黒田日銀は真面目に役割を果たしていました。

ところが、政府の政策の貧困もあり、経済環境正常化の中で日本経済そのものを建直すために産業界は何をすべきかの指針が不明確なため、成り行き任せになり、政府の政策は、財政のバラマキと見当違いの規制改革がモリカケ問題などを生んでいました。

折角環境が改善したのに、それを日本経済自体の活性化にいかに繋げるかに失敗し続けたのがアベノミクスだったようです。

その中で黒田日銀のやるべきことは限られることになりました。(以下、長くなるので次回にします)

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