彦四郎の中国生活

中国滞在記

中国「花」文化考❶—初夏、「蓮・睡蓮」、開花開始

2018-06-10 11:20:47 | 滞在記

 6月7日(木)の午後、福州市内にある「日本料理の食材」を販売している小さな店に行く途中、「もうそろそろ蓮の花の開花の季節かな」と思い、「茶亭公園」に立ち寄った。公園入口付近では二胡演奏に合わせて歌うグループの人たち。大きな鉢の蓮が並べられ、中には花が開花しているものもある。

 園内には蓮や睡蓮の鉢植えがざっと並べられていた。睡蓮の花も開花していた。初夏の季節をとても感じる蓮と睡蓮の花。

―中国「花」文化考❶—

 古代、中国で「花」と書かなかった。「華」が「はな」の一般的な漢字だった。「華大」「華名」「華彩」「華麗」「華美」「華顔」「華容」「華洛」。「華」の<はなやか>なイメージは、文明の発展した、文化が開けた栄える状態を連想させ、これは中国そのものを象徴するようになる。「華人」は中国人の自称。外国に居留し中国籍のままの商人や経営者は「華僑」。「華語」は中国語のこと。「中華」は中国そのものである。中国人が自分の国を誇っていうとき、伝説上の理想の国名「夏」と結びつけて「華夏」と書いてきた。中国の小学校では今、「私たちは<華夏>の国の子孫です」と習ったりする。

 「花」の字は、「草冠(植物を表す)」に「化ける」と書く。この字が生まれたのは、四季折々の草木の変化・変貌の様子が「花」という文字の誕生にあったのだろう。「花」は広い中国では草花を意味するところが多い。「花王」は牡丹(ぼたん)といつしか決まった。「花中君子」は蓮。バラ科の中国原産・海棠(※かいとう)には「花仙」「花中神仙」の別称を与えてきた。「花」は親の「華」を離れて独り歩き。確固たる地位を占めるのに時間はかからなかった。

 ※「海棠」は、日本では「ハナカイドウ」とも呼ばれる。桜にやや似たピンク色の花を咲かせる。

 「花中君子」とも称される「蓮」。2週間後の6月20日過ぎには、池に浮かぶ蓮の花や睡蓮の花が咲き誇る季節になるのだろう。「カワセミ(翡翠)」の鳥が住むこの池だが、6月7日のこの日、「蝉(セミ)」の鳴き声も聞こえてきた。