多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

難民申請急増、初の4千人超 審査待つ人たちは…

2014-12-26 11:39:23 | 多文化共生
(以下、朝日新聞から転載)
==============================================
難民申請急増、初の4千人超 審査待つ人たちは…

鬼室黎 北沢拓也2014年12月25日18時39分


 日本で難民申請する外国人の急増が続き、今年は1982年の難民認定制度の開始以来初めて、4千人を超えたことがわかった。日本はそもそも難民認定率が極めて低く、審査期間も長い。申請の急増が、保護すべき人の審査の遅れに拍車をかけている。

■困窮、公園で野宿

 「暖かい部屋で過ごせるのはうれしい」。褐色の肌をした20代の男性は、首都圏にあるワンルームのアパートで、初めての日本の冬を過ごす。

 アフリカ中部から7月に短期ビザで来日した。所持金がなくなり、秋にかけて東京都内の公園で野宿を続けた。NPO法人「難民支援協会」が用意したアパートに身を寄せることができたのは11月下旬。難民申請したが、収入はなく、食べ物も支援に頼る。

 内戦状態が続く母国で大学卒業後、政治活動にかかわっていた。仲間が次々と姿を消し、自らも警察に追い回された。「見つかる危険性が高いヨーロッパより安全では」と日本へ。「争いばかりで国には平和が訪れたことがない。社会は混乱し、庶民は底辺の暮らしをしている」

 難民申請の結果が出るのに何年もかかると聞いて驚いたが、「人生を立て直す最初の一歩」と覚悟を決めて待つつもりだ。

 群馬県館林市に住むミャンマー出身のロファトさん(39)は2006年に来日し、今は3度目の難民申請中だ。糖尿病を患い、「目がかすみ足がだるいが、治療費は払えない」と言う。

 ミャンマー政府が国民と認めていないイスラム教徒の少数民族「ロヒンギャ」。日本で約200人が暮らすと言われ、難民認定者や「人道的配慮」による在留を認められた人もいるが、ロファトさんら約30人は就労や保険加入ができず、居住地からの移動も制限された不安定な立場だという。(鬼室黎)

藤沢市小規模多機能事業所連絡会の副代表として1月16、17日の全国大会を取りまとめる

2014-12-26 11:38:53 | ダイバーシティ
(以下、神奈川新聞から転載)
==============================================
藤沢市小規模多機能事業所連絡会の副代表として1月16、17日の全国大会を取りまとめる

菅原 健介さん
鵠沼橘在勤 35歳
掲載号:2014年12月26日号


つなぐケアで地域の絆を

 ○…住み慣れた街で、顔馴染みのスタッフによる訪問・通所・宿泊などのサービスを提供する「小規模多機能型居宅介護」。その全国ネットワークの総会を藤沢で開催すべく、2年前から地盤を固めてきた。「良い事例があっても、認知度が低くて広まらないのが現状。もっと魅力や可能性を知ってほしい」―。その一心で同じ志の仲間と切磋琢磨し、開催した市民向けセミナーは80回にも及ぶ。「最初の参加者はたったの2人。でも、ボトムアップを図ろうと諦めずに続けてきた」

 ○…「介護もその人に合わせて多様性を」。理学療法士として藤沢駅前のマンションの一室に開設した小規模多機能『絆』では、料理やプールなど個々に合わせたオーダーメイドのリハビリを組み込む。「家族や友人、近所が手を携え、元々の生活につなぎ直すことが、結果、自立支援になる。これからは街レベルで支え合うことが大切」と熱く語る。

 ○…鎌倉市出身。両親は共働きで、「幼少期はサザエさん一家が憧れだった」と本音をポロリ。中学・高校は福祉の街・デンマークの日本人学校へ、学生時代はアフリカを旅するなど、福祉の「礎」になる経験を積んできた。東日本大震災時には母親率いる訪問看護師らと8カ月間支援に奔走し、「地域力が防災力になる。どうしたら地域の絆を強められるか」と模索した。

 〇…亀井野で小規模多機能を実践する加藤忠相さんとの出会いが転機に。「『介護する、される』の関係ではなく、お年寄りの周りに子どもや地域住民がごく自然に集まって一緒に過ごす姿を見た瞬間、『これしかない』って」。現在は人と人、衣食住、商業、自然との共生を軸とした「村づくり」を企て中だ。「互いに支え合い、最期までその人らしく楽しく過ごせる場をつくりたい」。少年のように瞳を輝かせて夢を語る表情からは人間愛があふれている。北欧やサザエさんの世界を体現、いや、それを超えるコミュニティを愚直にめざす。

