tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本経済再活性化の可能性を考える その5

2009年07月15日 15時52分30秒 | 経済
日本経済再活性化の可能性を考える その5
 7月2日付のこのブログ「日本経済再活性化の可能性を考える その3」で、よく言われる日本経済の閉塞化の原因として、「成熟段階に達してしまった」「少子高齢化・人口減少問題」「輸出依存の限界」の3つを主なものとして挙げました。
 今回はこれらの中で、3つ目の輸出依存経済の限界について考えて見たいと思います。

 問題はいくつかあると思いますが、気が付くものとして、
  ①対米輸出重視の問題、②何のための輸出だったのか、③成果の活用の失敗
という3つの問題を取り上げて見たいと思います。

 先ず対米輸出重視ですが、これは早急に見直しが必要でしょう。確かにアメリカは世界最大の市場でしたし、今後も大きな市場でしょう。しかし 規模の見直しは必須だと思います。過剰消費で膨らんでいた分は貯蓄率の上昇で凋むでしょう。アメリカ経済健全化の過程です。
 アメリカ経済が立ち直ってくれることは、世界経済にとって大事です。しかし健全になって立ち直るのでなければ意味はありません。従来のような双子の赤字の下での不健全なアメリカのままの回復を期待するようなことは避けるべきでしょう。
 日本にとって、アメリカ以外のより健全な成長市場の更なる積極的開拓や育成に一層の注力をすることがますます大事になるでしょう。

 何のための輸出だったのかについては、無資源、加工貿易型日本経済の場合、目標は歴然でしょう。日本にとって資源は金で買うよりないのです。
 だからといって、輸出を成長の主柱に据えて、増えれば増えるほどいいように勘違いをしてはいけないと思います。多少の余裕を持って資源確保を可能にすることが出来れば・・・、ぐらいの目標を持つべきでしょう。日本経済の主目的は国民の生活の改善にあるのですから。これは次との関連もあります。

 第3は輸出主導で得た外貨の活用の問題です。日本経済の「経常黒字」の別の面である日本経済のおける「貯蓄」の活用という意味では、日本はどうも適切な政策を採ってきませんでした。1500兆円といわれる個人貯蓄の累積が、国民へのまともな利息の還元もなく 、不胎化されているように感じられます。
 そのカネで他人が儲けた「円キャリ」などは無策の象徴ではないでしょうか。
 
 この辺りをきちんと整理し、政策を立てていけば、日本経済成長の可能性はいくらでも出てくるように思います。