多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

外国人児童の教育現場へ手引書 宇大

2012-07-04 09:29:35 | 多文化共生
(以下、朝日新聞【栃木】から転載)
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外国人児童の教育現場へ手引書 宇大

2012年07月04日

外国人子ども教育の手引書の続編を執筆した若林秀樹特任准教授(右)と、スペイン語の単語帳を編集した船山千恵さん


 日本語での意思疎通が難しい外国籍の子らに教育支援をしている宇都宮大学「HANDSプロジェクト」が、小中学校の教員に向けた教育手引書などを発行し、県内の全小中学校に配布している。教育現場で困ったときの事例集や、教員の心構えをまとめた指南書で「身近な外国人への理解を深めたい」と期待している。

 ■手引書を発行
 県教委によると、県内には昨年9月現在で、外国籍の小学生913人、中学生459人が在籍している。うち、日本語の指導が必要な児童・生徒は567人いるという。

 同プロジェクトは、親が外国出身で日本語が不自由な子ら「外国につながる子ども」の教育現場を支援しようと、2010年度に文部科学省の補助を得て始まった。外国人教育の拠点校に指定されている学校の担当教師らを集め、現場での悩みや課題について話し合う場を設けるなどの支援をしている。

 その会議で出た現場の教員の声から、手引書「外国につながる子どもの教育」を昨年3月に発行。外国人担当教員だけでなく、クラスの担任教師らにもわかりやすいように「担任としてどう接すればよいか」「日本語がわからないのに授業に参加させた方がよいか」「宗教の違いで配慮することは」など困った事例などをQ&A形式でまとめた。

 ■進路を分析
 今年3月には、子どもたちに学習意欲を植え付け、将来の進路を積極的に考えさせる方法について、担当教員の声をもとにした続編「続 外国につながる子どもの教育」を作成。子どもたちに「ここにいていいんだという安心感を与えること」や、クラスメートに「生活習慣の違いからお互いに戸惑う場面があると教えること」が大切だと訴えている。

 また、続編では公立中学卒業後の進路調査を来日年数や母語別に独自に分析した。日本の滞在年数で進学率を比較すると、1~5年が40%、6~9年が33%、10~12年が50%、13年以上が77%と、滞在年数の長さが必ずしも進学率に直結するわけではないと分かったという。

 ■単語帳も作成
 中学校の教科書に出てくる単語を、タイ語とスペイン語に訳し、数学、英語、地理、理科の分野ごとに分類した単語帳も作成している。昨年はタイ語版を作成。今年は県内の人口が2番目に多いスペイン語版を出した。来年は県内人口が最も多いポルトガル語版を作る予定だという。

 続編とスペイン語の単語集は、一般配布用に各300部発行した。続編を担当した若林秀樹特任准教授は「教育現場の人だけでなく多くの人に読んでもらうことで、外国人教育に理解が深まれば」と話している。

 問い合わせはホームページ(http:www.djb.utsunomiya-u.ac.jp/)、または同プロジェクト事務局(028・649・5196)へ。(大津正一)

アブラヤシ農園で労働者不足が深刻化 外国人50万人がさらに必要

2012-07-04 09:29:11 | 多文化共生
(以下、マレーシアナビから転載)
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アブラヤシ農園で労働者不足が深刻化 外国人50万人がさらに必要

2012年07月03日 06:06 JST配信

【クアラルンプール】 世界第2位のパーム原油(CPO)生産国であるマレーシアは現在、アブラヤシ農園の拡大と全国の農園への十分な労働力供給を実現させるため岐路に立たされている。全国500万ヘクタールの農園では新たに50万人の労働力が必要とされている。

現在マレーシアの上流農園業者はパーム果実(FFB)の収穫などに携わる労働者不足問題を抱えている。昨年、全国のアブラヤシ農園における労働者数49万1,339人の70%を外国人労働者が占めている。インドネシアやバングラデシュ、フィリピン、タイ、ミャンマーなどの国からの出稼ぎ労働者で、マレーシア人は農園での就労を嫌う傾向にあるため、外国人労働者への依存度が強い。

マレーシア農園業者協会のダウド・アマジン会長によると、サバ・サラワク州のアブラヤシ農園が最も多くの労働力を必要としているが、賃金はマレーシア半島部の農園と比べて低い水準となっている。半島部の農園労働者の賃金は月間900リンギ以上だが、サバ・サラワクでは800リンギ程度。最低賃金制度の導入により、低い賃金で外国人を雇っている中小規模の農園業者がマイナス影響を被ると見られるという。

