多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

災害弱者名簿「作成」の市町村2割弱 金沢大が全国調査

2008-05-23 09:37:07 | 多文化共生
(以下、朝日新聞から転載)
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災害弱者名簿「作成」の市町村2割弱 金沢大が全国調査

2008年05月21日

 地震など災害時に避難の手助けが必要な人のリストを作成している自治体が全国の市町村の2割に満たないことが、金沢大学の岩本健良准教授らの調査でわかった。半数以上がまだ作成に取りかかっておらず、このうち約6割の自治体が未作成の理由として「個人情報の問題」を挙げた。役所内での情報交換にも慎重で、支援を担う民生委員や自主防災組織に情報提供することへの根強い抵抗感もうかがえる。

 岩本准教授ら同大学社会学研究室の調査班が、07年9~10月、全国の市町村と東京23区の計1826自治体に郵送で調査用紙を送付し、1400自治体から回答を得た。

 有効回答のうち、手助けが必要な要援護者リストを「作成している」と回答したのは17.8%で、「一部で作成」「作成中」を合わせても45%にとどまった。一方、「作成していないが、今後の作成予定はある」とした回答は49.8%だった。

 未作成の自治体に理由(複数回答可)を尋ねると、「地域コミュニティーが要援護者の情報を把握しているので必要性を感じない」としたのは15.8%だったのに対し、「個人情報の目的外利用や第三者への情報提供の問題がクリアできない」とした回答が60.7%あった。

 「作成」「一部作成」「作成中」と回答した自治体に、リスト作成時や運用の課題(同)を尋ねても「個人情報の取り扱いが困難」と答えた自治体が最も多く、「あてはまる」と「どちらかといえばあてはまる」を合わせると76.9%にのぼった。

 各自治体は要援護者の範囲を独自に定めているが、その一部しかリストへ登録できていないところも多い。登録率9割以上という自治体は25.3%あったが、5割未満も17.8%にのぼった。36.1%が登録率を把握していなかった。

 一般の住民に対する安否確認の具体的な方策の有無については、「していない」(53.0%)が「している」(47.0%)を上回った。住民登録していない一人暮らしの人の安否確認では、把握する方策がないと回答した自治体が90.4%に達した。

 岩本准教授は「登録率が低いままでは地域のコミュニティーに期待しても、見過ごされる人が出るおそれがある」と指摘。登録率アップを急ぐとともに、自主防災組織などにも守秘義務を課したうえで、行政と災害弱者の情報を共有する必要性を訴えている。

 調査結果は松山市で24日開かれる予定の関西社会学会で発表される。内閣府によると、全国の市町村を対象に、要援護者リストの作成状況に加え、課題や登録率まで網羅した調査は珍しいという。(木村聡史)

     ◇

 〈災害時要援護者〉 政府の検討会が05年3月、高齢者、障害者ら災害時に避難するのが困難な人たちの避難支援プランのガイドラインを策定。自治体に対象者のリストや避難先など具体的な計画を作るよう求めた。内閣府はリスト化の際の個人情報の取り扱いについて、個人情報保護法で目的外使用が認められる「明らかに本人の利益になるとき」に該当するとの見解を示している。朝日新聞が46道府県の県庁所在地や政令指定市など73自治体を対象にアンケートし、2月にまとめた結果では、07年度中に作成予定も含めると、6割近い43自治体がリスト化を進めていた。

吉田仁(よしだ・ひとし)さん帰国子女向け雑誌を初めて発刊 「異文化学んだ子供たちは日本の宝」

2008-05-23 09:36:27 | 多文化共生
(以下、産経新聞から転載)
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吉田仁(よしだ・ひとし)さん帰国子女向け雑誌を初めて発刊 「異文化学んだ子供たちは日本の宝」
2008.5.21 19:10


 「アメリカでは授業中、ガムをかんだり、足を組んだりするのはごく普通。それを覚えてそのまま日本に帰国すると…」

 駐在員の子弟は語学も堪能で、海外経験も豊富といったイメージが先行するが、吉田さんによると、生活習慣の壁にぶつかり、帰国後に登校拒否になる子供も少なくないという。

 今月発行した帰国子女を応援する初の教育雑誌「帰国便利帳」は渡米20年、現地の学校に通う2人の子供を持つ吉田さん自身の経験から生まれた。

 文部科学省によると、帰国子女の数(小中高)は1万300人(平成18年度)で、そうした子女を積極的に受け入れる学校も増えている。その一つ、かえつ有明中・高校(東京)では「現地校で学んだ生徒は意見を言えて考える力を持っており、それは素晴らしい能力。だが、日本の暗記中心の授業に戸惑うことが多い」(帰国生担当・久保敦教諭)と、帰国子女のプラスとマイナス面を指摘する。

