tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

キャピタルロスの心理学

2011年12月12日 10時25分57秒 | 経済
キャピタルロスの心理学
 バブル崩壊以降、日本経済は不況続きですが、その中でも、いくつかの節目がありました。 
 バブル崩壊の1991年、その後のアジア・フィナンシアルショック1997年、サブプライム・リーマンショックの2008~9、最近のユーロ危機などです。
 そのたびにいろいろな悲劇が起こります。投資した債券価格や株価が急落し、巨大なキャピタルロスの発生です。

 現物ならまだしも、信用取引、デリバティブ といったことになりますと、通常、取引額は実力以上になりますから、キャピタルロスの額は当然努力すれば何とかなるような額ではありません。

 最終的には責任者が命を絶つようなことにつながった例も多く聞きました。こうした場合の多くは、発生してしまったキャピタルロスを、新たなキャピタルゲインで取り戻そうと、「益々深みにはまった」結果です。

 キャピタルロスが発生した時、多くの人は、キャピタルゲインで取り戻そうと考えるようです。もちろん、シコシコ稼いで取り戻せるような額ではないということもあるでしょうが、やはり「あぶく銭の損」は「「あぶく銭の儲け」で取り戻すのが当然という心理からでしょう。

 このますます「深みにはまる」というのがまさに「ギャンブルの特徴」です。
 信用取引でも、現引きが出来る程度のレバレッジの低い範囲のものでしたら、損切り、塩漬けといった選択も可能でしょう。

 今の国際金融情勢を見ていますと、現物での損も巨大ですが、信用取引のレバレッジが大きすぎて、想定元本の損がどこまで大きくなるかわからないといった声も聞かれます。要するに、自分たちのまともな稼ぎで手の届く範囲( GDPや経常収支)をとうに超えて、キャピタルゲイン(あぶく銭、イージーマネー)でやりくりするのが当たり前のこととしてまかり通っていたということです。

 こんな不健全な金融取引の世界をだれが作ったのでしょうか。IMFや世銀は何故そんなことを認めてきたのでしょうか。そしてその結果、IMFや世銀自体が、今まさに「深みにはまる」状況にあります。これでは、国際金融情勢は益々混乱し、混乱の極みに達し、世界経済は深刻の度を増すでしょう。マネー至上主義の生み出すのは混乱ばかりです。


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