tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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本質を突けない為替論議;モスクワG20

2013年02月17日 20時13分37秒 | 経済
本質を突けない為替論議;モスクワG20
 アベノミクスへの批判が心配されたモスクワG20は「通貨安競争の回避」を謳って閉幕したようです。先日のG7もそうでしたが、何かもやもやしたものを残したままのような雰囲気を感じる方は多いでしょう。

  日本については、公式にアベノミクスに対する円安誘導という批判はなく、麻生さんも一安心だったようですが、報道では途上国から、「俺たちの競争力低下をどうしてくれる」といった声は大分強かったようです。

 ドイツはユーロ安でドイツの競争力が急速に強まったという現実は忘れたように、日本に対する批判があったようですが、「マーケットは正しい」という見せかけの正論に便乗したという所でしょうか。

 従来の態度と違和感があったのはアメリカです。アベノミクスを容認し、日本を庇ってくれたような形に見えていますが、マーケットの正当性を認めて、当面の相手を為替自由化をしない中国に絞り込んだように見えます。

 日本には多くの問題が残されているように思われます。「アメリカに追随する金融政策を取ったら、マーケットが反応してくれだけ」、「円安誘導ではない」ということで認めてもらったということで済んだわけですが、これとても、見方の問題で、円安誘導と紙一重でしょう。
 更に、これでは、またリーマンショックやギリシャ問題のようなことが起きた場合、20円とか30円幅の大幅円高になる可能性は残ったわけで、懸念は払拭されていません。

 日本としては、矢張り「過度の円高の是正」ということの正当性を発言するべきだったのでしょう。プラザ合意から始まった『2年で2倍の円高』といったことの結末をどうつけるか、というのが、日本経済正常化の課題だったわけです、さらに30円(リーマンショック)、15円(ユーロショック)の幅の円高でも、何も言わずにいたことが、途上国にとってみれば、「重要な技術開発をして後はどうぞと言って任せて儲けさせてくれるのが日本」といった印象に繋がり、今回の円安誘導批判につながっているような気がします。

 やはり日本は、黙しているのではなく、日本が正しいと信じることは、解り易く発信し、普段から日本の考えを、広く伝え、その中で、相互理解を促進していくといった態度を常にきちんと取るべきなのでしょう。我慢していて、急に言い出すというのは、あまり賢い方法ではないようです。

 当面「マーケットは正しい」というのがコンセンサスであるとすれば、今後日本のやるべきことは、三本目の矢を確り射て、年々の経常黒字を削減し、万年黒字国にさよならをして、国際投資資本の反応を確かめることがますます大事になってきたような気がします。


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