tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

雲見 クマノミ

2008-10-30 23:00:31 | プチ放浪 海沿い編

 

クマノミ類は非常に縄張り意識が強く、他の魚が自分のテリトリーに近づくと、これ以上近寄るなと自分の歯を『カチカチ』鳴らして相手を威嚇する。
このクマノミの性転換を世界ではじめて発見したのは故ジャック・モイヤー先生。(Jack T. Moyer、1929年3月7日 - 2004年1月10日) アメリカの海洋生物学者。カンザス州出身。三宅島に永住し、アカコッコや海洋生物などの生態研究を続けた人だ。いまでも、三宅島在住の教え子たちが先生をなつかしむ。
ジャック・モイヤーは、1948年、コルゲート大学在学中に朝鮮戦争に徴兵され、日本に駐在。
三宅島の近くの大野原島(通称三本岳)にのみ生息する日本固有種のカンムリウミスズメを救うため、ハリー・S・トルーマン大統領の側近に手紙で訴えて米軍の爆撃演習を中止させた。
戦後、1957年、三宅島に中学校の英語教師として赴任。1984年、東京大学において「魚の繁殖生態」により博士号を取得する。
ジャズボーカル/ピアノにも才能があり、2000年8月にビクターエンタテインメントより「地球の子供たちへ」という、三宅島の自然音をふんだんに使用したアルバムを発表している。

さて、映画「ファインディング・ニモ」で人気のクマノミであるが、漢字では「隈之魚」「熊之実」「隈魚」と書き、そのネーミングは歌舞伎役者の「隈取り」から来ているようだ。
沖縄などでは6種類のクマノミが生息すると言われているが、雲見で見られる個体は体に2本の線が入った「クマノミ」一種類。伊豆ではチョウチョウオなどとともに死滅回遊魚。黒潮に乗って運ばれてくるが、ほとんどは冬は越せない。
クマノミは、サンゴイソギンチャク、イボハタゴイソギンチャクなど11種類ほどのイソギンチャクと共生する。イソギンチャクの触手には刺胞毒があり、それで魚を捕獲するのだが、クマノミは体の表面から出す粘液がイソギンチャクと同質なので、イソギンチャクに安全に住むことができる。
共生すると書いたが、冬にクマノミが死滅した後もイソギンチャクには特に変化はない。したがって、イソギンチャクにとって、クマノミはいなくてもあまり関係ないようだ。

訂正:チョウチョウウオの仲間のトゲチョウチョウウオは、小型のイソギンチャクや海綿、小動物を食べているらしい。それをイソギンチャクから追い払っているのが、クマノミのようだ。

死滅回遊魚にもかかわらず伊豆で沢山クマノミを見ることができるのは、南の海で生まれた子供が黒潮に乗ってたくさん運ばれてくるから。動物の巣立ちのように、ある程度成長したら、生まれ育ったイソギンチャクの巣を追われるのかもしれない。それが近親交配による悪影響(近交弱勢)を防ぐメカニズムなのだろう。
沢山生まれた子供の中で、他のイソギンチャクを見つけたどり着けるのはごくわずか。それでも広い海へと泳ぎだす子供たちに向かって、思わずがんばれと応援せずにはいられない。


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雲見 ダイビングインストラクター(4)

2008-10-29 20:36:39 | プチ放浪 海沿い編

 

10月の連休に雲見で滞在中、一人のインストラクターが誕生日を迎えた。
こんなとき、相手が女性の場合は、年齢に関するボケをかますのは簡単だ。10歳よりも年齢が高い女性に対しては、いかなる高齢であっても
「18歳でしたっけ?」
「そう♪(ハートマーク)。・・・・・・んなわけ、ねえだろっ」
と、お決まりのボケとツッコミで会話が弾む。むろん、実年齢が離れていれば離れているほど、効果的なボケとなる。
まあ、15~16歳の女の子に対しては、「18歳?」と聞くのは問題があるかもしれないが、tetujinにはそんなシチュエーションはまずないから、はじめから除外している。
第一、15~16歳というあの頃の年齢からしてみれば、2~3歳なんて誤差範囲のうちだ。ところが、20歳を過ぎると、この差がシビアなものとなってくる。
仮に22歳の女性に「23ぐらいっすか?」なんて聞いた日には、即、地雷を踏んで爆死を覚悟しなければならない。

ところが、相手が男性の場合は、これが結構難しい。あまりにも若い年齢を口にして聞くのは、相手がバカされていると思うだろうし、もちろん、実際の年齢よりも多目の歳を口にしてしまった場合には、相手を傷つけることになり、しゃれにもならない。
したがって、たいていの場合、年齢に関するジョークは、よほど気をつけなければならないもののひとつだ。