外国人労働者への依存軽減のためマレーシア人のアブラヤシ農園におけるマレーシア人労働者の雇用が大きな課題となっている。ダウド会長は、農園での若いマレーシア人雇用推進のため、無料で制服などを提供するなどのインセンティブを充実させ、農園における娯楽施設および医療施設の充実や奨学金制度を提供することが望ましいとの見解を示した。

サラワク州アブラヤシ農園主協会(SOPPOA)のアブドル・ハメド・セパウィ会長によると、インドネシアにおけるアブラヤシ農園の拡大によりインドネシア人労働者が母国の農園における就労を選ぶ傾向にあるため、サラワク州における労働力不足につながっている。サバ・サラワク州では労働力不足のため収穫ができなかった果実が腐り、損害額は36億リンギにのぼっている。

今後の課題は研究・開発(R&D)を進め、機械化により生産性を向上させることや外国人労働者関連の政策の規制緩和を行うことだという。



(ザ・スター、7月2日)

『古事記』から学ぶ「ひきこもり」のプラス効果

2012-07-04 09:28:34 | ダイバーシティ
(以下、@Pressから転載)
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報道関係者各位
プレスリリース
2012年07月03日
八洲学園大学国際高等学校

『古事記』から学ぶ「ひきこもり」のプラス効果 
「ひきこもり」の新しい解決方法を7月7日 岐阜市生涯学習センターにて講演

八洲学園大学国際高等学校 校長の岩井 貴生が、7月7日(土)岐阜市生涯学習センターにて「ひきこもり」問題について講演を行います。

講演会では、日本の神様「天照大御神」がひきこもった「天石屋戸神話」を紹介しながら、「ひきこもり」を否定的にとらえる現状を再考します。「ひきこもり」を反社会性と位置付け、ひきこもる現象だけを無くすことに焦点を当てるひきこもり対策に疑問を投げかけます。むしろ、「ひきこもり」がもたらすプラス効果とは何かという点に目を向け、今までとは全く違うアプローチで「ひきこもり」を理解し、新しい解決方法を紹介します。


【講演会概要】
・日時
7月7日(土) 13:30~15:00
※事前予約は不要です。

・主催
ひきこもり支援相談士認定協議会岐阜支部

・後援
岐阜市教育委員会

・場所
岐阜市生涯学習センター中研修室
※名古屋駅から電車で約20分です。名古屋近辺の方も是非お越し下さい。

・アクセス
◆JR岐阜駅より徒歩2分。(駅構内から2F連絡通路で通じています。)
 名鉄岐阜駅より徒歩5分。
 名古屋駅から電車で約20分

◆自転車でお越しの場合、駐輪場をご利用下さい。
 (1日1回につき120円。施設利用の場合は駐輪料金が免除になります。)
 ※10月1日より、原動機付き自転車はご利用できなくなりました。

◆車でお越しの場合、南側の駐車場入り口より、3F駐車場をご利用下さい。
 ※施設ご利用以外の駐車はご遠慮ください。
 ※駐車場入り口へは、JRから東へ進行していただき、
  左折のみ入庫が可能となっています。

詳細 http://www.ip.mirai.ne.jp/~heartful/access.html

・講演テーマ
ひきこもりって悪い事?
- 『古事記』天石屋戸神話から学ぶ「ひきこもり」現象のプラス効果 -

・参加費
500円


【岩井 貴生プロフィール】
学校法人八洲学園理事、八洲学園大学生涯学習学部教授、八洲学園大学国際高等学校長、駒沢大学仏教経済研究所研究員、著書、論文『子育てに悩む親へ』(リベルタス・クレオ)他多数

【岩井 貴生公式アカウント】
■本人紹介⇒ http://study.jp/hs/yashima/teachers/me_01.html
■Facebook⇒ http://www.facebook.com/iwaiyoshinari
■Twitter ⇒ http://twitter.com/#!/iwaiyoshi
■ブログエッセイ「子どもと向き合うために」⇒ http://k.yashima.jp/column/


【学校法人八洲(やしま)学園 八洲学園大学国際高等学校について】
全国の生徒を対象とした広域通信制・単位制の無学年制で日本初の「集中スクーリング」を採用した高等学校です。
●ホームページ ⇒ http://www.yashima.ac.jp/okinawa
●モバイルサイト⇒ http://k.yashima.jp
●Facebook   ⇒ http://www.facebook.com/yashima.kokusai
●Twitter    ⇒ https://twitter.com/#!/YASHIMA_KOKUSAI
【報道関係者向けお問い合わせ先】
@Press運営事務局までご連絡ください。ご連絡先をお伝えいたします。
お問い合わせの際はリリース番号「28283」を担当にお伝えください。
TEL  : 03-5361-8630
E-mail:

ピア・カウンセリングって、なんですか?

