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入管法改正案:「外国人監視強化だ」支援団体反発 便利だが罰則厳しく

2009-06-29 15:53:32 | 多文化共生
(以下、毎日新聞から転載)
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入管法改正案:「外国人監視強化だ」支援団体反発 便利だが罰則厳しく

 外国人登録制度に代わる「在留カード」による新たな在留管理制度を盛り込んだ入管法改正案が与野党3党による修正を経て衆院を通過、参院に送られた。改正案は不法滞在のあぶり出しを強める一方、外国人の利便性を向上させる「アメとムチ」の内容となっているが、支援団体などは「外国人監視を強める法律だ」と反発する。

 外国人登録者数は90年に初めて100万人を突破し、07年には215万人に増加した。現行の在留管理では適正な把握が困難で、行政サービスも提供しにくくなるとの考えから、改正が提案された。

 新制度は、90日以上日本に滞在する外国人に、入管が在留カードを発行。入管は市町村から居住地の情報提供を受け、留学先や雇用主からも報告を受ける。実態が情報と異なれば、不法と判別できる。従来は在留資格がなくても市町村の窓口で外国人登録証が発行されたが、改正後は不法滞在者に在留カードは発行されず、身分が証明できない。一方で利便性向上のため、在留期間の上限を3年から5年に延ばし、再入国許可も緩和する。

 新制度について、自由人権協会の旗手明理事は5月23日の東京都内の集会で情報の一元管理を「情報を分析し危険な外国人を浮かび上がらせるシステム。不法残留の外国人は生きていく最低限の行政サービスも受けられない」と述べた。

 また「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」の鳥井一平事務局長は5月8日の衆院法務委員会に参考人として出席し「適正な滞在者にも非常に厳しい罰則規定がある。非正規滞在の人たちも、働いて税金も払っている」と強調した。

 こうした声を受け、修正案の付帯決議で、在留資格取り消しの弾力的運用などが盛り込まれた。また、在日韓国・朝鮮人などの特別永住者に交付する「特別永住者証明書」についても、与野党の修正で常時携帯義務は削除された。【石川淳一】

南アフリカ 失業率20% 外国人排斥に向かう貧困層の怒り

2009-06-29 15:52:51 | 多文化共生
(以下、産経新聞から転載)
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南アフリカ 失業率20% 外国人排斥に向かう貧困層の怒り
2009.6.26 16:48

 アフリカ大陸に初上陸する2010年サッカーワールドカップ(W杯)の開催まで1年を切り、現地ではプレイベントのコンフェデレーションカップが盛り上がりをみせている。一方、遅れるスタジアム建設や劣悪な治安情勢などについては、これまでもSANKEI EXPRESSで報じてきた。それらの課題に加え、高い失業率を背景に、外国人に職を奪われたと感じる貧困層の不満が拡大、外国人排斥の動きが広がっているという。

 かつてゴールドラッシュで栄えた南アフリカは、1年後、スーパースターたちの「ゴールラッシュ」でまばゆい光を放つだろうか。コンフェデレーションカップで南アの躍進もあり、本大会への期待も膨らむが、ホスト国から聞こえてくる話題は、暗いものばかり。

 W杯関連の建設ラッシュに沸いているのかと思えば、そうでもないらし。建設従事者の多くは移民らで、失業率は20%以上にも達するという。安い労働力に、職を失った人々が続出しているようだ。特に外国人に職を奪われたと感じる貧困層の不満は増幅し、外国人排斥の動きが広がっているという。


 外国人排斥の動きは、暴力に直結する。教会で、難民キャンプで、人々は希望を失い、暴力の恐怖に耐える日々を送る。彼らの瞳には、世紀の祭典を迎える高揚感などはなく、不安が色濃くにじむ。

 「11年前、幸せを夢に抱いてきたが、今はすべての希望を失ったよ」。南部ケープタウン郊外。外国人を狙った暴力から逃れ、たどり着いた海辺近くの難民キャンプで、紛争が続くコンゴ(旧ザイール)東部出身の女性、ビルジニアさん(28)が訴えた。

 行政が運営するキャンプにはコンゴ人やソマリア人ら約400人が生活。7人の子供と暮らすコンゴ人女性、バネルさん(34)は1週間前、キャンプ内で男児を産んだばかり。「ここには食料もない。どうやって子供を育てたらいいんだろう」