 創刊号をみると、北京五輪・野球日本代表監督の星野仙一氏「私の教育論」、元フジテレビ・アナウンサーの木佐彩子さん「帰国体験記」、「帰国前に知っておきたい、教育のヒント」と盛りだくさん。

 発行部数は7万部。教育関係者にとって朗報なのは“フリーマガジン”として世界9カ国、500カ所の学校やスーパーで配布されることだ。日本では紀伊國屋書店などで無料で受け取れるようになるという。

 「異文化を肌で学んだ子供たちは日本の宝。帰国して伸び悩んでいては、個人にとっても社会にとっても損失になる」

 帰国子女たちの個性を生かしつつ、いかに日本へソフトランディングさせるか、未開拓の分野に切り込んだ新雑誌の役割に注目したい。(大家俊夫)

      ◇

 昭和40年、東京・飯田橋生まれの42歳。63年、日大卒業と同時に渡米し、当初、ホームレス同様の生活も経験。ガイド誌「ニューヨーク便利帳」の版権を創刊者から買い取り、「ワイズ・パブリッシング」(www.us-benricho.com)社をニューヨークに設立。社員40人。米ニュージャージー州在住。

多言語バスツアー 生きた外国語 気軽に

2008-05-23 09:35:50 | 多文化共生
(以下、朝日新聞から転載)
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多言語バスツアー 生きた外国語 気軽に

2008年05月21日

 外国人の夫婦や家族連れでにぎわう車内には、英語のほかスペイン語らしい会話も交じる。はとバスの東京観光ツアーだ。明治神宮や浅草を経由し、銀座に向かう。

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多言語自動ガイドシステムと英語の通訳ガイドにより、5言語で案内が聞けるバスツアー=東京都内

 通訳ガイドによる英語の案内だけでなく、韓国、中国、スペイン、日本の4言語の音声がヘッドホンから流れる。「多言語自動ガイドシステム」の搭載車でのツアーは昨年10月に始まった。

 この日の乗客は36人。少なくとも4カ国にまたがる。通訳ガイドの岩波信子さんが笑顔で説明を始めた。今の横綱は2人ともモンゴル人、キヤノンの社名の由来は「観音」……。興味深そうに聞く人、ヘッドホンをして観光案内の画面と車窓を見比べる人もいる。

 岩波さんの話に、インドネシア在住のジェームス・ブキャナンさん(47)は「ホンダ本社の場所など身近なことから神道の儀式まで幅広くておもしろい」。スペイン語の音声を聞いたメキシコ人のファン・コボスさん(71)は「原宿が若者に人気があるのは分かったが、もう少し詳しい情報がほしい」と注文をつけた。

 ブキャナンさん夫妻の案内役で同乗した日本人主婦(35)は数年前、英語の勉強のため外国人向けバスツアーに乗った。分かっているつもりでもいかに英語で説明できないか思い知らされたという。全日本通訳案内士連盟の林久美子さんはこうしたツアーを「通訳ガイドがどう説明しているか分かるし、降りて見学するとき外国人客と話す機会もある。気軽に生きた外国語が学べる場」と話す。

 車内の雰囲気は次第に和み、互いに写真を撮り合う場面も。こちらも身ぶりを交えて会話に努めるうち、いつの間にか国際交流を楽しんでいた。(片山健志)

 ●GPS使って配信

 多言語自動ガイドシステムは全地球測位システム(GPS)を利用、地点ごとの観光情報を自動配信する。スムーズに走っている時は必要最低限だが、渋滞時はより詳しい情報を流す。このシステムを使い多言語で案内をしているのは、はとバスだけ。ツアーは3種類あり、1日観光の「パノラミック東京」は大人9800円、半日の「シティラマ東京モーニング」は同4000円、「シティラマ東京アフタヌーン」は同4500円。いずれも通訳ガイドが英語で案内する。

急病の外国人の支えに 12カ国語で救急ガイド作成

2008-05-23 09:35:14 | 多文化共生
(以下、神戸新聞から転載)
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急病の外国人の支えに 12カ国語で救急ガイド作成