2012-07-03 23:29:14 | ダイバーシティ
(以下、「日本ピア・カウンセラー協会」から転載)
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「ピア・カウンセリングって、なんですか?」

JPCAの団体名でもありますので、こういう質問を、よく耳にします。

最近では、"ピア"(同じ経験を持つ者)による相談援助・支援・自助活動が、いろいろな分野で盛んに行われるようになってきています。

身体・知的・精神の障害者のピアであったり、発達障害のピアであったり、認知症のピア、がんのピア、性同一性障害などのセクシャルマイノリティのピアなど、本当にさまざまです。
少し歴史のあるピア活動としては、断酒会さん(アルコール依存症経験者※1)やダルクさん(薬物依存症経験者※2)の活動が有名ですが、これも広くピアの活動に含まれます。
こうしたピアを並べてみると、どれも、なかなかハードな経験です。
ハードであるがゆえに、ピア・カウンセリングって、めっちゃハードルが高いもののように思われがちです。

ですが、私たちJPCAが考える"ピア・カウンセリング"とは、もう少し緩やかで、幅広いものだと捉えています。
人は誰しも、いろいろな経験をしながら生きてきています。
いろんな経験をしている中で、零れ落ちる涙、癒される感情があるものです。


例えばこんな話です。

私が以前に所属していた部署にいる人に、お昼休みに偶然、職場外で出会ったときに、少し話しかけてみると、ポロポロと涙をこぼされたのです。
その人は耐え難いストレスに押し潰されそうになっていたようです。
私が投げかけた言葉は、「今、しんどい時期だよね。」という一言でした。
そして、その部署特有のストレスのかかり方、周囲に理解されない孤立感を伝えただけでした。
その立場にいるとき、どんな気持ちになるのか、そして、誰からも理解されないために、どんなに孤独になってしまうか、暗闇の中を手探りで進む不安感はどんなものなのか。

こうしたことは、
経験した者にしかわかりませんし(=ピア)、
同じ仕事をしたからと言って、わかるものでもありません(≠ピア)。

大切なポイントは、その人の中に、自分と同じものを見つけること(共感)。
そして、同じ経験をしているけど、今は笑顔でいることを表現できること(自律)です。
そして、よけいなおせっかいをしないこと(笑)。これも自律ですね。

JPCAの会員には、めっちゃハードなご経験を持つ方も、少なからずいらっしゃいますが、
必ずしもピア・カウンセリングは、ハードな経験にだけ特化したものではありません。

ごく日常的なひとこまで、ふれあえる心と心、涙や笑顔を共有できることを大切にしていきたいですね。


(具体的な出来事は、個人が特定されないよう脚色してあります。)
 

 ※1「断酒会」
   お酒の害やアルコール依存の自助活動をされています。
    http://www.dansyu-renmei.or.jp/
 ※2「ダルク」
   様々なプログラムにより薬物依存のリハビリを行っています。
    http://www.yakkaren.com/zenkoku.html

居住実態不明の外国人が3割の自治体も

2012-07-03 11:56:00 | 多文化共生
(以下、TBSから転載)
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居住実態不明の外国人が3割の自治体も


 今月9日から外国人登録制度が廃止され、日本で暮らす外国人については、新たに日本人と同様の「住民票」が作られます。ところが、これを前に各地の自治体が確認を行った結果、居住実態が把握できない外国人が、多いところでおよそ3割に上ることがわかりました。

 今月9日から始まる新しい制度では、外国人登録証が廃止され、国が一元管理する在留カードが発行されます。不法滞在などを防ぐ一方で、正規に滞在する外国人が住民サービスを受けやすくするため、日本人と同様に「住民票」が作られます。

 ところが、制度の開始を前に全国の自治体が居住状況を調べるため、これまで届け出ていた住所に「仮住民票」を送ったところ、「宛先不明」などで返送されるケースが相次いでいることがわかりました。

 東京の新宿区や豊島区では返送される割合がおよそ3割にも上っていて、横浜市でもおよそ15%、大阪市では5%などとなっています。

 「非常に(勤務地の)移動が激しい勤務形態、そういった形でしか仕事を見つけられない外国人もいる。結果として住民サービスからこぼれ落ちてしまうというデメリットもある」(外国人問題に詳しい 国士舘大学 鈴木江理子准教授)