ぼくは、くだんのイントラに向かって言わなきゃいいものを
「26歳でしたっけ?」とやってしまった。実は、上に書いたボケの鉄則、できるかぎり実年齢よりも若く、しかも、バカにしていると取られない年齢を注意深く選んだつもりだった。
ところが即座に「27歳です」とあっさりした返事。
これにはヒヤっとした。思いっきりボケをかましたつもりで、実年齢に近いところを言い当ててしまった。こういうときは、<前から年齢を知っていたんだよ>という顔でごまかすしかないだろう。<ウソォ・・・・・・若く見える>なんてフォローしても白々しいだけ。
・・・・・・年齢不詳のダイバーたち。本当に歳の話は難しい。


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雲見 ダイビングフィン

2008-10-28 20:34:23 | プチ放浪 海沿い編

 

現在、世界中のダイビングインストラクターが使用しているフィンは、かなりの確率でジェットフィンだと思われる。材質が硬くスピードが出るので、深みに落ちていくダイバーや、BCの操作を間違えて急浮上を始めたダイバーを追いかけることができるからだ。また、イントラのみならず、一般ダイバーにも、このフィンの愛好者は多い。
一方、tetujinが20年以上愛用しているのはGullのマンティスというやわらかいフィン。へたをすると、フィンをあおったときに先端が捲くれあがるぐらい柔らかい。
このフィンの利点は、スピードはでなくても、とにかく疲れないこと。実際に泳いだことはないが、ゆっくりなら少々長時間、長距離を泳いでもふくらはぎへの負担はさほどではないだろう。イントラのまねをしてジェットフィンをはこうものなら、ワンダイブの終わりごろには足が疲れてつってしまうに違いない。

ところで、神子元は西伊豆の海に浮かぶちっぽけな無人島なのだが、ハンマーヘッドなどの大物が見られることで有名なポイントだ。大物が見られるそのぶん、ダイバーにはスキルが要求され、適確な中性浮力の保持ができないと強い潮の流れに逆らって泳ぐのに体力を消耗したり、なによりも、はるか向こうに見えるハンマーヘッドの群れを追いかけて全員がダッシュするらしいのだが、スピードがないと一人だけ置いていかれることになる。

ハンマーヘッドってそんなに見たいか?これは、負け犬のtetujinのセリフ。たとえば、都内のバーで女性とお酒を飲んでいてダイビングの話になったとき、チョウチョウウオの話題しかできないよりも、いつも神子元でハンマーヘッドを追いかけていると話す方がよっぽどもてるにちがいない。
でも、tetujinは女性と都内のバーで酒を飲むことはめったにないし、たとえあったにしても、ダイビングの話題にならないかも知れないしで、ハンマーヘッドはどうでもいいと思っている。
っていうか、たとえば、向こうの野原に熊が出たからといって、ダッシュして見に行くほど物好きじゃない。まあ、地球外生物が暴れてるってのなら、話は別。

ハンマーヘッドが好きなヤツらに言わせれば、海水浴場にコイツがあわられたとして、なんのためらいもなく、スキンで入水し観察するとのことだ。野生生物をなめきったクレージーなヤツら。きっと、ヤツらはハンマーヘッドに食われて死ぬのなら本望なのかもしれない。ところで、よいこのダイバーのみなさん。危ないから、こいつらにやたら餌付けするのはやめましょう。ダイバーが襲われた報告はないのだが、なんといっても、相手は毎日狩りをして暮らしている野生生物ですから。

ということで、慶子さん。チョウチョウウオに飽きるまで、あとしばらくは、マンティスを使い続けます。
ついでに、縦穴の上部に逆光で浮かぶダイバーの写真を撮りたいんすけど、ダメすかね?それも、ジェットフィンをはいている女性ダイバー。なんてたって、絵になるじゃないすか。今度、縦穴を出るときにわざと遅れるかもしれないすけど、わかってくださいね。


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寂寥の尾瀬

2008-10-27 23:13:41 | プチ放浪 山道編
 
 
 


【撮影地】群馬県利根郡片品村戸倉(2008.10月撮影)
Copyrights© 2005-2008 TETUJIN
all rights reserved.


漆黒の闇の中を、懐中電灯を頼りに何人かのハイカーが、至仏に向かってそっと足を踏み出していく。
やがて明けてきた林道には、あわく光を反射して木道が白く浮かび上がる。
木々の葉はすでに落ち、尾瀬ヶ原はすっかり枯野原となり、晩秋の装い。厳しい冬の訪れをひっそりと待っている。
ときおり、ニホンシカのラッティングコールが早朝の林の中にこだまする。ぼくの前後に人はいない。
枯野を切り裂くように木道がのび、シラカバの向こうに至仏山の山頂が島のように浮かんでいる。
燧ケ岳に見守られ、至仏山に迎えられた。
尾瀬ヶ原が終われば、風化した大小の蛇紋岩が山肌を覆う人けの無い登山道。