 最大都市ヨハネスブルク中心部の教会でも、ジンバブエ人ら1000人近くがぎゅうぎゅう詰めの状態で暮らしていた。ジンバブエ人女性、シサセンロジさん(21)は昨年、1人で南アへ。「一緒に暮らしていた友人は銃撃された。外に出るのが怖い」。顔には若い女性らしい生気がない。

 多くの移民を受け入れてきた南ア。人口約5000万人に対し、外国人は約1割の500万人。

 ビットバータースラン大のポルザー上級研究員は「経済危機による景気悪化で貧困層の不満が高まり、移民排斥の感情がさらに吹き荒れる恐れがある」と警告した。(ナイロビ 共同)

高給取り外国人、さらば英国 不況・生活費上昇… 脱出検討4割

2009-06-29 15:48:31 | 多文化共生
(以下、Business i.から転載)
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高給取り外国人、さらば英国 不況・生活費上昇… 脱出検討4割

2009/6/25
不況で利用者が減り、タクシーは客待ちの長い列に=ロンドン(ブルームバーグ)

 専門的な職業を持ち英国を拠点とする外国人のほぼ半数が、生活費の上昇とリセッション(景気後退)を背景に同国脱出を検討していることが、英銀HSBCホールディングスの調査で分かった。この割合はどの国よりも大きかった。

 HSBCが英国在住の外国人3100人余りを対象に実施した調査によると、44%が英国外への引っ越しを考えていた。素人女性のスーザン・ボイルさんがその美声で一躍脚光を浴びた、人気オーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント(英国は才能ある者を得た)」の名とは正反対の現状が示唆された。

 同社は24日の発表文で、「世界全体では、回答者の74%が自国を出てから可処分所得が増えたと指摘したが、英国在住の外国人ではこの割合が47%に低下した」とし、「英国は依然として、外国人にとって生活費の高い国の一つとされている。これはリセッションの影響だ」と説明している。

 HSBCの調査によると、年収が25万ドル(約2385万円)を超える外国人比率が最も高いのはロシアで30%。これに香港の27%と日本の26%が続いた。英国在住の外国人回答者の2割の年収は6万ドル以下で、4分の3は景気低迷で支出を減らしたと答えた。

 同調査では、英国の食費がスイスに次いで世界2位の高さだったことも判明。さらに、英国在住の外国人回答者の78%が、英国の交通機関の運賃が自国よりも高いと指摘した。

 英経済が1979年以降最悪のリセッションに見舞われるなか、失業率は悪化。さらに過去1年でポンドがドルに対して17%下落したことが、英国在住外国人の収入減に追い打ちを掛けた。

 英コンサルタント会社のBODストイ・ヘイワードは24日付のリポートで、今年の英企業の倒産件数が過去最高を記録するとの予測を出した。同リポートによると、1日当たり約100社、09年全体で3万6200社が倒産する。さらに低金利政策と景気刺激策の効果が表れるまでに2年かかるとされることから、10年の倒産件数は4万400件に達するとも予測されている。

 BODストイ・ヘイワードのシェイ・バノン氏は「景気低迷の影響が明らかになるにつれ、倒産件数は急増してきた」とし、「09年の消費者支出は大幅に減少する。失業率や企業業績の悪化により、家計はさらなるダメージを受けるだろう」と話した。(Brian Swint)

入管法と住基法、改定案は「問題山積」 上京で考える集会

2009-06-29 04:55:01 | 多文化共生
(以下、京都新聞から転載)
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入管法と住基法、改定案は「問題山積」
上京で考える集会
写真
入管難民法、住民基本台帳法の問題点について話し合った集会(京都市上京区)

 現在、国会で審議中の入管難民法と住民基本台帳法改定案の問題点を考える集会が27日、京都市上京区の日本バプテスト京都教会であった。成立すれば在住外国人に不利益が生じる可能性があるだけに、参加者らは熱心に話に聞き入っていた。

 改定案では、従来の外国人登録法を廃止し、新たな外国人在留管理制度の構築をめざし、参議院での審議が週明けにも始まる見通し。来月7日にも採決が行われるという。

 集会は外国人支援者らでつくる実行委が主催し、約70人の参加があった。まず「すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク」の草加道常さんが、改定案のポイントと問題提起をした。

