tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

You can go?

2013-03-31 23:14:27 | プチ放浪 山道編

 
 

1896年に始まったゴールドラッシュ時代、一獲千金を狙う人々がドーソン・シティへの中継地点として集まった場所、それがホワイトホースの町の始まり。ホワイトホースの地名は、ユーコン川の早瀬が白馬のたてがみのようだったことからつけられたという。その場所は、いまはダムの下らしい。
その後、スキャグウェイからのホワイト・パス&ユーコン・ルートをはじめ、アラスカ・ハイウェイやクロンダイク・ハイウェイなどが建設されてホワイトホースは交通の要所となった。

町の人口は約27,000人で、準州全体の約8割の人が住んでいる。
ダウンタウンは南北に2km、東西に1kmほど。歩いてもあっという間に大きさ。メインストリート周辺には、アウトドア用品の専門店やレンタルショップが建ち並ぶ。

ホワイトホースでは、冬の間、路面の雪でタイヤが滑らないように、道路に砂利をまく。砂利をはねて車が走るので、フロントガラスが割れている車をよく見かける。だから、町の規模の割には自動車の修理工場が多く、フロントガラス修理の看板をかかげている。
そして、車のフロント部分には100ボルトのプラグコード(日本で言うコンセント?)が出ている。
また、各家の駐車場には、差込口(コンセント?)がある。
さすが、環境と調和した自然志向の高い町と思いきや、氷点下で車のエンジンをスタートさせるためのヒーター用だった。
不凍液に使われるエチレングリコールの融点は-12.6℃。一方、ホワイトホースの冬(1月)の最低気温の平均は-22℃。不凍液を凍らせる冬の寒さから、エンジンをスタートさせるための生活の知恵だ。

一方、人間を内側から暖める・・・地ビールの製造はYukon Brewing Companyがある。
2012年にカナダ国内のビアー・オブ・ザ・イヤーに輝いた「ユーコンレッド」や「ユーコンゴールド」。破砕したコーヒー豆と一緒に発酵させた「エスプレッソスタウト」というユニークなビールもある。
カナダではスーパーでお酒は買えないので、お酒は数件ある酒屋か、あるいは、バーで。
バーに行き、カウンターの金髪のお姉さんに「ビール」を注文すると
「You can go?」
のお言葉。
・・・何言ってるんだろうと思ったら、地ビールのロゴを指さした。・・・ユーコンゴールド。
自分の聞き間違いがとんでもなく意味深なのに思わず笑ってしまった。金髪のお姉さんに愛嬌たっぷりに「ユーキャンゴー?」と聞かれたら、たとえどこへであれ「ウン」とうなずくほかない。
大自然の恵みに感謝しながらの一杯。時差ボケもあって、すっかりほろ酔い気分になってしまった。


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恋する宇宙

2013-03-30 21:37:07 | プチ放浪 山道編


 
 

ネットでオーロラを検索すると、オーロラがどうやって発光するのか、そのメカニズムを記述している文章があちことで見つかるが、天体に詳しいアスペルガー症候群・・・(失礼)天体オタクたちが書いた文章なので、どうにもわかりづらい。なので、できるだけ平易な言葉で発光のプロセスを説明してみようと思う。

地球の大気は上層に行くにつれ、密度の小さい(比重が小さい)ヘリウムや水素、酸素ガスが多く分布する。太陽からの紫外線などの宇宙線(電磁波)が地球の大気の上層部に降り注ぐと、これらのガスの電子が飛び出し、電子とイオン種に電離し電離層を形成する。
飛び出した電子は地球の磁力線に沿って、北極上空へ移動し、そこで電子のシャワーとなって地上に降り注ぐ。一方、プラスの電荷にチャージしたイオン種は南極上空へ移動。ガスの存在比において、ヘリウムや、水素などよりも存在量が多い酸素イオンが失った電子を求めてそれぞれが結合し、オゾンを形成する。・・・オゾン層の成因だ。

さて、北極上空で磁力線に沿って降り注ぐ電子は、オゾン層中の酸素原子と衝突し、その電子を励起させる。酸素の輝線スペクトルは558nmと630nm。前者が黄緑で後者が橙色。
http://www.flickr.com/photos/11304375@N07/2844510582/
この酸素の輝線スペクトルがオーロラ発光として地上で観察される。つまり、オーロラは主に酸素の558nmと630nmの輝線スペクトルが合わさった色として観察されるわけだ。一方、長波長側の橙色スペクトルは、励起させるためのエネルギーがより大きいため、そこまでの励起する確率が低く、オーロラは558nmの黄緑が主体となる。
北極上空で磁力線に沿って降り注ぐ電子は、滝のようなイメージだろうか。電子の量は、太陽からの宇宙線(電磁波)の量と強さに比例する。
したがって、オーロラ発光は、実は一日中起こっていることになる。実際には太陽の光のため、日中は見えない。