電気ガスは勿論の事、テレビ・電話もなく、携帯電話も通じない、このような環境の中で働いている若者が尾瀬で何人いるのだろう。
自然を愛し、尾瀬が本当に好きなのだ。だが、彼らさえも寄せ付けない、厳しい冬がもうすぐやってくる。
子至仏から鳩待峠に向かう木道に、オコジョが残した数個のナナカマドの赤い実がなんともかわいい。

鳩待峠で、自分の背丈より高く積み上げた荷を背負い黙々と歩いている若い歩荷さんを見かけた。
尾瀬ヶ原の山小屋から、空き瓶、空き缶やごみなどを運んでいるのだろう。もうすでに山小屋は冬篭り。
今日の東京は低気圧が過ぎ去って素晴らしい快晴。尾瀬でもきっと清々しい天気になっていることだろう。
鏡のような池塘の水面に風景を映しこみ、黄葉のヒツジグサをあしらう。湿原の上に展開されるいくつものフォトフレーム。
はるかな尾瀬。遠い空。


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雲見 ダイビングウェート

2008-10-25 06:42:07 | プチ放浪 海沿い編

 

tetujinは、夏の間は5mmのワンピース型のウェットスーツだが、少し寒くなれば、もじもじ君を連想させるフードベストに5mmのツーピース。さらに寒くなると、首が締め付けられて、地上では5分以上は着たくないドライスーツと、気温によって使い分けている。
ウェットスーツは、ゴムの一種である発泡性のネオプレン・フォームでできている。フォームの名前からわかるように、独立した細かい気泡がゴムの中にたくさんあり、海水の寒さからダイバーを守ってくれる。そのかわり、このウェットスーツの浮力ははんぱじゃない。5mmのツーピースで、ウェートをつけずに潜ると、勢いをつけて5mぐらいまではジャックナイフで到達するも、力尽きてキックを休むと、頭を下にしたまま浮力で海面へ引き釣りあげられてしまう。
たまにウェートを付け忘れて海中にエントリーしてしまうのだが、5mmのワンピースであれば、海底まで10mぐらいならなんとか浮力にさからって届き、適当な重さの石ころを拾ってウェート代わりにできる。しかし、5mmのツーピースの場合はさらに浮力が強く、10mもの海底まで届きそうもないのでエントリーを諦めるしかないかもしれない。
普通、ダイバーは、こうした浮力に打ち勝つため、腰にウェートベルトを巻いてエントリーする。
一方、水深が深くなると、水圧でウェットスーツの気泡がつぶれ、こんどは浮力が小さくなってしまう。このため、15mを超えて深くまで潜ると、体は浮力を失って沈降し始める。
こうした浮力の変化を調整するのが、ボイヤンシー・コントロール・デバイス、俗称BCと呼ばれているジャケットだ。ジャケットにタンクからの空気を入れたり出したりして、その深度に合った浮力(中性浮力)に調整する。BCがなかったその昔は、キックのみでエントリーして、沈降する深度ではキックのみで体を浮かせていた。だから、エアーの消費量が多かったに違いない。

さて、この便利なBCなのだが、雲見で潜る前は、迅速潜行のために4kgのウェートをつけて、深場では大量のエアーをBCに入れて中性浮力をキープしていた。というのも、水中で写真を撮る場合、重いウエートで海底にへばりついた方が体が安定し、シャッターのブレを低減できるからだ。
言わば、力で浮力をねじふせるようなダイビングをしていたのだが、インストラクターの慶子さんから、「ウェート重過ぎると、ダイビングうまくならないわよ」とあっさり言われ、現在ウェートは2キロ~1キロで潜行中。いっそのこと、ウェートなしでもとも思うのだが、そこまでは踏み切れていない。
たしかに、ウェートを減らせば、肺の空気だけで浮力をコントロールしようとする意志がわく。その反面、少々の深場でも、BCによる浮力調整は面倒なのでしなくなってしまった。つまり、BCが発明される前のキックだけで水深を維持する大昔のダイビングテクになってしまった。

縦穴をまっすぐ下に潜行する場合、多くのダイバーはBCの空気を抜いてフィンから落ちていく。ところがtetujinの場合は、重たいのが頭、あるいはタンクなので、面倒くさいときは、思いっきり息をはいてタンクを下に背中から落ちて行き、適当なところでひっくり返って体勢を入れ替える。これは落ちていく先を見ていないことになるので、本当はやってはいけないことなのだが・・・・・・。インストラクターが見ていない時だけの技だ。
というわけで、エントリーのときも、頭を下にするヘッドファーストスタイル。いまのところ、耳抜きも余裕でできるため、エントリーに支障を感じたことはない。なにしろ、インストラクターが自分のやりやすい方法でと許してくれている。でも、背中から落ちていったら、こっぴどくしかられるに決まっている。


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