tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

不良債権の国際移転

2007年10月17日 10時51分48秒 | 経済
不良債権の国際移転
 野村ホールディングスが1450億円の損失を出したという記事が昨日の新聞に出ていました。ご存知、アメリカのサブプライムローンを組み込んだ証券を買ったことによるものだそうです。昔から「調査の野村」といわれ、野村総研のような国際的な研究所も持っている野村でもそんなことが起こるのですね。

 日本だけではありません。すでにイギリスではノーザンロック銀行で取り付け騒ぎが起き、イングランド銀行が救済に乗り出したそうですし、ドイツではドイツ銀行が22億ユーロの損失を出したそうです。いずれもアメリカのサブプライムローンを組み込んだ証券を買ったことによるもののようです。

 日本でも、昔、住専問題というのがあって、住専の背負った不良債権を誰が負担するかが問題になり、中でも6千億か7千億を国民の税金から負担するということで大騒ぎになったことがありました。日本では、その債権を証券化して国際的に売りさばくようなことは考えなかったので問題は国内だけのものでした。

 今日では、といいましょうか、今日のアメリカだから、といいましょうか、債権は証券化され世界に販売されます。優良債権であれば世界中に望ましい資産運用のチャンスを提供しますが、サブプライムローンのようなものが組み込まれていれば、これは常に不良債権の国際移転という危険性を伴います。

 証券の元になっている債権が優良債権か不良債権かは、結局は購入者が自己責任で判断するよりしょうがないのでしょう。トリプルAがつけてあっても、格付け会社が責任をとってくれるわけではありません。購入者にとって大変なのは、もともとの債権がが優良債権なのか不良債権なのか、それが解らないほどの複雑な証券化になっているということなのでしょうが、購入した金融の専門機関でもわからないのですから、格付け機関だって、本当は解らなかったのではないかと思います。
 
 かつてのチューリップの球根のバブルとか南海泡沫会社とか、情報の未発達時代の情報不足による経済の混乱が、今日の情報化時代でも起こるというのは、人間の知恵が本質的には、あまり進歩していない証拠でしょうか、などと思ってしまいます。