なお、この説明には古典的力学の知見のみで説明しているが、当然のことながら電子には波としての性質もある。オーロラがカーテン状に揺らいで見えるのは波の性質で説明できるのだが、その説明は思わぬところで破たんしそう(知識がないので)なので、止めておく。

ということで、酸素および一部の窒素(青紫色)はオーロラとして発光する。
3月16日深夜。アラスカでauroral breakup(オーロラ爆発)が観察されたその日、ぼくはホワイトホースの郊外でオーロラ観察ツアーに参加していた。
ホワイトホースはアラスカのフェアバンクスからわずかに緯度が低いが、オーロラが観測できるオーロラベルトの端に位置し、ぼくはこの日、アラスカで観察されたオーロラ爆発の裾の部分を写真に撮ったことになる。

実際にオーロラを肉眼で観察すると黄緑と橙色が混ざった白っぽい光として見える。この光がカメラのレンズ(光学ガラス)を通して、CCDのプリズムで分光され、フォトダイオードに電荷を与える。このため、デジタルカメラのメーカー、機種によって写真に捕えられたオーロラの光の色は微妙に異なる。

auroral breakupの後の2日間は、オーロラがほとんどでなかった。ぼくらは、オーロラ待ちの間、ペンライトを使って遊んでいた。

”DO NOT Jump on Moving Trains or Street Cars, even if only to ride to the next street crossing, because this might arouse the "Wanderlust," besides endangering needlessly your life and limbs.”
(From coast to coast with Jack London)


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ユーコン・クエスト

2013-03-29 22:09:27 | プチ放浪 山道編


 
 

現地で借りた宇宙服のような分厚い重装備の防寒ウェアーと言えども、氷点下20℃に達する夜半のオーロラ観察においては、10分も戸外でじっとしていると凍えてくる。
一方、日の出前の氷点下30℃でも、カメラを片手のトレッキング中は、体を動かしているから、このレンタルの宇宙服で十分暖かい。
太陽が出てくると話は別だ。実際、現地の人たちも、ジーンズにダウンジャケットと言った軽装で街を歩いている。建物の中は暖房が効いているので、戸外で過ごすのでなければあまり着こむ必要はない。もっとも、雪まつり中の札幌のように、吹雪の中をミニスカートという女性は皆無であったが・・・。

太陽の下でのマイルズ・キャニオンのハイキングに出発する前、ぼくのいでたちは、ジーンズに持参したコロンビアのダウンジャケットとスポルディングのスノーシューズだった。このいでたちを見たツアーガイドのアドバイスはもっと防寒をとのことで、結局は防寒用のレンタルの宇宙服。膝まであるフェルトを巻いた防寒のブーツがやたらと重たい。・・・これで数キロ歩かなきゃ。夜明け前に10km近く歩き回ったばかりなのに。

カナダ北西部に広がるユーコン準州の東部アラスカ国境に聳える5000mを超える高峰から、極北の大地を滔々と流れるユーコン川。その川のほとりには、18万頭ものカリブー、5万頭のムースやグリズリーにオオカミが生息する。
ユーコン準州は、 世界で最も人口密度の低い州だ。また、その州都、ホワイトホースは、空気が最もきれいな町で知られている。
ホワイトホースの近くには、水力発電所のホワイトホース・ダムがある。ダムができたせいで川の流れも速くなり、その辺りの川はあまり凍らなくなったという。また、せき止められた川にサケの通り道を設置してある。
露出している水面から、氷点下30℃というのに水蒸気の湯気が揺れている。氷点下でも氷の飽和蒸気圧があるためだ。このため、凍結していない川の場所の傍の樹木は、川からの水蒸気が凝固して樹氷となっている。

ネイチャーガイドのアンドリューは、マイルズ・キャニオンのハイキング・コースの途中でめずらしいものを見つけると立ち止まって教えてくれる。それが、リスやコヨーテの足跡だったり、準州の木サバルパイン・ファー とかジャック・パインだったり、カラフトライチョウとか、雪の下に眠るブラックベリーの木だったり。
アンドリューのブーツはエスキモーブーツのようなバックスキンののもの。軽そうなブーツだが、中は暖かく、水が浸み込むことはないという。そのブーツで、軽い足取りで踏み固められた雪のトレッキングコースを進んでいく。コースにはさすがにゴミひとつ落ちていない。

コースを外れるとそこはパウダー状の雪。ブーツが沈み込む深雪だ。氷点下20℃という気温のせいで、雪の上層は氷の結晶がやや大きめだが雪が締まってはいないので、簡単に地面まで雪を掘ることができる。
動物たちや植物は雪を防寒着にして冬を過ごすという。