 草加さんは「新たな制度では、難民申請者や非正規滞在者らが在留資格を与えられず『存在しない人』にされてしまう。ドメスティックバイオレンス(DV)被害者も救済されなくなるおそれが生じるなど、問題点が山積している」と指摘した。
 また質疑応答では、外国人男性が「外国人への処遇が厳しくなる法改定は、日本にとっても不利益だ」などと話し、会場の共感を呼んでいた。

アジアの看護師、私が育てる…61歳元看護部長

2009-06-29 04:54:26 | 多文化共生
(以下、読売新聞から転載)
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アジアの看護師、私が育てる…61歳元看護部長
上京・住み込み・定時制…自分に重ね
言葉より笑顔「教わった」

 病室で、高齢の女性患者がトイレに行くのをこらえていた。「アランさんじゃないと嫌」。フィリピン人の介護士を待っている。

 東京・八王子市の永生(えいせい)病院。元看護部長の宮沢美代子さん(61)は、そんな光景を何度も見てきた。

 この病院が最初に外国人のヘルパー実習生を受け入れたのは2004年。宮沢さんは当時、フィリピン人といえば夜の仕事の女性、という連想しかなかった。言葉も不十分な人たちと仕事が出来るのか、患者さんの反応は……。「外国人に繊細な仕事を任せられない」という同僚もいた。

 しかし、働き始めた姿を見て驚いた。笑顔と大きな身ぶりで、あっという間に患者の心をつかむ。言葉がわからない分、耳元でじっくり話を聞く。大家族で育ったせいか、高齢者を敬う態度がにじみ出る。日本語を教えようと張り切るお年寄りも出始めた。

 心と心で通じ合う――。看護、介護の基本を、改めて思い知らされた。

 3人兄弟の長女。戦後まもない長崎県の、佐世保基地に程近い海辺の町で生まれた。「女性が自立できる仕事はバスの車掌か看護婦ぐらいでした」。看護の道をめざし、上京した。

 東京・新宿の産婦人科医院の寄宿舎に住み込み、看護助手として働きながら2年間かけて准看護婦の資格を取った。定時制高校に通う傍ら、夜勤もこなした。とにかく忙しかったが、新しい命の誕生に「おめでとうございます」と言える仕事が誇らしかった。

 22歳で結婚。3人の子をもうけた後、総合病院に。育児と仕事と通学をこなし、3年で正看護婦の資格を得た。「頑張れば報われる」が口癖になった。

 1990年から永生病院に勤務。03年に430人の看護師らを束ねる看護部長に就き、翌年から外国人研修生らと接してきた。慣れない土地で仕事に向き合う姿に、働きながら資格を積み上げた自分を重ねた。

 一昨年、定年を迎えて相談役として残ることを決めた時、人材の確保と育成に力を注ごうと思った。

 今、永生病院にいる外国籍の看護師や介護士はフィリピン、中国、インドネシアの男女11人で、さらに増える予定だ。多くは、看護助手として働きながら日本の資格取得をめざして勉強中。「頑張れば必ずチャンスが来るから」。口癖だった言葉で励ましている。

 もちろん、行き違いは茶飯事だ。「病院の理念は分かった?」と尋ねた時の返事が、「棚にあります」。シーツなどを意味する英語の「リネン」との勘違いだった。日本語の読み書きが不得意で、引き継ぎに苦労する。それでも「長い目で見ようよ」と笑い飛ばせる余裕が、今はある。

 仕事を教えているつもりが、逆に大切なことを教わっている、といつも感じる。「日本のお年寄りは、お見舞いが少なくてかわいそう」。フィリピン人看護師の一言に、「仕方がないこと」と思いこんでいた自分に気づいてはっとした。笑顔を絶やさない姿勢が、いかに患者を安心させるかも実証してくれた。

 インドネシア、フィリピンとの経済連携協定に基づき、昨夏から外国人看護師、介護士の受け入れが全国の病院でも本格的に始まった。講演などで全国を飛び回る日々。看護師の道を選んだ長女(36)は「時代の先を見据えて行動しているね」と応援してくれる。

 看護の心に国境はない。それを広め伝えることが、今の使命と信じている。(小林篤子)
(2009年6月28日 読売新聞)

