tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

財政再建:また同じことを繰り返すのかな

2021年07月22日 21時56分43秒 | 経済
東京五輪も新型コロナ対策も、先が見えない事ばかりの中で、これも選挙対策でしょうか、財政再建、プライマリーバランス回復への目標期限の提示が出てきました。
 
先ず感じたのは、コロナ対策も財政再建もそうですが、「何時々々まで」と期限を切るのが好きで、必ず期限を決めるのですが、決めた期限で事が収まったことはないという前例です。
 
振り返れば、安倍政権の骨太の財政再建もそうでした。だいたい何が「骨太」なのかサッパリ解りませんが、小泉政権が使った言葉を拝借しているようです。
 
この状態でプライマリーバランスの回復計画などはまさに薄氷を踏むような試算によったもので、今までも、期待したような好況はならずに、目標には達せず、期限が来れば先伸ばしで『骨』ならぬ『ゴム』仕様の様な計画でした。
 
恐らく、今度の計画も同じようなものでしょう、実質経済成長が2%で、その上に2%のインフレが乗っかれば、インフレの効果は大きく、上手くいけば2025年のプライマリーバランス黒字化も可能かもしれません。
 
政府は年率3.5%以上の成長があれば達成可能と見ているようですが、日銀と合作のインフレターゲットの達成が前提になっているようで、(政府の試算は何時もそうですが)いまの日本経済の実態を見れば、例えコロナが片付いたとしても2%達成は容易ではないでしょう。
 
大体インフレガ2%になってゼロ金利では、個人貯蓄1800兆円のかなりの部分が実質目減りになりますから国民は大損をするわけで、その場合は銀行預金は少なくとも定期預金などは2%以上の利息にしなければならないでしょうし、国債の利息も0.0~という訳にはいかないでしょう。
 
そうなれば当然国債費は増えて、財政赤字は大きくなるし、国債金利が上がれば既発債の価格は下がるので、国民としては損して売るか、毎年2%実質価値の下がる国債を満期まで持っているということになるでしょう。
 
既発債の半分以上は日銀が持っているのが現状ですから、日銀も国債価格が目減りして、政府への納付金が減るのではないでしょうか。
 
今までは、国債を増発しても(昨年も随分出しましたね)ゼロ近傍の金利ですから政府の利払いが増えずに済んだのですが、2%インフレが実現した時、政府、日銀そして財政のプライマリーバランスを回復するのには、いろいろと随伴する問題を、国民に迷惑をかけずに処理していかなければなりません。

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