 居住の実態が最終的に確認できなければ、住民票が削除されるほか、在留資格が取り消される可能性もあり、自治体では、住居地を訪問するなどの実態調査も続けるとしています。(02日11:05)

留学生が震災時の課題話し合う

2012-07-03 11:55:33 | 多文化共生
(以下、NHKから転載)
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留学生が震災時の課題話し合う
7月3日 4時52分

東日本大震災を受けて、外国人留学生が災害が起きたときの課題などを話し合う会合が、2日、東京・八王子市で開かれました。

会合には、市内の大学で学ぶ中国やイギリスなど7か国の留学生、合わせて12人が参加しました。はじめに、留学生一人一人が震災当日の様子を振り返り、初めて体験した強い揺れにどう対応してよいか分からなかったなどと述べました。
続いて、行政や大学への要望について意見を交わし、多くの留学生が「地震そのものや避難場所などの情報が少ない」と訴えました。そのうえで、防災に関する情報を複数の言語で紹介したハンドブックの整備や、避難訓練の充実やラジオなどの防災グッズの配備が必要だという意見が出されました。大学や短大が多い八王子市では、およそ3000人の留学生が学んでいるため、大きな災害が起きた際に留学生をどう避難させ、被災の状況をどう把握するかが課題になっています。
会合を主催した市やそれぞれの大学などは、この日の意見を参考に、災害時の留学生支援について今後、具体的な対策を検討することにしています。

心のカウンセラー養成講座スタート 富山

2012-07-03 11:53:17 | ダイバーシティ
(以下、北日本新聞から転載)
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(2012.7.1)
心のカウンセラー養成講座スタート 富山

 自殺予防に取り組む「とやまcocolo会」(五十田由子代表)のピア・カウンセラー養成講座・初級が30日、富山市の県総合福祉会館で始まり、参加者がカウンセリングの基礎を学んだ。北日本新聞社後援。
 うつ病等心の問題に悩む人に寄り添う人材を育成しようと県の委託を受けて開講。
 7月28日まで全4回行う。5~6月に行った起訴講座を修了した約40人が参加した。
 富山市出身でメンタルヘルスに関する後援や執筆などを行っている赤穂依鈴子さん(44)が講師を務めた。自らの経験を踏まえて相手の話に耳を傾けられるようにするため、数人のグループと全員の前とでそれぞれ自己紹介し「自分を表現する力」を磨いた。今秋には中、上級も開講する。

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とやまcocolo会
日本ピア・カウンセラー協会

在日外国人の3割 登録住所居住なし 一部自治体不在なら削除

2012-07-02 10:00:13 | 多文化共生
(以下、東京新聞から転載)
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在日外国人の3割 登録住所居住なし 一部自治体不在なら削除

2012年7月2日 朝刊


 住民基本台帳法などの改正で九日、在日外国人の外国人登録が廃止され住民登録に移行するが、市区町村に外国人登録されていながら実際には居住していない疑いのある人が、自治体によっては登録者の三割にも上ることが一日、一部自治体への取材で分かった。

 各自治体は、こうした人の住民票も取りあえず作成し、訪問調査などで不在を確認してから削除する方針。ただ、調査には時間がかかるため、新制度は当面、不正確な状態のまま運用されることになる。

 改正法では、三カ月を超えて合法的に日本に滞在する外国人に対し、外国人登録証に代わる身分証を発行するとともに、日本人と同様に住民票を作る。市区町村は、五月七日時点で外国人登録されていた人の「仮住民票」を作成、登録住所に送付し本人に確認してもらった上で、正式な住民票に移行させる予定だ。

 しかし、送った仮住民票が宛先不明などで戻ってくるケースが続出。横浜市では七万二千五百六十一通のうち一万八百九十通(15%)が返ってきた。ほかにも、東京都新宿区で約九千三百通(29%)、大阪市で四千二十八通(5%)、浜松市で二千九百三通(12%)、長野県飯田市で五十三通(4%)が返送された。

ほっこりBOOKカフェ:国籍を超え、「学ぶ」を学ぶ

2012-07-02 09:59:50 | 多文化共生
(以下、毎日新聞から転載)
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ほっこりBOOKカフェ:国籍を超え、「学ぶ」を学ぶ /京都

毎日新聞 2012年07月01日 地方版

 国際交流を通して一つのテーマについて語りあう「ほっこりBOOKカフェ」が京都市左京区の市国際交流会館であり、外国人ゲストと約20人の日本人が国籍や文化を超え「学ぶということはどんなこと?」という議題について話し合った。

