セナ以前にF1GP中(テスト、他カテゴリーのレース中等は除く)に事故死したF1ドライバーは23人。
1954年ドイツGP - ニュルブルクリンクで開催されたドイツGPの予選において、マセラッティのオレフノ・マリモンの事故死をはじめに、1970年代は8人と年々増加の一途をたどった。しかし、事故を防止するための種々のレギュレーションの設定や、軽くて機械的な強度の高いカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)・モノコックの採用など材料面の進化から、死亡事故は80年代に2人まで減少した。そして、悪魔のいた超高速サーキット、1994年のローランド・ラッツエンバーガー、セナと続く。F1とは、元来、危険なスポーツである。そう認識すべきであろう。
1994年から11年続いた裁判で、人類は何を学んだのだろう。また、1審から最高裁へとウィリアムズ・チームが勝ち取ったものはなんだったのだろう。そして、検察側は結局何を主張したかったのだろう。
また、我々はこのセナ裁判になにを期待したのであろうか?2~3人のスケープ・ゴートの作業ミス、あるいは設計ミスに起因する事故原因の特定?高速のカーブのドライビングにおける空力工学的な知見?あるいは溶接材料の材料破壊力学に関する情報?より安全なヘルメットに関する知見?F1の巨大なショー・ビジネスにおけるマネー流通の詳細?