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神戸市内の全救急車に配備されるガイド

 神戸市内で暮らす外国人が救急車を利用しやすいようにと、外国人支援に取り組む「多文化共生センターひょうご」(東灘区)は、日本語と対訳式の「多言語版 救急時情報収集ガイド」を作成した。英語や中国語など十二カ国語で病名や処置の内容、症状などを表記。指をさすだけで、患者と救急隊員がコミュニケーションを取れるように工夫されている。近く、市消防局の救急車全三十一台に配備される。(紺野大樹)

 同センターによると、日本語が分からない外国人の中には、救急隊員にうまく説明できないため、急病でも救急車の要請を控える人がいるという。市内の救急車には約二十年前に作成された「外国人救急ノート」があるが、ニーズの高い言語が含まれていないため、同局の協力を得て新たにガイドを作ることにした。

 ガイドにはポルトガルやスペイン、ロシア、ベトナム語などを採用。外国語と日本語の対訳式で、平仮名とローマ字で構成する「やさしい日本語」も含めた。

 日本語が分からない患者から救急車の要請があった場合、救急隊員はまず、「私たちは、神戸市の救急隊です」と書かれたシートを見せ不安を取り除く。けがをした理由や、「ずっと痛い」「刺すような痛み」など痛みの程度、「しびれる」「吐いた」など症状を指さしてもらう。妊娠中やアレルギーの有無なども伝えられるほか、検査の種類など医療現場で使われる用語集も付けた。

 同センターの北村広美代表は「救急車への配備とともに、外国人にも持っておいてほしい」と話している。ガイドは同センターのホームページ(http://www.tabunka.jp/hyogo)から取り込める。

村上春樹氏の語る<現在>:(下)グローバリズムと地域主義 歴史から学び両者の調和を

2008-05-21 21:58:51 | 多文化共生
(以下、毎日新聞から転載)
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村上春樹氏の語る<現在>:(下)グローバリズムと地域主義 歴史から学び両者の調和を

 今回のインタビューで作家、村上春樹さんは、自らの創作とのかかわりで東西冷戦後の世界の状況についても、さまざまな角度から語ってくれた。

 多くの文学作品を翻訳・紹介し、長く生活したこともあるアメリカには、いうまでもなく深い関心を寄せてきた。この国は01年の「9・11」テロ事件以来、大きく変わったと村上さんはいう。

 「あの時からアメリカは体が縮こまっている、硬直しているという印象を強く受けましたね。本当はもっと柔らかく筋肉が動く国なのに、一時期は冗談も言えないような状況で息苦しかった。今も硬直はまだ残っているけど、少しずつほぐれてはきています」。また、今年の大統領選に関して聞くと、「(次期大統領が)誰であるにせよ、今までの対決のフェーズ(様相)から、むしろ和解のフェーズに入っていくんじゃないか」と話した。

 一方、翻訳に関連して「言語の交換性」への関心を語った。「インターネットの時代で文化の交換性、互換性が高まってくると、現状から見て、英語が中立的な公用語としての役割を果たす機会が結果的に多くなってくるだろう」。そのうえで、「でも、それに対する反発も強くなり、その結果、地域主義(リージョナリズム)みたいなものが台頭してくるだろう」と見る。

 これは、インターネット言語としての英語に象徴されるアメリカの覇権が時として国際的な反発を呼び起こす、その文化的な背景に横たわる問題だ。こうした対立を乗り越える方途についても、作家の立場から話した。

 「僕らの生活のいろんな面において、グローバリズムと地域主義の二つの方向性をうまく調和させていく必要がある。どう調和させるかとなると、僕の場合は物語を書くことしかない。物語というのは世界共通のものではあるけど、それを組み立てる要素は僕の場合なら日本人で、日本語でものを書くというリージョナルなものだから」

 そして、両者を調和させる鍵になるのは「歴史から物事を学び、広い意味での常識を働かせ、自らをより深く知りつつ、他者をも理解しようとする態度」だと考える。その態度は「ディーセンシー(節度、上品さ)という言葉で表されるかもしれない」と村上さんは語った。

 「僕が書きたいのは、ディーセンシーを掬(すく)い上げていく物語だという気がする。どんなに暗い、絶望的な状況の中にあっても、ある種のディーセンシーは光を届ける、何かを救ってくれるということ」。この話は、歴史の闇とそこからの再生を描いた長編『ねじまき鳥クロニクル』(94、95年)や『海辺のカフカ』(02年)を想起させる。