女性クオータ制度への対応はじっくりと

2014-12-26 11:38:14 | ダイバーシティ
(以下、経済産業研究所から転載)
==============================================
女性クオータ制度への対応はじっくりと


安倍政権の続投により本格化する女性登用

2014年末の選挙の結果、女性の活躍推進を旗印に掲げる安倍政権の政権基盤は安定的なものになった。2015年は女性ポストの数値目標が課されるクオータ制度の導入が本格化するであろう。

いくつかの例をあげよう。2014年12月に発表されたコーポレートガバナンスコード原案の中には「上場会社は、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなり得る、との認識に立ち、社内における女性の活用を含む多様性の確保を推進すべきである」との原則が掲げられている。この原則に基づいて各企業は役員に占める女性比率を公開し説明責任を負うことになると報道されている。また大学評価の各種指標の一部として女性教員比率が取り入れられ競争的資金の配分に当たって考慮されるケースが増えている。このような政府の方針に対応して、北海道大学や九州大学などの有力大学では女性に限定した経済学者の公募広告が出されるなど採用現場にも変化がみられる。

このようなクオータ制度導入の流れに対して、女性の積極的な採用・昇進を数値目標で実現しようとするのは女性に対する逆差別を招き、女性に対する偏見を助長するという意見がある。たとえば自身が経営者として活躍してきた南場智子氏は随所で女性に対する優遇策は頑張っている女性に対して失礼であり、かえって女性管理職に対する偏見を助長しかねないと指摘している。女性経営者の声であるだけに説得力がある。

しかしそもそもクオータ制度の導入が検討されるようになった背景には、女性が差別的な処遇を受けているとの指摘があることを忘れてはならない。日本企業において女性が差別的な待遇を受けていることと整合的な結果を示す実証研究は相当数存在する(たとえばKawaguchi 2007, Siegel, Kodama and Halaburda 2014)。女性に対する差別にはいくつかの種類があるが、女性であるがゆえに早くに職を去ってしまうと判断し採用を控えたり、重要な仕事を任せるのを控えたりするという統計的差別がとりわけ深刻であると山口一男氏は指摘し、その克服を訴えている(山口 2014)。統計的差別が女性の活躍機会が限定されていることの原因であるならば、性別という安易な指標によらず労働者各個人の資質を判断するよう情報収集の努力水準を引き上げることで、採用基準や昇進基準を引き下げることなく適切な人材を採用したり昇進させたりすることは可能である。

海外でのクオータ制度の評価
クオータ制度の導入は統計的差別の克服につながるのか、あるいは単なる逆差別に陥ってしまうのか、すでにクオータ制度が導入されている国々で逆差別的な採用・昇進が行われているかどうかを評価した研究を紹介しよう。2000年にまとめられたサーベイ論文はアファーマティブアクションの結果として雇われたマイノリティは学歴など目に見えやすい基準でマジョリティに劣るものの、仕事への評価は必ずしも低くはないとしている。その理由として採用において一見するとわかりにくい特性にまで十分配慮することで良質な労働者を採用できている可能性があることや、マイノリティに十分な訓練機会を与えることでマジョリティに技能的に追いつく機会を与えている可能性があることが指摘されている(Holzer and Neumark 2000)。一方、短期間のうちに役員に一定の女性を採用するように求めたノルウェーでは、女性役員がいなかった企業の株価が下落したことも報告されている。これは技能が伴わない女性役員の登用によって企業業績が下がることを予想した投資家が多かったことを意味している。役員レベルの経営者を育成するには長い育成期間がかかることを考えると当然ともいえる(一連の研究のサーベイはSmith 2014)。

望ましい政策設計と対応でクオータ制度を生かせ
これら諸外国の経験も踏まえてクオータ制度導入にあたっての留意点を記す。まず政策設計にあたっては目標達成までの期間を十分に与えることが必要である。これは適切な人材の探索や養成に時間がかかるためである。そのため政策の長期的安定性が必要であり政権交代などで政策の枠組みがコロコロと変わるようなことがあれば政策効果は半減する。政策当局が企業に目標達成までの計画を提出させたうえで途中経過を公開する仕組みも有用であろう。