 ゲストは中国出身の兵庫県立大政策科学研究所客員研究員、張健さん(41)とロシア出身の京都工芸繊維大学生、ソニア・ポンカさん(36)。張さんは学ぶことについて「勉強というと強いられているイメージ。学ぶというと自主的に身につけていく感じがする」と発言。ソニアさんは「ロシアでは情報を与えるだけでなく、それについてどう思うかを考えさせていた。日本にはそれがないと思う」と指摘していた。

 会場に訪れた同市中京区の女性会社員(32)は「気軽にきたが少しテーマが重かった。旅行が好きなので旅行を通じこれからも語学やその国について学んでいきたい」と話していた。【村田拓也】

外国人被災者に情報届ける/仙台国際交流協会職員・菊池哲佳さん

2012-07-02 09:59:23 | 多文化共生
(以下、河北新報社から転載)
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(22)外国人被災者に情報届ける/仙台国際交流協会職員・菊池哲佳さん

「日本語ができないことが、外国人被災者の不利益にならないように心掛けていました」という菊池さん。本年度は震災時の情報提供について検証するという

 昨年の東日本大震災で、仙台市内で暮らしていた約1万人の外国人も被災した。言葉や文化の違う土地で求められたのは情報だった。仙台国際交流協会(SIRA、青葉区)は発生当日から、さまざまな支援を行った。ラジオを通じた多言語での情報提供、避難所巡回、生活相談…。あれから1年余、実務を担当したSIRA職員の菊池哲佳(あきよし)さん(38)は、日ごろから地域と外国人が「共生」することの大切さを訴える。

◎多文化共生、最大の備え

<多言語で放送>
 昨年3月1日時点で、仙台市の外国人登録者数は1万271人。国別では中国と韓国で7割近くを占める。
 SIRAは震災当日夕から動きだす。
 菊池さんたちは、事務所のある仙台国際センターから、青葉区本町のエフエム仙台(Date fm)に向かった。午後5時、局のスタジオで生放送。地震の全体像は分からない。「余震に気を付けて」。英語、中国語、韓国語、さらにやさしい日本語で呼び掛けた。
 午後9時、仙台市が外国人支援のための「市災害多言語支援センター」を国際センター内に設置。事前の取り決め通りSIRAが運営を受け持つ。1回線だけ生きていた電話が、12日朝方から鳴り出した。ほとんどが在仙外国人の安否を問う内容だった。
 外国人が多く暮らす青葉区三条町や片平地区の指定避難所には、多数が身を寄せていた。12日から、SIRAの職員らが各施設を回り、情報提供や生活相談に乗り出した。
 避難所巡回は3月29日、支援センターは4月30日まで稼働して役目を終えた。

<安否確認、課題>
 「外国人の多くは地震を経験したことがありません。特に仙台では、宮城県沖地震の発生確率が高まっており、災害時の心構えや対応を知ってもらう必要がありました」
 SIRAは2000年から具体的な防災事業に取り組んでいた。
 その一つが、多言語による啓発活動。Date fmと協力し、防災啓発番組の中に外国人向けのコーナーを月1回設けた。さまざまな国の人が出演し、母国語で防災のアドバイスをしている。
 生活情報などを通訳・翻訳する「災害時言語ボランティア」も整備した。市民約80人が登録。その半数は日本語が堪能な外国人だ。
 町内会の防災訓練や市総合防災訓練に参加し、避難や消火活動などを体験する機会も設けた。
 こうした活動は生かされもしたが、課題も残した。
 発生直後のラジオ放送は、6年間の積み重ねが生きた。多くの言語ボランティアが支援センターに駆けつけ、電話対応や各避難所に張り出す生活情報の翻訳を担った。
 一方、支援センターに「安否確認」の電話が来たのは想定外。集計してみると、この問い合わせが一番多かった。

<経験生かそう>
 SIRAはことし2月、震災での活動全般を振り返るシンポジウムを行った。
 資料をまとめた菊池さんは言う。「災害時に必要だったのは『備え』でした。防災意識を高めることが大事だったと、あらためて実感しました。その点では日本人も外国人も同じなのです」
 心に残った言葉がある。「これからは、外国人も一緒に地域で防災訓練しよう」。ある町内会の男性が言ってくれた。
 国籍や民族の異なる人々が、互いの文化を認め対等な関係で地域で生きることを『多文化共生』という。「今回の経験が、外国人を身近な住民として受け入れる地域づくりにつながればいい。それが最大の『備え』だと思います」


2012年06月30日土曜日