 さらにインタビューでは、長編小説の執筆における「村上春樹的方法」の一端も披露してくれた。「(長編小説は)いつも書けるというわけでない。書くべき時が来れば書けるんだけど、時が来なければどうやっても書けない。自分の中に力がたまるのを待たなくちゃならないんです、満ちてくるのを」

 驚いたことに、書き始めた時にはその作品が「どのぐらい長くなるかが前もってわかる」という。「いっぱいになると、(原稿用紙)何枚分たまっているかってわかる(笑い)。この力を使って書けば、例えば2000枚になるだろうとか予測はつくんですよ」

 つまり、今、執筆中の大長編も、『海辺のカフカ』以来の6年間に蓄積されたものの集大成ということになりそうだ。その新作については、「書いている時は、ただ森の中にいて道をたどって行くだけで、周りに何があるか、その森がどういう全体像なのかもわからない」と話す。「ただ不思議なもので、正しい道を自分が進んでいるという確信はあるんですよ。書き上げたものは、ある程度確かなものになっているはずだという確信ですよね」

 日本中の、いや世界の各地で新作の完成を待ちわびる読者にとって、これ以上、心強いメッセージはないのではないだろうか。【大井浩一】

岩田放課後子ども教室始まる

2008-05-21 21:57:44 | 多文化共生
(以下、東日新聞から転載)
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岩田放課後子ども教室始まる


東日新聞
スタートした岩田放課後子ども教室
 日系ブラジル人を中心に、外国籍市民が多く住む豊橋市岩田小学校(彦坂久伸校長)で19日、外国籍児童を対象にした「岩田放課後子ども教室」がスタートした。これまでに25人が登録し、元教師、保育士、塾講師、アフタースクール関係者ら有償ボランティアから日本語の読み書きなどを習った。

 共働きや少子化対策の一環として、文部科学省が全校児童を対象に放課後子ども教室推進事業、厚生労働省が留守家庭児童を対象に、放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)を推進。これを受けて豊橋市は、放課後子どもプラン推進委員会を設けて、同プランを策定し、今年度からつつじが丘校区、嵩山校区とともに岩田校区で事業化に踏み切った。

 特に岩田校区は外国籍児童が多く、全校935人中131人を占める。外国籍児童を対象にした同教室は全国的にも珍しいという。

 これまでの説明会などを通じ、1年生から6年生までの25人が登録した。国籍別ではブラジル21人、ペルー2人、フィリピン2人。

 月曜日から金曜日まで毎日、同校の視聴覚教室を使って行われる。授業後の午後2時、または3時から始め、5時30分まで。

 有償ボランティア(時給1000円程度)スタッフ18人が、代わる代わる対応する。低学年対象の絵本の読み聞かせから、授業の補習、宿題の学習支援ほか日本や母国に親しむ催しも行う。

 スタートのこの日は、午後3時に低学年10人ほどが集まり、楽しそうに絵本の読み聞かせを受けていた。

通訳とブラジル人世帯巡回 浜松東署

2008-05-21 21:56:44 | 多文化共生
(以下、静岡新聞から転載)
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通訳とブラジル人世帯巡回 浜松東署
2008/05/20
 浜松東署は19日、ブラジル人世帯の多い遠州浜団地(浜松市南区遠州浜)で、民間通訳を同行したブラジル人世帯の巡回連絡を行った。市内では初めての試み。
 巡回連絡は、交番・駐在所勤務の署員が担当地域の家庭などを訪問し、管内での犯罪発生状況や注意してほしい事などを伝えたり、住民の要望を聞いたりする活動。
 この日は、同署遠州浜駐在所の署員が通訳の大段登美子さん(同市北区)と10世帯を回った。家族構成や緊急連絡先などを聞いたほか、駐車場のトラブルなどに注意するよう伝えた。


学生寮 交流のススメ

2008-05-21 21:55:42 | 多文化共生
(以下、朝日新聞から転載)
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学生寮 交流のススメ

2008年05月19日

 地方出身の学生を経済的に支えるというイメージが強かった、大学の学生寮の役割が見直されている。留学生増を打ち出す大学では、受け皿にするとともに、日本人学生との国際交流の拠点にすることを目指す。人格形成のため全寮制を敷くなど、「教育」の場として位置づける大学も増えている。

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トランプをしてくつろぐ日本人学生と留学生=横浜市港北区の慶応大学下田国際学生寮
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寮の2人部屋ではおしゃべりが弾む=千葉県八千代市の秀明大学生会館