数値目標を課された企業や組織はどれだけの期間をかけて目標を達成すればいいのかを十分に検討することが大切である。中期的目標から逆算して年次計画を立て、その達成状況をこまめにチェックすることが欠かせない。また、人材育成や評価を行うのはそれぞれの現場であることを考えると、経営層や人事部だけが目標を叫ぶだけでは十分な成果は望めない。目標と現在の達成状況を現場の採用担当者・現場管理職と共有することが重要である。女性割合の目標を明確に意識するだけで、男女で同等の候補者がいる場合に女性を優先するケースが増え、採用・昇進基準を緩めることなく目標を達成することができることも多いだろう。加えて目標達成の締め切りが近づくにつれて、目標達成が危うい企業が優秀な女性を引き抜きにかかることも予想しなければならない。優秀な女性を確保しつづけるためには実力に見合った適切な処遇を与え、将来の見通しを伝えることがより重要になってくる。

クオータ制度の導入が女性差別の解消につながるのか逆差別を招いてしまうのかは政策設計の巧拙と数値目標を課された側の対応にかかっている。時間的な猶予を与えない突然の政策実行は女性に対する採用・昇進基準の安易な引き下げという逆差別を生む。逆差別が行われることは、女性に対する統計的差別を克服することにつながらないどころか問題をより深刻なものとしかねない。また逆差別が横行してしまうと、男性からの反発が強くなったり、女性の中で待遇に対する不平等感が蓄積したりして政策の方向を逆戻りさせる政治力学が働く可能性もある。そのため、数値目標を課された企業や組織も即座に安易な採用・昇進基準の引き下げで対応しようとするのではなく、時間をかけて優秀な女性を発掘し彼女たちへの訓練機会をより充実させることで対応するべきだ。じっくりと取り組めばクオータ制度の導入は女性の活躍機会拡大の起爆剤となるだろう。

2014年12月26日

LGBT、どう受け入れれば...企業の採用担当者向けセミナーで「ルール明確化を」

2014-12-24 10:19:57 | ダイバーシティ
(以下、The Huffington Postから転載)
=============================================
LGBT、どう受け入れれば...企業の採用担当者向けセミナーで「ルール明確化を」

The Huffington Post | 執筆者: 吉野太一郎
投稿日: 2014年12月23日 09時55分 JST

あなたの職場に、性的少数者のLGBT(レズ、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)はいるだろうか。そしてその人たちにとって働きやすい職場だろうか。

国籍や人種、性別や性的指向の幅広さを認める「ダイバーシティー」(多様性)が言われて久しいが、企業として、LGBTをどう受け入れたらいいか分からない…。そんな企業の人事担当者を対象にした「LGBT人材採用セミナー」が12月19日、東京・恵比寿で開かれた。

LGBTに特化した人材紹介業を手がけるワイルドカード株式会社(東京)の主催。WEBシステム会社を経営し「オネエタレント」としても活動するニューハーフ(トランスジェンダー)の如月音流(きさらぎ・ねる)さんが、「面接や昇進、昇給で不利になるのではないか」と心配でカミングアウトできないLGBTが多いとし「企業側からLGBTの雇用のルールを明確に発信してほしい」と訴えた。

また、Googleダイバーシティビジネスパートナーの山地由里さんが、多国籍企業としてダイバーシティー(多様性)をどう支援しているのかを解説したほか、現場社員が集まってLGBTを支援する社内グループ「Gayglers」の取り組みを、同社の高沢数樹さんが説明した。

参加した企業の担当者からは「面接でカミングアウトしやすい環境はどうすればいいのか」「何から取り組めばいいのか」など、率直な疑問が寄せられた。

東洋経済新報社の「第9回CSR調査」によると、LGBTの権利尊重や差別禁止などの基本方針を定めるなど、何らかの社内的な取り組みを「行っている」とした企業は、回答した604社のうち13.2%。「今後予定」とした企業は4.8%にとどまる。

「あり」と回答した114社のうち、資生堂グループは行動基準の中で「あらゆる差別や虐待、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントなどのモラルハラスメントを行わない取引先を支持します」との項目に、人種や性別などと並んで「性的指向」を入れている。また、野村グループも倫理規程の「人権の尊重」項目で、以下のように定めている。「国籍、人種、民族、性別、年齢、宗教、信条、社会的身分、性的指向、性同一性、障害の有無等を理由とする、一切の差別やハラスメント(いやがらせ)を行わないものとする」と定めている。

セミナーの発言概要は以下の通り。

■如月さん「LGBTの特性を生かせる環境があれば、能力を発揮できる人は多い」

kisaragi
如月音流さん

如月:LGBTの人たちは情報感度が高いと言われることがあります。おしゃれな人が多い、流行ものに詳しい、コミュニケーションスキルが高い。一説によると、LGBTは結婚しないし子供をつくらないので、可処分所得が高いと言えます。自分のための投資がたくさんできたり、芸術に触れる機会があったり、ファッションやコミュニケーションを十分楽しめる余裕がある。仕事の面でも、デザイン、ファッション、マーケティングでは有利な能力があるかもしれません。有名なところではイタリアのファッションブランド、ドルチェ&ガッバーナのドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナがいます。最近では、アップルのティム・クックさんがゲイであることを公言しています。

