tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

人民元切り上げ問題 (2010年)

2010年01月02日 12時42分09秒 | 経済
人民元切り上げ問題 (2010年)
 明けましてお芽出度う御座います。
 今年は上海万博の年です。先日、関志雄さんのお話をお聞きした時、関さんは、日本と中国を比べると、社会全体として中国の現在は約40年前の日本と仰言っていましたが、大阪万博が1970年ですから、矢張り40年前になります。 あの頃、日本は元気でした。

 今年も中国は元気でしょう。アメリカも健全な元気さ(借金→消費でない)を取り戻して欲しいですが、矢張り中国を始め、アジアの元気は日本の期待でもありましょう。

ところで、年末に中国の温家宝首相は、「さまざまな人民元切り上げの圧力があるが、我々は絶対に応じられない。」と新華社のインタビューに答えたということです。新華社インタビューという形で、改めて中国の立場を世界に示したということでしょう。

 そもそもA国がB国に対して、B国の通貨を切り上げろということは、どういう事なのでしょうか。基本的には、「A国の物価が高く、B国の物価が安いので、A国はB国と競争しても負けてしまう。これではとてもたまらん、B国は通貨を切り上げて競争力をイーブンに戻すべきだ。」ということでしょう。

 しかしその背景には、通常、B国が健全・堅実な経済運営をやってきたにも拘らず、A国は放漫な経済運営をしてインフレを招き、物価が上がって競争力がなくなってしまったという事実があるわけです。B国というのは、丁度プラザ合意前の日本 のような状態です。

 本来の経済運営から言えば、放漫な経済運営をしたほうが悪いのですが、多くの国が放漫だったので、数を頼んで堅実な経済運営をしてきた国に通貨価値切り上げをやらせるという事でしょう。しかしこれでは、真面目に堅実な経済運営をする意味はなくなります。

 地道なトレーニングで力をつけたら、ハンディを上げて勝てなくする。ゴルフ方式という事でしょうか。しかしゴルフでもそれは仲間内の話しで、プロの試合ではハンディはありません。

 しかも、巨大な国際投機資本などというものがあって、切り上げなど認めようものなら、何をされるかわからない、というのが今の国際経済社会です。

 中国に人民元切り上げを迫る先進諸国は、自分たちのやってきた経済運営についての反省はあまり無いようです。頑張ったものが成果を得るというのが、自由経済の原則ならば、人民元切り上げ圧力は、ただの横車という事になります。

 但し、中国が改革開放前後の1980年代後半から1990年代前半にかけて、人民元を対ドルで半分以下に切り下げたところから、現在の中国経済の発展がスタートしていることを、改めて問題にするなら、その視点を改めて明確にして論議すべきでしょう。