途中、休憩の際に、いれてもらった紅茶とベリーやナッツがたっぷりと入った手製のクッキー。ほんのりとした甘さが疲れを癒してくれた。さすがにネイチャーガイド。過剰包装の市販クッキーなんかじゃない。


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Native heart

2013-03-28 22:11:18 | プチ放浪 山道編

 

現代社会で孤独を抱えていた男と女が、伝説のシャイアン族との交流により暖かい心を取り戻していく様を描いた映画。
ラスト・プラトーンのトム・ベレンジャーが、シャイアンの生活にすっかり魅せられて村に残ることにした先住民族研究家のリリアン教授(バーバラ・ハーシー)と別れる際に見せた悲しげな表情が忘れられない。

カナダのファースト・ネーションズの信仰も霊的信仰であり、人間と動物の世界とは密接に関係しているとしている。そして、オオカミなど身近な動物や伝説上の精霊を守り神として、シンボル化している。
その中の一つ、ワタリガラス(Raven)。
Ravenは、彼らの神話における最も重要な文化的なヒーローで、何事をも可能にしてしまう、ずる賢さを兼ね備えた手品師であり、そのマジックを使い空に太陽、月そして星を導き、世界に光を与えた創造主と信じられている。

バリー・ホルスタン・ロペス著「オオカミと人間」によれば、オオカミがカリブーを狩りに出かけるときは、カリブーの所在をワタリガラスの教えから知るのだという。
このワタリガラスは、オオカミの狩のおこぼれを期待して後を追い、獲物を見つけると一休みしているオオカミをせき立てるという。カラスは上空からはるか彼方を見渡して獲物の居場所を探し出し、それを地上を徘徊するオオカミに提供し、狩りを代行させ、その利益の一部を分配してもらうのである。
おそらくオオカミとワタリガラスは、それぞれの社会のうちに互いの存在を許容して連帯関係を結んでいるのだろう。冬のアラスカやシベリアといった極北の地で生き延びるための知恵だ。

さて、日本では、三本足の鴉、八咫烏は、日本神話において「天」より遣わされ、初代天皇・神武天皇を熊野から吉野に導き入れて大和朝廷を打ち建て、日本統一をなしとげる際の道案内をした。 太陽神を意味する神聖の象徴と考えられ、勝利へ導くシンボルだ。
・・・やっぱり、似てるような気がする。ファースト・ネーションズと日本人。


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The Gold Rush

2013-03-27 22:45:50 | プチ放浪 山道編

 

映画「黄金狂時代」の原題。
チャールズ・チャップリンが黄金と飢えに翻弄される人々の姿を描いた映画。
この映画の中で、雪山で飢えたチャップリンが己れの革靴を茹でて食べるシーンがでてくる。

ホワイト・ホースの街並みを案内してくれたガイドさんが言うには、奥地で冬の間雪に閉じ込められた宣教師が、空腹を自分の靴を食べて生還したのは、先住民族の知恵を知ってたからとのこと。
つまり、ネイティブ・アメリカンたちは、生活の知恵として動物の皮でできた衣類を非常用にも用いるとの説明だった。
・・・この説明を聞いて、思い出したのがチャールズ・チャップリンの「黄金狂時代」のワンシーン。チャップリンはこのシーンを撮るため、ゼラチンあるいは果物の皮からなるリコリス菓子で模造した例のドタ靴を食べたらしい。完璧主義者だったチャップリンは、このシーンを何度も撮りなおすたびにフェイクのドタ靴を食べたらしく体調を崩したようだ。

ネイティブ・アメリカンの生活の知恵とのことだが、気になって調べてみたら、どうもそうではなさそう。
第一、土地から土地へ、大地に結びついて数千年にわたって生きてきたネイティブ・アメリカンたちが、そう簡単に飢えに陥るのは考えづらい。
むしろ、アメリカの独立戦争のころ、カナダ東部の州の1つであったイギリス領ケベックを占領すため、1775年にアメリカ大陸軍が行った遠征で、デッドリバーを上るのに苦労した遠征隊は積んでいた食糧を水没し、食糧難になった彼らがろうそくの蝋と靴の皮とで乏しい食糧を補っていた史実がその元ネタなのかもしれない。

伝説とは、語り継がれる間に大きな変貌をとげるものだ。
もっとも、今の世の中は、ネットで情報を簡単に検索することができるので、お腹が空いて「靴を食べる」という衝撃の真実はもっと現実味を帯びてくるのかもしれない。
例えば、
http://www.dressful.com/7002/tokio-kumagai-shoes-to-eat
実際に食べた人もいるのだが・・・・
http://en.wikipedia.org/wiki/Werner_Herzog_Eats_His_Shoe


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