このような話をすると「LGBTは優れている」と聞こえるかもしれませんが、私たちLGBTは多様性の中で一つの側面として捉えています。ある側面から捉えた場合、我々LGBTは能力を発揮できる場所があるかもしれませんが、逆に不利益に働く場面もあると思っています。平均的に何でもこなせる人間もいれば、ある一点だけ特出している人もいる。決してLGBTだけが特別なのではありません。LGBTの特性を理解して頂いて、これを生かせる仕事や環境がもしあれば、能力を発揮できる人は多いのではないかと考えています。

LGBTの人数についてはいろいろ言われていますが、カミングアウトできる状態にある人は少ないのではないかと考えています。カミングアウトできない原因は、たとえば就職や転職の面接、自身の昇進や昇給で問題が発生するのではないかという心配があるからです。同僚の方が理解を示してくれるかどうかも心配です。

トランスジェンダーの場合は、カミングアウトしないで就職するのがそもそも難しいのが現状です。LGBであれば、言わなければ外見上では分かりませんが、T(トランスジェンダー)は外見上で見て分かることもありますので、就職のタイミングでもはや隠しきれない。さらに隠し通すことがストレスになることもありますので、隠すこと自体避けたいと思っている方も多いです。

面接時にカミングアウトしたら受からないだろうという企業の場合、チャンスを自分から諦めてしまうことがあります。特にトランスジェンダーの場合は、カミングアウトなしで面接を通過することは非常に難しい。カミングアウトできる環境にある企業の面接をあえて選んでいかなければいけない現状があります。

雇用時に検討しなくてはならないことは、企業側からLGBTへの理解を発信しているかどうか。企業側からLGBTの雇用のルールが明確に発信されていなければならないと考えています。たとえば雇用に関してLGBTであることは不利益にならないと明言している企業、もしくは昇任や昇進に影響しない企業であれば働きやすい環境であると言えます。本人にストレスのない環境であると発信しているだけでも当事者としてはハードルが下がり、就職しやすくなると考えています。

トランスジェンダーが男女どちらのトイレや更衣室を使用するのか。これは常に難しい問題で、トランスジェンダーは明日望めばその性に見た目がすぐ変わるものではなく、移り変わる過程にある方もたくさんいます。私の例だと、初めはヒゲが生えていて、脱毛、整形して髪の毛を伸ばすのに1~2年かかるんですけど、その間はどちらの性で生きていけばいいのか、どちらの性で見られるのか。会社のルールとして、どちらのトイレが使えるのかという規定、もしくは多目的トイレや専用のトイレが必要かと思います。

LGBとTが違うとか、すぐに女性らしい体になれるわけではないとか、そういう人たちがそもそもいるということなど、当事者だけでなく社員にも共有されているかも大事です。当事者にとって望ましくない呼び方もたくさんあります。オカマ、ホモ、レズ、オナベ、女装…。「私はこれは大丈夫だけどこれを言われたら傷つく」だったり、「当事者間同士なら使って良いけど、そうでない人はだめ」と思う人がいたり。そもそも本人の属性を形容するような言葉を使わない方が無難という気もします。

私は以前、LGBTしか雇わない、取締役は全員ニューハーフという会社を経営していたことがあります。2006年ごろ、当時はまだLGBTに偏見がかなりあった時代です。その後「オネエ」という言葉が一般的になり、テレビでもたくさん見かけるようになり、オネエが一般社会に進出しました。当時はゲイやレズは夜の仕事をしているというイメージが強く、LGBTと言えば新宿2丁目方面で働く人たちのことを指すイメージがありましたが、最近はどんどん昼間に働ける環境もつくられてきています。10~15人の小さな会社でしたけど、全員LGBTでそろえてみますと、単純に4種類では分けられない。髪の毛の長い男性、背の高い女性、昔男性だった女性、女性を愛する女性…その中にもたくさんの多様性があり、LGBTでくくる必要さえないと思えるぐらい多様性を感じました。本来、LGBTという言葉自体も、多様性の中の一側面ではないかと考えています。

■Google「多様な人材がいてこそイノベーションが生まれる」

山地由里:よく「Googleさん、ダイバーシティーを促進するためにどういった取り組みをしていますか」と聞かれますが、ややスタンスが違います。初めにダイバーシティーありきではありません。ダイバーシティーがあって、多様な人材がいてこそイノベーションが生まれる。国籍、性別、障害の有無、LGBT、文化の違い、それから内向的な性格、外交的な性格。同じ日本人でも一人として同じ人はいませんよね。ことあるごとに「ダイバーシティーこそが未来」と、社員だけでなく外部にも常に語りかけています。

