tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

悪魔のいた超高速サーキット(10)

2007-01-19 19:52:54 | bad news

ステアリングの改修を要請したのは他でもないセナ自身である。大径ステアリングを好んでいたセナは、空力を追及したFW16のコクピット内が狭くドライビングがしづらいとの不満を持っており、常々ウィリアムズのエンジニアらに改善を要求していた。事故が発生したサンマリノGPのレース直前にも、FW16のコクピット内における足元のクリアランス確保の為、ステアリング・コラム・シャフトの位置変更とその接合溶接が行われた。セナの事故は、ステアリング・シャフトの溶接部が金属疲労により破損したことが原因とされた。

もちろん、チーム側は、これに反論する。1997年10月29日、法廷に出廷したフランク・ウィリアムズは事故原因がステアリングにあるという主張を否定した。
「我々は真相を求めている。事故後テレメトリーを調べ、何度もシミュレーションを行った。その結果、我々はステアリング・コラムは破損していなかったという結論に至った。」
「当時マシン全体をチェックし問題はなくOKがでたのを覚えているが、ステアリングの接合溶接を行うことを決めた。」
ウィリアムズF1チームの共同創設者であり、同チームのエンジニアリング・ディレクターのパトリック・ヘッドは、「裁判当初、私が一つ気になっていたことがある。それは事故当時の走行記録システム(テレメトリー)にはステアリングが機能していたと記されているのに、その後の調査員の報告書では、セナがコースを外れたのは恐らくステアリングが操作不能になっていたからだと結論付けていることだ。」と、語っている。しかし、2週間にわたって、テレメトリーの提出を遅らせ続け、最後には強制的に押収されるという事態の後では、事実は闇の中と言うしかない。