tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

・・・少しだけ、共生の話を書いておこう

2010-06-30 22:32:48 | プチ放浪 海沿い編

 
 
 
 

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日本代表のW杯が終わった。選手たちの表情をみながら言葉にならない感動が心を満たした。結果は残念だったが、W杯前には想像もできないような盛り上がりを見せたのは、やはり日本代表がおおいに健闘したからだ。未到の域まで駆け登ってくれた。敗れ去ったのではない。次がある。若者たちの輝きに、ぼくら大人たちもまた襟を正そうと思う。本当に ありがとう。
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「世界遺産・屋久島の森。植物と動物のたくみな共生の仕組み」と屋久島の森についてよく言われるが、植物同士、あるいは、植物と動物が屋久島で共存できているのは、何千年にも渡る過酷な生存競争の延長上にある一過程でしかない。
環境の変化や外来種の繁殖などの外的変化で、それまではバランスの取れた生態系が敏感に変化してゆく。
つまりは、屋久島の今ある共生は、「すべての動植物の遺伝子は、遺伝子自身の繁栄を優先する」というルールに従って存在しているに過ぎないということだ。
「共生関係」として良く取り上げられる「クマノミとイソギンチャク」は、たまたま「イソギンチャク」の触手の毒に対する耐性を取得した種が生き残ってイソギンチャクに生息しているに過ぎない。

自我の発達した人間にとっては「自己」が生き延びられるということが「強い」生き方だ。一方、野生動物においては、自分の子孫を後世に残せる、ということが「強い」生き方となる。
だから、弱肉強食の頂点にいる百獣の王ライオンはその生死が餌となる草食動物に依存している分、餌となる動物種の方が本質的には強いのかもしれない。

こうした関係を人間と環境との関係にあてはめ、人間は生態系の一部であり、人間に多大な恵みを与え、生存基盤でもある環境を保全していく重要な責務があるとするのが環境保全推進者たちの主張するところだ。「自己を優先せずに遺伝子自身の繁栄を優先する」と言う意味で理にかなっている。
人類の爆発する人口増加の行く先には、近未来の食糧難と、それに続く大量の餓死が待っている。われわれは地球規模の食糧難という巨大な時限爆弾を抱え込んでいるのだ。

だが、人類は破壊と同時に自然に対する働きかけができる。それは「再生」だ。
暗鬱な人類の未来だが、少しだけ「希望」が残されているように思う。
この先、人類は、自然と動物、動物と人間、個と集団、男と女、もろもろの関係性の中で、共生をとことん追求することが必要となるのだろう。
どんなに絶望的な関係の中でも決してあきらめないこと。人類の将来は、かつての戦争による人口減少だけが選択枝ではないということ。
だからこそ、ぼくらは「死」と向き合っていることを常に意識しなければならないのかもしれない。
***世界遺産 屋久島編 了


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生きろ。そなたは美しい。

2010-06-29 22:23:07 | プチ放浪 山道編

 
 
 
 

・・・心に傷や痛みのある人にはわかるだろう

先日、とあるダイビングショップのツアーで。
ゲストの中に、ぼくと視線を合わせようとはしない若い女性がいた。
視線の先は、常に手にした水中カメラのハウジング。
この日の富戸のダイビングで言葉を交わせたのは、一足先にダイビングを終えたぼくが、エキジットして機材を片付けていたチームのウエイトをまとめて運ぼうとしていた時だけだった。

ウエイトを重そうに持ち上げたぼくに
「ウエイトは軽トラで運ぶから・・・」
と彼女。それでも、彼女はぼくに視線を向けることはなかった。

ひょっとしたら、彼女は軽度の強迫神経質症じゃないかと思えた。
一緒のチームじゃなかったので、彼女の水中での様子はわからない。
ただ感動したのは、他のみんなが昼食を食べ始めても、インストラクターが一人でぐずぐずなんだかやっている。
そこへ、着替えに遅れた彼女がやって来て、はじめてインストラクターはお弁当の昼食を一緒に食べ始めたのだ。
・・・さりげなく、気を使っていることを悟られず、普通に接すること。
水中では言葉によるコミュニケーションが取れないから、事のほかアイコンタクトが重要になる。
視線恐怖症におびえる彼女がダイビングを続けられるのは、普通に接してくれるインストラクターがいてくれるからに違いない。

宮崎監督は「もののけ姫」で、共生することの難しさを描いた。
そしてラストでは、もののけ姫に対して「きみは山に帰れ、私はあの村に残る」とアシタカに言わせた。
アニメファンには不評のラストだが、宮崎監督の言いたかったことが痛いほどわかる、心に残るラストだった。

”わからぬ。だがともに生きる事はできる
どうやって生きるのだ。サンとともに人間と戦うというのか
違う。それでは憎しみを増やすだけだ
小僧。もうお前にできる事は何もない。お前はじきに痣に食い殺される身だ。夜明けとともにここを立ち去れ”

・・・せっかくの屋久島だ。もう少し、共生の話を書いていこう。。


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くじら座の車

2010-06-28 22:43:11 | プチ放浪 山道編

 
 
 
 

ジェットフォイルのトッピーから降り立ったぼくは、観光客がたむろする宮之浦港を抜けて、そのまま町中のレンタカーの店へ。
借りた車はシャンパン・ゴールドメタリックのダイハツ・ミラ。総排気量658ccの水冷直列3気筒、12バルブDOHCエンジンを積んだ車だ。
板金修理から上がったばかりという車体は、ちょっと見では軽とは分からないような印象。

