tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

悪魔のいた超高速サーキット(1)

2007-01-10 19:41:24 | bad news

アイルトン・セナ・ダ・シルヴァ。いわずと知れた、天才Formula 1(F1)ドライバーだった。
1994年5月1日、サンマリノGP決勝において、イタリア・イモラ・サーキットのタンブレロ・コーナーと名づけられた超高速の左コーナーにクラッシュ、そのまま帰らぬ人になった。彼は生涯で3度のF1ワールド・チャンピオンを獲得した偉大なドライバーであったばかりか、伝説に生きた最高のドライバーであった。この物語は、グランプリ出走161戦目、34歳の若さで亡くなった事故当時から現在もなお世界中の人々を魅了してやまない男、アイルトン・セナについてのものである。

セナはブラジル人だが、その中ではマイノリティーのイタリア系移民だった。面長で色白、美男子だがどこか悲壮感の漂う印象があった。1994年5月1日午後7時45分、搬送先の病院で彼の死亡が確認された。大破したF1カー「ウィリアムズFW16」 のサスペンション・アームがBellのヘルメットのバイザーを貫通して、彼の額を弾丸のように直撃したのが致命傷となった。彼は前頭部及び側頭部の頭蓋骨を複雑骨折しており、脳器官に重大なダメージを負っていた。サスペンション・アームに使われていたCrMo系の特殊鋼は非常に強度の高い材料であるが、許容限界を過ぎると変形せずに脆性的に破壊する。もし、この破片の飛翔する軌道がほんのわずかにずれていたならば、彼はクラッシュしたマシンから這い出してこれたのかもしれない。コースすぐ右脇のコンクリート製ウォールへの激突は、第1戦、第2戦同様のポール・ポジションからスタートして6週目、現地時間で14時17分のことであった。