tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

悪魔のいた超高速サーキット(5)

2007-01-14 21:22:00 | bad news
セナはタイヤを温めるため、ジグザグにコース上を走行していた。すぐ後ろにはシューマッハがいる。実は、シューマッハの乗るベネトンB194には、レギュレーション違反のトラクション・コントロール・システムが搭載されていた。やがてペース・カーのライトが消えた。ようやくコースはクリアとなりローリング・スタートとなる。再スタートで、セナとシューマッハは急激にペースを上げる。3番手以下との差はあっという間に開いた。
セナはポール・ポジションから飛び出していく。ポール・ポジションからいち早く飛び出し、最初の数週で2位に圧倒的な差をつけ、あとはその差を維持するのが彼の勝利のスタイルであった。そのため、彼のレースの戦績を振り返れば、レース中の後半に記録されることの多い最速ラップ・タイムの獲得数は19回であり、彼が持つ41回の勝利数、65回のポール・ポジション数と比べると数が少ない。
セナは、コーナリングの際に他のドライバーのようにアクセルを閉じることはせずに、常に回転数を調節しながら運転した。これは進入時の安定性を向上させるとともにコーナー脱出時の早いエンジンの吹き上がりをもたらす。このセナ独特の小刻みなコントロールは「セナ足」と呼ばれ、燃費は多少悪くなるもののコーナーの立ち上がりの加速で差をつける。1989年第12戦イタリアGPでは、予選時にレズモ・コーナーにおいて、マクラーレンMP4/4・ホンダの同僚のアラン・プロストと同じホンダV10エンジンを使っていながら1000回転も高くコーナリングしていたというデータがある。