震災体験教訓に地域交流訴え

2009-06-29 04:53:56 | 多文化共生
(以下、新潟日報から転載)
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震災体験教訓に地域交流訴え

 中越、中越沖地震の被災体験を教訓に留学生の役割や、地域との関係づくりを考える国際留学生フォーラム(同市と中越防災安全推進機構など主催)が27日、柏崎市の柏崎エネルギーホールで開かれた。被災した新潟産業大(同市)の留学生や、留学生支援に当たった同大特任講師で拉致被害者の蓮池薫さん、国際交流関係者らが意見交換。約150人の市民らが熱心に耳を傾けた。

 パネル討論でコーディネーターを務めた長岡国際交流センターの羽賀友信センター長は、「人のつながりが防災にもつながる」と強調。留学生に期待する具体的な役割として(1)災害時に情報弱者となる在住外国人の手助け(2)多様性を生かす日本のまちづくりへの参加(3)日本で学んだ防災教育を故国に伝えること―などを挙げた。

 蓮池さんは同大留学生による被災後のボランティア活動に触れ、「地域とより親密であればもっとできた。普段から文化交流を進めることで信頼が生まれると思う」と述べた。日本人に対しても「相手を知ろうという気持ちを持って付き合いを」と呼び掛けた。

 中越沖地震被災時に在住外国人向け多言語支援センターを設立した柏崎地域国際化協会の清水由美子事務局長は、次の災害に備え母国語による体験文集を製作した活動を紹介した。このほか中国・四川大地震の復興支援を訴える中国人歌手李広宏さんのチャリティコンサートも開かれた。

新潟日報2009年6月27日

誰も読まない…公共機関の翻訳文書

2009-06-29 04:53:21 | 多文化共生
(以下、UKTodayから転載)
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6/26 誰も読まない…公共機関の翻訳文書

昨年、英国の地方自治体などの公共機関が外国人用に、公的文書の翻訳に費やしたのは全体で5,000万ポンドと巨額だったにもかかわらず、できあがった翻訳文書はほとんど利用されなかったことが判明した。

これは民放「Channel 4」の報道番組「More 4 News」が報じたもの。同番組の調査チームは、情報公開法「Freedom of Information」を利用して、国内の主な公共機関に情報提供を依頼し、80%以上から回答を得た。

それによると、公共機関は2008年から2009年の間に文書の翻訳や通訳に、前年度9%増の5,020万ポンドを費やしたことが明らかになったという。

しかし、ロンドン北部のハリンゲイ・カウンシルがポーランド語に訳した小冊子や、アルバニア語、ベンガル語、クルド語、ソマリア語、ウルドゥー語に訳した女性向け情報冊子、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル向けのフランス語の情報冊子は、ただの一度も読まれなかったとされる。

昨年最も翻訳費を使ったのは、ロンドン警視庁(1,060万ポンド)、続いて労働年金省(400万ポンド)だった。

地方自治体のなかで翻訳費の支出が最も多かったのは、グラスゴー(43万3,470ポンド)、ハリンゲイ(38万6,665ポンド)、バーミンガム(36 万1,096ポンド)、サザーク(36万999ポンド)、シェフィールド(36万ポンド)となった。

アイヌ有識者懇談会 焦点は基本法制定 /北海道

2009-06-29 04:52:36 | 多文化共生
(以下、毎日新聞【北海道】から転載)
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ニュースワイド:アイヌ有識者懇談会 焦点は基本法制定 /北海道
 ◇あす、報告書素案を論議

 政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」(座長、佐藤幸治・京都大名誉教授)が大詰めを迎えている。29日に東京で行われる懇談会では、報告書の素案が示され、7月末に予定される報告書の取りまとめに向けた最終的な論議を行う。焦点は、立法措置の是非とその中身。07年9月の国連・先住民族の権利宣言、昨年6月の国会決議を踏まえ、アイヌ政策に新たに何が盛り込まれるか、に注目が集まる。【千々部一好】
 ◇国会決議を受けた具体的政策を

 ■基本法制定を

 「次回に報告書の素案を示し、7月末にまとめたい」。佐藤座長は5月末の前回懇談会で、今後の審議の流れを説明した。

 報告書に盛り込む具体的な施策は前回、前々回に議論している。しかし、道や道アイヌ協会が強く求める「立法措置に基づく総合的な施策の確立」は議論を十分に尽くしておらず、大きな課題として積み残された。