◆留学生と映画や料理

 慶応大の下田国際学生寮(横浜市)は06年に設立された。留学生約120人と体育会の日本人学生約200人が住む。留学生と日本人の棟は別だが、年に7回程度、大規模な交流会を開いている。

 留学生の支援役を担う修士2年、関谷進吾さんは「いろいろな国の人と出会える。英語を使う機会も多い」と寮の魅力を語る。フランスからの留学生エドミー・アムストゥッツさん(23)は「昨夏の交流会は、地域の人たちの盆踊りが素晴らしかった」と話す。最近は日本人学生にクレープの作り方を教えたという。

 一方、体育会棟に住む3年の小野加寿也さんは、毎日のように留学生棟のラウンジに出向いている。「一緒に映画を見たり、中国からの留学生と北京五輪について話したり。キャンパスでは接する機会がないので、貴重な場所です」

 ただ、小野さんのように日常的に交流している学生はそれほど多くない。関谷さんは「お互いにもっと交流したいという思いはある。今年は月1、2回映画会を開きたい」と言う。

 留学生増加への対応策は、どの大学も力を入れている。慶大の留学生は現在、約870人。15年度には全体の5%にあたる1500人にするのが目標という。下田寮も対策の一つとして体育会の合宿所を建て替える際に造られ、地域住民も含めた国際交流の場として期待されている。坂本達哉常任理事は「学生たちの交流の意思を尊重し、サポートしたい」と話す。

 慶大はこのほか、民間業者と提携して百数十人規模の寮を造り、入居者の3人に1人は留学生にすることも検討している。湘南藤沢キャンパスでは11年をめどに寮を建設し、日本人学生と留学生、教員らが一定期間、共同生活を送る計画もある。

◆居間共有 助け合い

 早稲田大は来年、日本人学生と留学生が一緒に住む900人規模の寮を東京・中野に着工予定だ。5年以内に留学生を8千人に増やす目標を掲げているが、現在の寮は1500人分しかないからだ。

 この寮は単なる留学生の受け皿にとどまらない。留学生を含む4人が1組で、寝室は個室だが居間などは4人共同。学生同士が助け合い、引きこもりを防ぐとともに、異文化交流を進めるのが目的だ。入寮は原則的に2年生までとし、自立を促す。

 大学側は計画にあたって、スタンフォード大など米国の6大学の寮を見学した。島田陽一学生部長は「今までの寮は部屋を割り当てて住むだけだった。これからは住まいを超えた教育の場にする」と意気込む。

 留学生と日本人学生の交流を目的とする寮は、南山大(名古屋市)が先駆けだ。99年から留学生3人と日本人1人が4LDKで共同生活を送るタイプの寮を開いている。面接で選考しなければいけないほど入居希望者が多いという。

◆全寮制で人間性養う

 寮生活を学生の人格形成に役立てようとする取り組みもある。

 秀明大(千葉県八千代市)は今年開設した学校教師学部を全寮制にした。嘉部好修(かべ・よしのぶ)学部長は「かつての師範学校も全寮制だった。昨今は教員の不祥事が問題になっており、対人関係能力や自分を律する力を身につけさせたい」と話す。後発大学として、力のある学生に育て、教員採用試験で結果を出したいという思いが背景にある。

 現在、今春の新入生約70人が2人ずつ同室で暮らす。朝は7時に起床し全員でウオーキング、月~木曜は夜も1日3時間の勉強が課せられるなど、寮生活はたやすくはない。だが、1年の沢畠由香さんは「意外と楽しい。4年間は長いけど、教員になるという目標があるので耐えられる」と前向きだ。同室の永山渚(なぎさ)さんも「入学してまだ1カ月だけど、半年くらいたったような人間関係ができた。普通の大学ならこうはいかないと思う」と強調する。

 新入生に一定期間の寮生活を課す大学もある。医系4学部からなる昭和大(東京)の1年生は全員、山梨県の富士吉田キャンパスで、各学部1人ずつ4人が同室の寮生活を送る。医療に携わるにあたって必要な協調性や思いやりを培うのが目的という。

 東京理科大の基礎工学部は、1年次に北海道長万部キャンパスで全寮制の「全人教養教育」をしている。豊田工業大(名古屋市)も1年男子は全寮制。やはり人間性やコミュニケーション能力を養うのがねらいだ。(葉山梢)