面接では個人的なことを聞かず、とにかく仕事のことにフォーカスします。たとえば出身地も言語も、仕事が出来る限りにおいてはまったく関係ありません。

LGBTに関して言うと、性への考え方、あり方は仕事に関係ないという人もいるかと思いますが、その人がすべてを出し切る環境を徹底的にサポートします。逆に言うと、制度がいくら整っていても、自分らしさを出せない環境は正しくない。働きやすい職場作りを考えなくてはいけない。あまり特別なことではなく、社員へのトレーニングの中で「気がつかない偏見に気がつこう」と、LGBTに限らず差別のない、誰でも働きやすい環境を目指します。マネジャー層へのトレーニングではケーススタディーベースで、たとえばLGBTの人がカミングアウトしようか迷っている状況で、マネジャーとしてどうサポートできるかなどを、正解はありませんが意見を出し合ってディスカッションします。

男性、女性で更衣室を分けると、どちらを使えばいいのか迷いが出るようではよくない。ジェンダーニュートラル更衣室を用意したりしますが、すべてをカバーできる制度はないと思っています。人によってニーズが違うので、マネジャーに簡単に相談できる環境を常につくろうとしています。それから、ダイバーシティーを語るときにありがちなのが「また人事だけでやってるよ」と受け止められること。現場レベルで自分にも関係あることと認識してもらうために、役員レベルが積極的にサポートする態勢もつくっています。

制度をいくら整えても、一般社員が「トイレはどちらを使えばいいの?」と迷うとか「あの人が女性トイレ使ってるってどうなの?」ということを平気で言うような人がいる環境では、その人らしさを発揮できるとは到底思えません。ですので、制度の有無ではなく、誰にとっても働きやすい職場をどうつくったらいいのか、人事、一般社員も含めて真剣に取り組んでいます。

次に社員がボトムアップでどのようにダイバーシティー、特にLGBTについて取り組んでいるのか説明します。

高沢数樹:弊社では研修や新入社員トレーニングで、ある程度どうすればいいのかトップダウンでお話ししている部分もありますが、それ以外に現場で何かの配慮が必要な方が入ってこられたとき、ボトムアップの活動を担っている団体です。

私たちは、有志グループとして社内に発足した「Gayglers-jp」です。グローバルでおそらく数十のオフィスにあります。LGBTに限らず、職場の環境を考えるにおいて、特定の関心を持って集まったグループを、ERG(Employee Resource Group)と呼んでいます。身体障害者のERG、働く女性、お子さんをお持ちの方々などがあります。Gaylgersは、LGBTに関心を持っているグループとして、アメリカで最初に発足しました。アメリカの活動を聞きつけた現場の社員が、ERGをそれぞれのオフィスで立ち上げて現在に至ります。

グローバルである程度、横の連携も取っていますが、才能あるLGBTが弊社に魅力を感じて入社していただけるような環境をつくっていくこと。すでにいる社内の人材にもオープンで受容性のある、魅力ある職場環境を維持すること、それからLGBTコミュニティーの中でも、Googleが職場として魅力的だと浸透していくといいなと考えています。ただ公平な職場環境をつくるだけでなく、才能のあるLGBTがGoogleに入ってくれるように、会社に貢献する活動の一つです。LGBTに興味がある他の社員も賛同者として参加してくれています。

Diversity – Google

直近ですと今年の夏、東京レインボープライドに協賛してブースを出したりしています。社外活動は、10月にも大阪のプライドパレードにみんなで参加してきました。去年は札幌にも参加しております。ブースを出して、ポジティブなコメントをフリップボードに書いてもらって記念写真を撮ってGoogle+にアップして、多様性をセレブレートしています。社内でこうしたイベントのボランティアを募集して、それを通じた理解の向上を狙ってもいます。

社内で受容性の高い環境を作るために、プライドパレードへの協賛や、社内イベントへの企画をしています。直近ですと、社内で他社のLGBTと弊社の当事者やいろいろな人たちを集めてディスカッションをしました。また社内活動として、困ったこと、気になったことを抱えた社員へのサポートをもっとやろうと思っています。人事にダイバーシティー担当がいますので、困ったことがあったら相談できますが、人事に話す前の窓口として機能していけたらいいと思っています。