 「立法措置は出口の問題。いろいろな施策の中身が見えてきた段階で判断すべきだ」。佐藤座長は昨年8月の初会合以来、立法措置について否定も肯定もしない姿勢を一貫して取り続けてきた。

 これに対し、道アイヌ協会の阿部一司副理事長は「国会決議後の官房長官談話には『国連宣言を参照にしつつ、総合的な施策の確立に取り組む』とあり、その趣旨を生かすためにも、法律に基づくアイヌ政策を打ち出すべきだ」と指摘。政策の理念を明記したアイヌ基本法制定が必要と訴える。

 ■支援策の個人認定は

 報告書の素案では、政策の理念に「アイヌを先住民族と認識したうえで構築する」と明記。新しいアイヌ政策は国の責任で行い、(1)国民の理解の促進(2)広い意味での文化にかかわる政策(3)国の推進体制の整備--の三つの柱に絞った。

 具体的には、▽アイヌ文化や歴史などの研究・教育・展示施設を核とした民族共生の象徴となる公園の整備▽居住地に左右されない全国規模での生活支援の実施▽アイヌ政策を総合的に担当する国の窓口、常設の協議の場の設置--などを盛り込んだ。道アイヌ協会が求めていた国会での特別議席付与は、「国会議員は全国民の代表」との憲法に抵触するからと見送られた。

 生活支援は、道が74年からウタリ福祉対策として教育や雇用対策などを行ってきたが、道外のアイヌは対象から外れ、居住地で格差があった。首都圏のアイヌで作る「関東ウタリ会」の丸子美記子会長は「道内はまだまし。道外にいるアイヌは何ら恩恵を受けていない。同じ土俵に立てる制度をぜひ実現してほしい」と訴えてきた。それが取り入れられた形となっている。

 ただ、生活支援には「だれがアイヌか」という個人認定が必要で、素案は「個人認定手続きには透明性、客観性のある手法を慎重に検討すべきである」としている。客観的な判断材料に、アイヌ名が分かる明治初期に作られた改製原戸籍があるが、誰がどのように認定するのか、今後検討すべき課題も多い。

 ■国際水準の政策を

 アイヌ政策を検討する政府の懇談会は、95年に設置された「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇」以来、2度目。しかし、前回と比べると、取り巻く環境は変わっている。

 前回は、アイヌ差別の根源とされた「北海道旧土人保護法」(1899年制定)の廃止と新法制定が課題だった。今回は「政府はアイヌを先住民族と認めること」「国連宣言を参照しつつ、総合的な施策の確立に取り組むこと」の2点を政府の求めた国会決議や、国連宣言を踏まえ、アイヌ政策の質的転換が求められた。「アイヌ文化振興法」(97年制定)を超える総合的な政策展開が期待されている。

 先住民族問題に詳しい恵泉女学園大学の上村英明教授は「素案で『アイヌは先住民族』としながら、ではどんな政策を行うのか具体策が見えてこない。各国政府は先住民族の権利保障に具体的に取り組んでおり、国際的な水準と照らして、日本が何をするのか分かりづらい」と指摘する。

 米国は先住民言語法を制定し、先住民族が独自言語を使用する権利を保障。また、フィンランドは先住民族サーミ議会を設置。さらに、台湾は進学優遇措置で、入試得点を上乗せして優遇している。

 アイヌは近世で資源を収奪され、近代は旧土人保護法で同化を強制され、現代は単一民族国家の幻想で忘れ去られてきた。独自の言語や文化を奪われてきた歴史を理解することが和解の原点となる。懇談会の報告書がそれにどこまで応えるか、真価が問われている。

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 【アイヌ有識者懇の報告書素案のポイント】

 ・今後のアイヌ政策の基本的考え方

 アイヌは先住民族。国連の先住民族の権利宣言を参照し、憲法13条「個人の尊重」に基づき、国が主体となった政策を全国で実施すべきだ

 ・政策の理念

 新しい政策は、アイヌを先住民族と認識したうえで構築する

 ・具体的政策の三つの柱

 (1)国民の理解の促進

 アイヌの歴史・文化の適切な理解を可能とする学校教育の内容充実。アイヌ民族の日(仮称)の制定

 (2)広い意味での文化にかかわる政策

 アイヌ文化や歴史などの研究・教育・展示施設を核とし、アイヌ文化の体験・交流を促進する民族共生の象徴となる公園の整備。生活支援策は居住地に左右されず、自律的に生を営むため、道内外で実態を調査したうえで行う

