tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ブルドック対スティール

2007年06月25日 23時01分45秒 | 経営
ブルドック対スティール・パートナーズ
 昨日開かれたブルドック・ソースの株主総会で、スティール・パートナーズのTOBに対する対抗策が、株主の8割の賛成を得て決まったとニュースが報じました。スティール側は、その実行の差し止め請求を裁判所に提出したそうですが、これは、今後ますます発生しそうな、こうしたファンドによる企業買収に対する日本人の反応を示す”はしり”の事例のひとつということになりそうです。

 ニュースでは、個人株主の多くがブルドック側を支持したことを報じて、個人株主への取材や街頭インタビューをしていましたが、多くは、スティール側の説明が「対抗策には金がかかるから、それなら株主配当にまわしたほうがいい」というだけで、ブルドックをどう経営して株主に報いるかには触れなかった、といった意見でした。

 ブルドックのような伝統のある会社の場合は、投資して金を儲けるというよりも、安定した資産株として持っていて、会社に愛着を感じていたりして、株主優待などを楽しんでいるといった個人株主が多いのでしょう。そうした人たちは波乱はあまり好みません。

 最近のアメリカのように、金さえ儲かれば、といった投資が多くを占める風土とは(かつてのアメリカはそうではなかったようですが)日本は違うようですし、多分将来もアメリカのようにはならないでしょう。

 だからといって、物言わぬ株主に便乗して、ぬるま湯経営をやるといいうのなら問題でしょうが、今の日本経済はぬるま湯経営をやれるような状態ではありません。

 しかし、こうした経験を積み重ねると、日本の株主も「物言う株主」に多少はなっていくでしょう。それは経営に良い刺激を与えるものかもしれません。そうした中から、日本は日本らしい企業と株主の関係を作っていくことが出来れば、それは大変結構なことだと思います。

 日本の企業の経営者と従業員の関係(労使関係)は、国際的にも認められ、評価されているように日本独特なものです。企業と株主の関係も、日本は、新しいいろいろな経験の中から「日本的なもの」を積極的に模索していけば、結果は必ずいいものになると思うのですが。