LGBTは普通にオフィスにいるし「こういうことが嫌だと思っている」ということを現場の声として伝えていくことが重要だと感じています。同じ社員として同じオフィスで働く者として、みんなが気持ちよく働ける環境をつくっていこうと、ボトムアップの施策としてやっています。

【質疑応答】
Q やったことがない企業は、何から取り組めばいいのか。

A(山地)LGBTにとらわれず、社長が社員にメッセージを送るケースはどこにもあると思う。大事なことは「とってつけ」感がないこと。ある日突然、社長から「LGBTのコミュニティーグループをサポートしましょう」というメッセージが送られると、逆に「何があったんだ」とざわめきが起こるし、引いてしまう人もたくさんいる。LGBTだけが特別なのでなく、ダイバーシティーの一側面です。日頃からのコミュニケーションがとても大事です。たとえばプライドパレードに参加したら「こういうイベントを協賛しています」「こういうことに気づきました」という内容を発信するのも大事ですし、LGBTだけでなく女性や外国人など、いろいろなダイバーシティーを日頃から広く発信して、できるところから始めていくことが大事だと思います。少しずつでもやっていることの認知を広げていくことが大事。トレーニングでもダイバーシティーに関することを少しずつ入れるなど、日頃のコミュニケーションに色を加えていくところから始めればいいのではないかと思います。

Q 私たちの企業はまだ積極的にLGBTの採用をうたっている会社ではないが、面接や入社の過程で「実は」と語って頂くことが多々ある。本人もカミングアウトした方が気持ちよく働けるだろうし、私たちも知っておいた方がいいと思うが、面接などでカミングアウトしやすい雰囲気や環境はどうすればいいのか。

A(如月) 面接に来られる段階で、ある程度この会社はLGBTに対してオープンな環境にあるということを、その場で伝えるより、会社のCSRなどで発言していることがまず重要かと思います。面接で「いいですよ、カミングアウトしても」という態勢を作るのではなく、知識を持っていてオープンだということを日々伝えて頂いていれば、応募者も選ぶ対象に入りやすくなると思います。

Q 弊社にもそういう方がいる。グーグルさんのような、日頃から全社員への啓蒙などは特に意識して取り組んでいない。その中で社員の方にカミングアウトさせるべきなのか、どこまでそのことを知らせるべきなのかが悩ましい。どう対応すれば働きやすい状況になるのか。

A(高沢)自分がどこまでカミングアウトしたいのかは、誰に対してカミングアウトすることにもつながります。誰に対してカミングアウトするか、しないかは個人の判断なので、ご本人とお話しするのが一番かと思う。「この人だったら言ってもいい」という基準も、自分がどこまで言っておけば社内で自分らしく働ける環境になるかの判断も人それぞれだと思いますので。「自分の代わりに人事から広く告知してほしい」とご本人が希望すれば、そういう対応も望ましいと思うが、どこまで知らせていいかは本人の判断によると思います。

A(山地)LGBTにフォーカスして特別扱いしてしまうのではなく、本人に心地よい環境が何か。実はカミングアウトする必要すらあるのか。たとえば体重の増減なんて、仕事に関係なければ普通話題にしませんよね。それと同じで、非常に個人的なことという認識をまず持っていただくこと。確かに経験がない会社ではセンシティブだしドキドキしてしまうけど、それより本人にとってどういう状況がいちばん好ましいのか。カミングアウトしない方が働きやすいのであれば、それをサポートする方法を考えるべきだし、過度にLGBTであることにフォーカスしすぎないことも実は大事だと思います。

Q どういう企業がどういう動機で、受け入れに興味を示しているのか。

A(ワイルドカード)特にLGBTだから受け入れない、採用しないという考えはないが、たとえばクリエーティブな方が多いという話、技術者、デザイナーに能力が高い人が多いので、普通の採用プロセスの中で、受け入れる段階で「どう気をつければいいのでしょうか」というご相談を頂くことが多いです。たとえば旅行代理店ですと、LGBT同士のカップルが旅行プランを探しやすいようにLGBTを社内の担当に置きたいとか、不動産情報をWEBで取り扱う会社は、同性のカップルで入居できる部屋がないかと相談する層がいるので、受け入れる側もその目線に立って案内できる、採用のニーズがあります。

Q 求職者、企業サイドのニーズや進め方は個別のケースでまったく違う。双方へのアプローチについて、もし参考になるご意見があれば。

A(如月)私たちの側からの意見ですが、まずLGBTはダイバーシティーという考え方では正直素人の部分があります。たとえばトランスジェンダーでも、外見は完全に男でも「自分は女だ」と主張する人がいる。でもその人が女性として明日から暮らしていけるのかというと、いけない。当事者は個別のジャンルには詳しいですが、全体でみたときに盲目的な部分もあるので、ダイバーシティーという大きな目で基準を持って「あなたはこういう状態です」と伝えてあげられるサービスがあればいいかなと思います。