別府温泉、外国人客が倍増 円安効果、誘致策が奏功

2008-05-20 09:21:57 | 多文化共生
(以下、FujiSankei Business i.から転載)
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別府温泉、外国人客が倍増 円安効果、誘致策が奏功
FujiSankei Business i. 2008/5/19  TrackBack( 0 )


 わき出る湯量が日本一の温泉を抱える大分県別府市を訪れる外国人観光客が急増している。円安傾向を受け地理的に近い韓国人客が増えたほか、宿泊施設での外貨両替や外国語でのボランティアガイドなど外国人客向けの取り組みが効果を表し始めたようだ。

 別府市の外国人旅行者受入協議会(受入協、甲斐賢一会長)によると、2007年の外国人宿泊者数は過去最多の約24万5000人で、6年間でほぼ倍増した。人口(約12万2000人)の2倍を超える外国人客が訪問した計算だ。

 その大半が韓国で、07年は20万人を超えた。別府市観光協会の高倉秀樹事務局長(55)は「早くから韓国で観光を売り込み、温泉地としてイメージが定着している。観光ビザの免除や円安ウォン高も重なったのでは」と分析する。

 ゴルフブームにわく韓国はゴルフ場の予約が取りにくく、料金も割高。週3便のソウル便が運航する大分空港では、別府市内に3カ所あるゴルフ場を目指して到着した韓国人の姿が目立つ。

 受け入れ態勢を充実させたことも好影響したようだ。受入協は宿泊施設でウォンやユーロなど6種類の通貨の両替サービスを実施。甲斐会長は「宿泊施設が組織的に両替しているのは全国でも別府だけ」と胸を張る。

 市内在住の外国人がボランティアで町歩きガイドをする取り組みもある。英語は月1回、韓国語、中国語、タイ語は不定期で、鉄輪(かんなわ)温泉を中心に散策しながら温泉の歴史や文化を紹介する。

 英語担当のゴンザレズ・ベレナルドさん(31)は「お気に入りの別府の魅力を海外から来る人たちにも伝えたい」と目を輝かせる。JR別府駅前の外国人観光客案内所で13年間、案内を務めてきた樫山敬一さん(78)は「温泉や海の幸に加え、外国の方にはホスピタリティーも魅力なのでは」と話す。

 ただ、まちおこしなどを通じ観光地間の競争が激化しつつある。高倉事務局長は「別府は世界で11種類とされる泉質のうち10種類が経験できる。医学療法と合わせて療養効果を売り出すなど、新たな仕掛けでリピーターを増やしたい」と意欲を見せる。

不登校認める教育制度を 学校以外の選択肢確保して

2008-05-20 09:21:25 | 多文化共生
(以下、東京新聞から転載)
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不登校認める教育制度を 学校以外の選択肢確保して

2008年5月19日 13時47分

 「不登校は、制度の中で認めるべき」-。元文部科学省職員で、現PHP総合研究所の亀田徹主任研究員(41)が、そんな政策研究論文を公表した。子どもを学校に通わせる「就学義務」でなく、多様な選択肢を認める「教育義務」を保護者に課す制度改正を求めている。同省では不登校対策の直接の担当者だっただけに「すべての子どもにとって学校が最善の選択肢とは限らない」とする提言は注目を集めそうだ。 (早川由紀美)

 亀田研究員は、二〇〇六年十一月に退職する前、不登校やいじめ対策を担当する同省児童生徒課の生徒指導室長として約三十カ所のフリースクールやフリースペースを訪れた。その中で「不登校の問題は学校に行かないことととらえられているが、教育の機会が確保されればいいのではないか」と思うようになったという。

 学校教育法は、保護者に対して子どもを小中学校に通わせることを義務付けている。提言では、これを改め、保護者の申請に応じ、市町村教育委員会が家庭やフリースクール、インターナショナルスクールなど学校以外の教育も例外的に認める。教委は、面接などで定期的に保護者が教育を受けさせているかを確認する。

 現在の不登校児童生徒や外国人学校に通う児童生徒合わせて十三万人を年間三回ずつ面接すると想定した場合、新たに必要な人件費は四十七億円と試算している。

 就学義務の弾力化については中央教育審議会でも過去に審議されているが「学校復帰を目指した教育が重要」と慎重だ。一部の教委ではフリースクールへの補助制度なども始めているが、小中学校が施設での学習を出席扱いとすることなどが条件とされている。亀田研究員は「不登校の子どもが現行制度の枠外にいることで教育の水準が保障されていない現状を解消すべき」と話している。

 論文は同研究所のホームページ(HP)などで読むことができる。

(東京新聞)