日大問題に関して、渦中の2人の名前にどうしても目が行ってしまう。サッカー日本代表として3回のWカップ大会に出場し活躍した「中田英寿(なかたひでとし)」とよく似た名前の「田中英寿理事長」。常任理事、人事部長などの職にある「内田正人」。「正人」とは「正しい人」という意味なのだが‥‥。この二人、ちょっと極端かもしれないが、江戸時代でいえば、約770ある藩(実際の江戸時代は約350藩)の中でも、100万石の大藩である「日大藩」の殿と首席家老としての存在であり、多くの家臣(藩士)たちはこの二人に逆らったり、諫言することは難しいという藩体制だ。そして、7万人を超える藩の領民たち。(領民としての学生たちは、毎年毎年入れ替わり、年貢としての学費を払い続ける。)―20以上あるといわれる付属高校などを含めると、もっと大きな藩となる。(※前号のブログでは10の付属高校としましたが間違いでした。「20以上」に訂正します。)
日大問題の本質が問われ始めたこの問題。「アメフト部」が起こした対外試合での不祥事に関する記者会見には、監督の内田・コーチの井上両名が会見に臨んだ。当初は、田中理事長が記者会見に臨む予定だったようだが、直前でドタキャンしたようだ。この記者会見で司会をしたのが、「高圧的に逆切れした老人」と言われた米倉広報担当。彼の年給料は1440万以上、月に少なくても120万円〜130万円の給料となるようだが、かなりの高額だ。ましてや高い地位にいる田中氏や内田氏や学長の大塚吉兵衛などは、いったいいくらを月々受け取っているのだろうか。世間では信じられない額かもしれない。学長の大塚氏の弁明などを聞くと、教育者としては大いに疑問のつく人だという印象も受ける。
(※立命館大学などは、私が学生時代のころは、学費がとても安い大学として有名だった。その後、拡張路線に走り始め、学費がドンドン上がっていった。3年前に、学長選挙が行われ、学長に吉田氏が新たに就任した。理事長と並ぶくらい学長の権限が強い大学ということもあるのか、1年ほど前から大学院の学費が年間30万円ほど安くなった。学部の方も安くなっているのかもしれない。)
日大理事会の構成員は①理事長(田中)、②常任理事(内田など5人)、③理事(大塚学長など28人)の34人。田中理事長に次ぐNO2の内田氏の権限も絶大だ。彼は、人事部長、常務委員、日大保健体育審議会事務局長(体育会系運動クラブの予算配分を執行権限)、(株)日本大学事業部取締役の職にもあり、彼ににらまれたら、日大教員や職員は離職も余儀なくされる可能性も大きい。常任理事と監督は、世論の動きも感じてやむなく辞任を表明した。しかし、他の職(地位)に関しては半年間の自宅待機になっていて復職がうわさされる。そして、田中理事長は、記者会見など公的な場所にはいまだ姿をみせないままだ。(※「加計学園」の獣医学部(岡山理科大学)問題では、いまだ、加計理事長が国会での国会召集などされていないのも問題だ。)
各種のテレビでの報道では、「大学に多大な迷惑をかけた責任をとって常務理事を辞任したい」「反省しているなら全役職を辞表と書くべきだ。内田氏に(経営内部のことや理事長の刑事事件となるようなことを)色々しゃべられたら田中理事長は困るので、(いくつかの重要役職をそのままの地位として)、裏切られないように半年間の自宅待機として手元に置いておきたいのでは」「ほとぼりがさめたら、2年後の定期異動で"報復人事"の恐れも」などの報道テレップ。
これらの一連の事件騒動の中で、国民の「日大問題」の関心がより高まり、「第三者委員会」をようやく設立せざるを得なくなった。また、緊急理事会が開かれたようだが、その席で田中理事長の発言は、「ご心配をかけて申し訳ない」と、たった一言だけだったと伝えられる。「逃げるが勝ち」と、時のすぎるのを待つ戦略のようだ。まあ、政治の世界でもそうだが、教育の場において、このような経営者が存在するというのは、日大の田中理事長や内田氏や理事たちだけではないが、反吐(へど)が出る。
この男、田中英寿とはどんな男なのか‥‥。日本のスポーツ界の一角を牛耳る「闇のフィクサー」でもあり、暴力団・山口組などとの関係もあるとされる男である。「日大・田中王朝」に君臨している男だ。日大問題は、学問の府である大学で、今起きていることだ。世間とは、人間社会とは、「悪」がはびこりやすい世界だと、つくづく考えさせられる。これに対抗できるものとは何なのか。健全な評価精神と批判精神を併せ持つ人間教育(学校教育で、社会教育で、家庭教育で)は、その重要な部分かとやはり思う。つまり、いつも社会や人間というもののあり方を学ぼうという姿勢をもつ人を育むことであるかと感じたりもする。
◆お笑いコンビ、爆笑問題の太田光が5月27日のTBS系「サンデー・ジャポン」(司会者)で日大アメフト部の宮川選手が関学大の選手に超悪質な行為を行った問題について言及した。その発言内容とは次のようなものだったが、私はこれを聞いていて、なにか‥‥、大田光の発言は いい大人として何かが間違っているなあと感じた。
大田光は「会見で反則・悪質行為を認めた宮川君はすごく立派だと思うし、自分がやってしまったことに贖罪意識があった」と評価し、一方、「『つぶしに行け』と言われて、いろいろなプレッシャーのもとにああいうプレーをした。監督の言い分も聞いてやらないと」と監督の意見も冷静に聞くべきだと主張した。さらに、「ものすごい特別なプレー。(内田監督が)『ルールの範囲内でけがさせてもいい』と言ったかもしれない。あのプレーを監督が指令したとはどうしても思えない。あれをやればこうなることは分かっているはずだし。」と持論を展開した。しかし、それだけの発言だった。もっと言うべきことがあるだろうと思った。
5月27日(生放送)の時点で、一連の悪質タックル行為に至った流れは、前日の26日までに各種テレビ番組でも報道がすでにされていて、当初は試合出場メンバーにはリストになかった宮川選手を監督がわざわざ呼んで、「わかっているだろうな。相手をつぶせ、やらなきゃ意味ないよ」と告げて、出場させた流れも前日までには報道されていた。だから、太田光の監督擁護とも感じられた発言にはかなり疑問が残った。
番組の司会者としては、このテーマを取り上げるなら、まず、司会者として勉強不足すぎる(学びの努力していない)かと思った。視聴者をちょっとなめるなとも思った。(一応、私は爆笑問題・大田光のファンだったのだが‥‥ちょっと残念だ。上記の発言をするのは、それはそれとして、かまわないが、もっと日大問題の本質を真摯に学んで、司会者として発言やコメントをしてほしい。この馬鹿もんが!。番組ゲストに毎回参加している15才〜22才くらいの若いジャリタレに合わせて、最近の太田光は知性レベルを落としすぎだなと感じている。)