前回のダイビングの記憶を辿って、海沿いを走って一湊へ。半年ぶりのビーチ。花崗岩が風化した粗い砂が午後の光を反射して白く輝いている。
なつかしさ。地元のダイビング・インストラクター望月氏の屈託のない笑顔を思い出す。・・・どうしているのだろう。
水面に目を凝らしてカメを探すも、見つかりそうもない。青く輝く海原。ウミガメの痕跡を求めて砂浜をざっとチェックした後、さらに、車を進めてウミガメたちが寝場所として選ぶいなか浜の海へ。

いなか浜の夕焼け。地平線の雲を焦がして消える太陽を見る。雲にまじり合うピンク。ピンクはグレーの空に溶けた。そして今日という一日の夜が訪れる。
チャリで植え込みに突っ込んで、血だらけになりながらも、ようやく羽田行きのバスに乗り込んだそんな一日が終わった。
今日は屋久島で太陽が水平線に浮かぶ雲の中に消えた。ただ、それだけのこと。

18:30。薄暮のこの時間を思い思いにすごす人たち。夕陽を背に水着だけで泳いでいる若い外人カップル。手をあげると笑顔で答えてくれた。
小さなバケツに貝殻を拾う女性。砂浜を延々と歩くカップルの旅行者。
それぞれの屋久島がこうしてすぎてゆく。


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銀色の魚の額ぶち

2010-06-25 22:24:57 | 日記

 
 
 
 
(Entry 202~205/365) OLYMPUS PEN Lite E-PL1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm f3.5-5.6 L

”屋久島は山と娘をかゝへて重たい島
素足の娘と子供は足の裏が白い
柔い砂地はカンバスのやうだ
遠慮がちに娘は笑ふ
飛魚の頃の五月
屋久島のぐるりは銀色の魚の額ぶち
青い海に光る飛魚のオリンポスだ。”
(林芙美子、屋久島紀行より)

青い海に光る飛魚は脂が少なく、刺身がすこぶるおいしい魚だ。
トビウオにはいくつもの種類があるらしいのだが、屋久島のトビウオは、ツクシトビウオ、ホソトビウオ、トビウオ(元祖)、ハマトビウオ、アヤトビウオのいずれかだろう。
大きさは25~40cm。刺身は大型の、焼き魚は小型のトビウオがうまいらしい。伊豆七島(三宅島)ではトビウオをくさやにして食べる。
トビウオは海面すれすれを100m~最長400m飛ぶ。
屋久島のトビウオの刺身を美味しく食べるには甘口の醤油がある。秘伝の煎汁と何度もカビ付けした本枯れ節を使った屋久島風醤油。
関東の人たちにはこの甘口の醤油がどうも不評のようだ。(ね!?トミさん、グッチさん?)。
それでも、すっきりした焼酎三岳と、この九州南部特有の甘いしょうゆの組み合わせが、酔うほどに絶品と思えてくる(ね!?かおりちゃん?)。

映画「サイドカーに犬」を見てあこがれた伊豆の大浦海岸のカメノテ。
ここ屋久島では飲み屋に行けば普通にお通しとして出てくる。前に屋久島に来たときに、地元の人が「鬼のつめ」と言ってたような気がしたのだが、ネットで調べてもその事実は見つけられなかった。
カメノテとは、海辺や磯にいる「亀の手」そっくりの奇妙な形の生き物。石灰質の殻をもつ固着動物で、大きさは3 - 4センチ。
甲殻類、フジツボ目ミョウガガイ科に属し、雌雄同体。潮間帯岩礁の割れ目に群生し、波によって運ばれてくる餌を蔓脚(まんきゃく)を広げて捕食する。
・・・塩茹でしたものは、シャコに似た海のにおいと味がする。鬼のつめ。


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哀しく心ゆすぶる雨

2010-06-24 22:29:21 | 日記

 
 
 
 
(Entry 202~205/365) OLYMPUS PEN Lite E-PL1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm f3.5-5.6 L

”灰色の雨 しぶく雨
降る雨 たゞ地に降りそゝぐ雨
ひとに酬いる雨の山道

何處からか都會の風説を傳へて降る雨
かつこうが啼き
羊齒に光る銀色の雨
鋸型の山の彼方に昏く浮ぶ虹
哀しく心ゆすぶる雨。”
(林芙美子、屋久島紀行より)

前回2回の屋久島のダイビング。一湊のタンク下で、2回ともウミガメを見た記憶がある。
http://pub.ne.jp/tetujin/?daily_id=20091110
知っての通り、屋久島のいなか浜、前浜はアカウミガメの上陸密度が北太平洋一高い砂浜だ。
花崗岩が砕けた黄色い砂浜が約1kmに渡って続き、5月から7月にかけてウミガメが産卵の為に上陸する。

アカウミガメは甲長1m程。
赤褐色で頭が大きく、肉食性。クラゲ、イカ、小魚、カニ、ヤドカリなどを食べる。
産卵シーズンの今は、オスのウミガメが交尾の為のメスのウミガメを探しウロウロする姿が見られ、水面では運がよければ交尾シーンに遭遇することができるらしい。

この日、夕日を見に散歩がてら、いなか浜を端から端まで歩いた。
水面に目を凝らしても、残念ながら水面で呼吸するウミガメを見つけることはできなかったが、小さな貝殻を一人で拾っている女性に出会った。
1cmにも満たない小さな巻貝たち。砂や珊瑚の欠片の間に転がっているのだが、なかなか見つけられない。
幼い貝が海中で死んで砂だまりに打ち上げられるのだろう。いく種もの小さな個体の貝たち。

黒潮の海からのプレゼント。
耳元にカラカラっと海のざわめきが聞こえる。
もうすぐサンセット。西の雲をピンクに染めて夕焼けが始まる。
明日はぐっちが期待の雨。


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