A(高沢)男性として働きたくても戸籍が女性のまま替わっていない人は、日本の転職紹介サービスでは「女性としてしか紹介できません」と言われ、そこで断念することになってしまいます。人によっても状況が全然違うので、求人企業に提供する情報の範囲をフレキシブルに運用して頂けると、ニーズに沿うのではないか。ちなみに外資系の同様のサービスだと、そもそも性別自体を聞かれないこともあります。

A(山地)トランスジェンダーで通院が必要な状態であれば、企業ともそういう話をすべきだと思うが、よく分からずにLGBTの情報を過度に得ようとしたり、知らないからはじいたりということが起きている可能性もあるので「仕事に関係する判断でしょうか」と聞くことは重要だと思います。仕事に関係のあることに徹底的にフォーカスすることは、今後どんどん必要になってくる考え方だと思います。

Q グーグルさんの中でカミングアウトのサポートをしているということだが、検討しているという情報はどう得て、どうサポートしているのか。

A(高沢)カミングアウトを検討しているケースは基本的には本人しか知り得ないことなので、本人から何かアクションがあります。まずいったん人事のダイバーシティーチームに相談するようつなぎます。そして、カミングアウトをどのように進めていくか、伝えたいことは何か、どこまで伝えたいかのプランを一緒に練っていく。弊社ですと、他のオフィスやチームでのケースを共有するなどのサポートができます。

イクメンは理想の男なのか…男性学者・田中俊之さん

2014-12-24 10:05:16 | ダイバーシティ
(以下、読売新聞から転載)
=============================================
(3)イクメンは理想の男なのか…男性学者・田中俊之さん
2014年12月23日

「もう『男は黙って…』という時代ではありません。男性だってみえを張らず、弱音を吐いたり、相談したりしていけるといいなあと思います」
 ――男性の「生きづらさ」って、時代とともに変わっているのでしょうか?

 田中俊之さん)変わっていると思います。長く男性は「稼ぎ手」であることを求められてきたので、ワンパターンの生き方しか認められませんでした。「フルタイムで40年間働く」という以外の選択肢がなく、多様性は限りなくゼロに近い。そういう時代には、男の子は将来の夢を聞かれたら「プロ野球選手」とか「宇宙飛行士」とか大きなことを言わなければならないし、会社に勤めたら、その中で生き残り、勝ち上がっていかねばなりません。

男性への要求水準を上げたのは誰?

 ――出世競争から「やーめた」と言えず、なかなか弱音を吐けないつらさということですね。でも逆に言えば、「稼いでいればそれでOK!」なら、ある意味ラクなのではとも思います。

 田中)そうですね。「亭主元気で留守がいい」の時代、1980年代半ばくらいなら、確かに「働いていれば許される」というところもあったかもしれません。「稼ぐ」という責任さえ果たしていれば文句も言われなかったでしょう。

 それが最近では、稼いだうえに家事も育児も求められるようになってきました。こんなに男性への要求水準を上げたのは、某アイドルグループのテレビ番組ではないかと分析しています。格好いいアイドルが料理を作って、しかもコントまでやってしまう……家事もできて、しかも面白い。そんなマルチな能力、なかなか兼ね備えていませんよねえ。


田中俊之さん(武蔵大学江古田キャンパスで)
 ――確かに。「イクメン」が流行語になって、若いお父さんたちに取材させてもらうと家事、育児への意識が高まっているのは感じます。発言小町でも、今年は「大変なのは妻だけじゃない」とか、「『ブラック妻』の増加について」とか、男性が不満を訴える投稿もありました。

 田中)そうですね。「もっと家事や育児を分担したい」「男もやるのが当たり前」と考える男性は、特に若い世代で増えていると思います。日本で男性の家事時間、育児時間が伸びないのは、一つには「男性の意識の問題」があったので、そこはかなり変わっていくのではないでしょうか。

 ただ、「イクメン」については気になっていることもあって、最近は「会社でフルタイムで働き、さらに育児にも協力的な男性」というイメージになりつつあるように感じるんです。日本の男性は週50時間以上働いている人の割合が約4割です。こうした長時間労働を見直さないままに、男性も家事や育児をしてくださいというのは無理がある。男性の意識を変えるだけではどうしようもなくて、家事時間、育児時間を増やすには社会構造から変えていかなければなりません。

あなたの中にも「性別役割」意識がありませんか?