 (3)国の推進体制の整備

 アイヌ政策を総合的に企画・立案・推進する国の窓口整備。施策の実施状況をモニタリングする協議の場を設置する

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 ◆アイヌ有識者懇の審議経過◆

1回目   08年 8月 アイヌの現状、国連・先住民族の権利宣言の概要説明

2回目       9月 加藤忠・道アイヌ協会理事長と高橋はるみ知事がアイヌの生活実態を説明し、新たな立法措置や政府の総合的な窓口設置などを要望

視察(1)    10月 道央を現地視察

視察(2)    11月 東京のアイヌ文化交流センターを現地視察

3回目      12月 安藤仁介・世界人権問題研究センター所長が世界の先住民族政策、常本照樹・北大教授がアイヌ政策の検討課題を説明

4回目   09年 1月 山内昌之・東大教授と佐々木利和・国立民族学博物館教授がアイヌの政策の歴史的な経過を説明

5回目       2月 篠田謙一・国立科学博物館研究主幹が自然人類学上のアイヌの位置、中川裕・千葉大教授がアイヌ語学習の現状を説明

6回目       3月 これまでの論点を(1)歴史的経緯(2)従来のアイヌ政策の評価(3)新しい総合的なアイヌ政策のあり方--の3点に整理

7回目       4月 論点の議論

視察(3)     5月 道東を現地視察

8回目       5月 引き続き論点の議論。生活や大学進学率などで格差があるとする北海道大のアイヌ民族生活実態調査を説明

毎日新聞 2009年6月28日 地方版

札幌大がアイヌ奨学生制度 来年度から、募集は6人

2009-06-29 04:50:50 | 多文化共生
(以下、47NEWSから転載)
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札幌大がアイヌ奨学生制度 来年度から、募集は6人

 札幌大(札幌市)は26日、アイヌ民族を対象にした奨学生制度を2010年度から文化学部に設けると発表した。一般に比べて大学進学率が低いアイヌの若者に、高等教育や民族文化などを学ぶ機会を提供し、未来のアイヌ文化の担い手を育成することが目的。多文化が共生する社会の在り方を探る狙いもある。

 発表によると、募集人員は6人で、応募時の居住地は問わない。奨学生には、入学金20万円と年77万円の授業料の同額を支給。副専攻としてアイヌ語やアイヌ文化を学ぶことなどを求める。

 選考は、文化学部長を委員長とする学内の選考委員会が入試に先立ち、書類や面接で実施。自己推薦特別入試による同学部入学を希望していることや、入学後に文化伝承保存活動に携わることなどを条件としている。アイヌかどうかは、北海道アイヌ協会の協力などを得て確認するという。

 札幌大は9月9日に出願受け付けを開始する予定。問い合わせは電話011(852)9130、文化学部まで。
2009/06/26 17:16 【共同通信】

オランダ、求む高学歴外国人

2009-06-26 10:24:38 | 多文化共生
(以下、IBTimesから転載)
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オランダ、求む高学歴外国人

2009年06月24日 22:21更新

 オランダは、高学歴で能力のあるプロフェッショナル人材を増やすため、移民政策を変更することを決定した。アメリカ合衆国やイギリスでは、昨今の金融危機で外国人労働者を排除し自国民を優先させる政策を取り始めているのとは対照的である。

 米国と英国では、労働者だけでなく留学生や科学者の入国も限定している。これまで、低開発国の優秀な学生や研究者は、オランダを素通りしてアメリカやイギリスで博士号や研究職を得ていた。しかし今回の政策変更は、「オランダにとって優秀な人材を得るまたとないチャンスである」と王立オランダ学術科学学会の代表であるダイクグラーフ氏は語る。

 オランダ政府は、外国人を雇う企業や大学が優秀な外国人の人材を解雇せざる得ない状態になった場合に、人材確保のための資金として2億8000万ユーロの基金を設立した。通常、職を失った外国人は即刻国外退去となるが、この基金により次の仕事が見つかるまでの間は滞在許可を保持できるようになった。