セナの事故があった問題の第3戦目のサンマリノGPは、史上最悪の週末と呼ばれている。その悪夢は予選からのアクシデントで始まった。予選1日目、ジョーダンのルーベンス・パリチェロがバリアンテ・マルボロコーナーで右に振られてクラッシュ。鼻と胸部・右腕を骨折。そして予選2日目、シムテックのローランド・ラッツウェンバーガーがトサコーナー手前でフロント・ウイングがはずれ、最高速度でウォールにクラッシュ。午後2時15分、搬送先の病院で死亡。セナは事故死した彼に哀悼の意を表するため、翌日の決勝戦においては、彼のマシンのコクピットにラッツェンバーガーの母国オーストリアの国旗を用意していた。恐らく彼は、表彰台(ポディウム)で半旗を掲げるつもりであったのだろう。また、セナはこの予選で、タンブレロ・コーナーの路面の補修状態が悪く凹凸が非常に激しいため、レギュレーション違反で搭載されていたFW16のアクティブ・サスペンションの動作が不安定であり、このため路面の修理状況を大会関係者に問いただしていた。