司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

パスポート(2020年旅券)の住所記載欄の廃止

2020-03-25 13:01:40 | 不動産登記法その他
 令和2年4月1日施行の犯収法の改正の関係で,本人確認書類が変わるという告知の中に,次のような説明が散見されるようだ。

「パスポートは「2020年2月3日以前に申請した日本国発行のものに限る」という制限が加わった。様式変更により、葛飾北斎の「冨嶽三十六景」をデザインに取り入れた2月4日以降に申請して交付されたパスポート(20年旅券)には、従来、住所などを記載していた所持人記入欄がなくなったためだ。」(後掲BCN+R記事)

cf. BCN+R
https://www.bcnretail.com/market/detail/20200324_163405.html

「2020年2月4日以降に申請されたパスポート(新型の2020年旅券)は、住所記載欄(所持人記入欄)がないため、本人確認書類・補完書類の対象外となります。」(後掲おでかけネット)

cf. JR西日本おでかけネット
https://www.jr-odekake.net/j-west/news/pdf/oshirase_change.pdf


 ん~,ということは,不動産登記規則第72条第2項第1号の本人確認書類としても,不適格ということになりますね。

 これに対応する省令改正等は,未だありません。
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10 コメント

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Unknown (とうき君)
2020-03-25 15:25:29
不動産登記規則第72条第2項第1号は、同2項及び3項と異なり「住所」は要件となっていないようですが
Unknown (Unknown)
2020-03-25 17:03:28
たしかに条文上は住所氏名の記載は要件ではないようですね。
ただ住所記載の無いもので司法書士が本人確認したといえるかという疑問は残りますね。
権利証がない本人確認は通常のものより当然厳格に行うべき職責上の責任が内在していると思いますので。
Unknown (あ)
2020-03-26 12:19:17
1号の書類と2号3号の書類は、顔写真がついているかついていないかという違いがありますが、顔写真は本人証明の力が強いからこそ書類1つで十分とされているのだと思います。
顔写真の無い2号3号の書類とは違い、たとえ住所の記載の無い書類であっても1号書類に当たるのでしょう。(当たらなかったら改正されているはずです。)
Unknown (内藤卓)
2020-03-26 17:24:24
皆様,コメントありがとうございます。

顔写真付きといっても,例えば,パスポートは10年間有効のものもありますし,写真映りで別人にしか見えないことがあります。逆に,兄弟姉妹等(例えば,双子。)のように,別人だけどそっくりのこともありますよね。

また,「同姓同名」+「同一の生年月日」による取り違え事故は,時折報道されているところです。

私は,本人確認書類としては,やはり本人特定事項として,「氏名」「住所」「生年月日」の3点が明記されたものである必要があると考えています。

パスポートは,平成16年不動産登記法改正前においても,本人確認書類として,鉄板のものであったために,改正の際に外せなかったのではないかと思います。また,通常は,「住所記載欄」がある以上,住所の記入がされますしね。

最近では,商業登記の申請の添付書面としての本人確認書類としては,パスポートは不可とされています。官公署が「住所」を記載したものではないから,というのが理由とされています。この場合の本人確認書類は,実在性の証明であるという観点からは,可としてもよかったはずですが。

というわけで,「2020年旅券」は,不動産登記規則第72条第2項第1号の書類としては,適格であるとはいえない,と考える次第です。
Unknown (あ)
2020-03-26 18:12:09
旅券については括弧書きの中で「ただし、当該申請人の氏名及び生年月日の記載があるものに限る。」とされているので、顔写真と氏名と生年月日は必須です。住所の記載が無いことのみが問題になります。
双子の場合、住所が同じ場合は、住所が記載されていてもされていなくても本人確認の困難さは変わりませんよね。また,「同姓同名」+「同一の生年月日」による取り違え事故については多くの場合、顔写真があれば回避できると思います。
そうすると、住所の記載の有無によって影響が出るのは、二人の人間がそっくりさんで同姓同名で同一の生年月日で住所が異なる場合ですが、かなりのレアケースではないでしょうか。

また、今までの旅券も住所を自分で書くものでしたから、嘘をつくことはいくらでもできたわけですし。そういう意味では、今までの旅券とあまり変わらないようにも思います。
また、資格者代理人は本人確認情報として、書類の内容だけでなく「申請人が申請の権限を有する登記名義人であると認めた理由」も提示しなければなりませんし、登記官がその内容を相当と認めなければ登記されません。登記官の裁量があるから、商業登記の添付書類よりも基準が緩いのではないかと思います。
Unknown (あ)
2020-03-26 18:45:08
すみません。少し訂正させてください。
取り違え事故については多くの場合、顔写真があれば回避できると書きましたが、登記には顔写真が載ってるわけではないので回避できませんね。
Unknown (中村)
2020-03-27 08:25:04
実態あっての手続法ですので実体的な確認に不備がある以上は不動産登記規則第72条第2項第1号の書類としては私も適格であるとはいえない思います
新年金手帳と同じ (みうら)
2020-06-28 14:02:37
便宜の個所に住所記載すればよいだけれ。
本人確認情報作成時の確認書類(旅券について) (なかえ)
2023-06-22 14:30:43
本人確認情報作成時の確認書類(不動産登記規則第72条第2項)月報司法書士5月号(P74.75)ナンバー615に、「本人確認情報作成時における本人確認書類として引き続き使用できることにご留意ください。」
との記載があり、いささか混乱しております。この内容は日本司法書士連合会不動産登記法改正等対策部の記載なのですが、誤りということでしょうか?実務上住所氏名生年月日は確認するため、旅券のほか住民票や印鑑証明書、健康保険証などの補足書類で確認するのですが、適法に令和2年2月4日以降発行の旅券が本人確認情報作成時の本人確認書類(1号)1点のみでOKとならないにもかかわらず1号書類に列挙されているのもどうなのかと感じております。内藤先生のご見解並びに法務局実務の対応でご存じの情報がございましたらご教示お願い致します。
御回答 (内藤卓)
2023-06-23 08:39:17
 月報司法書士の当該記事を未だ拝見しておりませんが,結局のところ,本件に関して,不動産登記規則の改正がされていませんので,従来どおり「使用できる」ということになります。

 とはいえ,マイナンバーカードの普及率も高くなっていることから,本人確認情報の作成の要否にかかわらず,パスポートのみで足りると考えるのではなく,複数の書類で確認するのがよいと思います。

 本人確認書類の取扱いについては,各官公署又は各企業により扱いが異なりますが,登記所において,登記事項である「氏名及び住所」のうち住所の記載がない書類を,本人確認書類として適格性を有するという実務を維持するのは,いかがなものかと私は思います。

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