 ――でも、もともと共働きの女性は「仕事も家事も」ですし、子どもが生まれたらさらに「子育ても」という状態です。

 田中)そうなんです。「男性が仕事、女性が家事」という性別役割の意識は、男性にも女性にも深く刷り込まれています。一部のまじめでバリバリ働ける優秀な女性は、家事も育児も、頑張ればこなせてしまったのかもしれません。しかし、大多数の働く母親たちは、家事・育児も完璧にこなさなければというプレッシャーに押しつぶされそうになっているのではないでしょうか。

 「男は仕事」という側面については、今の女子学生もそうした意識はそれほど変わっていないようで、「出世欲のない男性についてどう思うか」と尋ねると、「評価しない」という回答が多数派なんです。男性には、やはり<男らしい働き方>や向上心を求めているんですね。

 ――お互いに求めすぎて、共倒れしそうですね。

 田中)本当にキツイですよね。「自分のほうが大変」などと言い合って“どっちが大変か競争”をしたり、我慢比べ大会みたいになったりしては、長続きしないと思います。「稼ぐだけではなく家事も育児も求めるブラック妻」「稼ぎが足りず、妻に働かせるブラック夫」……そう責め合って終わり。

 ――そうならないためにはどうしたら?

 田中)やはり「多様性」を認めることだと思います。夫より妻の収入が多くたっていい、パートタイムで働くことを選ぶ男性がいたっていい。もちろん専業主婦の家庭だっていいと思います。「大変なのは妻だけじゃない」のトピへの回答で、「たまにはちゃんと腹を割って話さないと判わかり合えないよ」とありましたが、まさにその通り。夫婦がお互いどう考えているのか、まず分かり合うことからではないでしょうか。

 ――先生の講義を受ける学生さんたちに、ぜひ新しい男性像、女性像をつくっていってもらいたいです。

 田中)最近の就職活動を見ていると、「優しい」「まじめ」「細かいことに気づける」 ――そんな男の子たちはスイスイ内定をもらっているように感じます。これってどれも、“女性的”でしょう。向こう見ずで大ざっぱ、そんな男らしさを今の社会はあまり評価しないのかもしれません。

 また、僕たちのような40歳前後だと、「ダンス」というと女性のものという感じですが、20歳代では男性も「ダンス」への抵抗感がほとんどありません。女向け、男向けという垣根をたやすく越えている感じです。ぜひ、こういうところは若い世代に期待したいですよね。

プロフィル

田中俊之(たなか・としゆき) 1975年生まれ。社会学博士。武蔵大学人文学部を卒業し、現在は同大社会学部助教。著書に「男性学の新展開」(青弓社)、共著に「大学生と語る性」(晃洋書房)などがある。近く「男がつらい(仮題)」をKADOKAWAより出版予定。

日ごろから情報を多言語で 前橋でシンポ 多文化共生の視点で防災を

2014-12-24 09:54:35 | 多文化共生
(以下、東京新聞から転載)
=============================================
日ごろから情報を多言語で 前橋でシンポ 多文化共生の視点で防災を

2014年12月24日

多文化共生の視点から防災のあり方を話すパネリストたち=前橋市で

 災害弱者とも言われる外国人と共に暮らす多文化共生の視点から防災を考えるシンポジウム(主催・県、前橋市)が二十三日、前橋市内の中央公民館であった。討論では、専門家たちが、防災情報をさまざまな言語に分かりやすく翻訳し、日ごろから地道に発信する重要性を訴えた。東日本大震災や中越地震の経験者からの発言もあった。 (伊藤弘喜)

 「地震の時、日本人は机の下に隠れる習慣が身に付いているが、ブラジル人はどうすればいいか分からず、慌ててしまう」。県内外で多文化共生や防災に取り組む五人が登壇したパネル討論。ブラジルで計三十五年暮らした前橋市国際交流協会の外国人相談員の岩井愛さんは、来場した市民ら約六十人を前に問題を提起した。
 この点について、同協会の日本語教室講師で行政書士の江口安美さんは「非常口マークの意味合いなど、基本的な防災情報を日ごろから伝えておくことが大事」と指摘。水や食料を備蓄し、緊急連絡先を周囲に伝えておくなど、基本的な備えをさまざまな言語で発信する意義を力説した。読み書きのできない外国人のため、ラジオを生かすなどきめ細かな情報発信の必要性も訴えた。
 同じテーマで県は三年前から毎年、県内の自治体と順次開いている。今回の前橋市内には、県内で暮らす外国人約四万人のうち、一割の約四千人が住む。留学生や技能実習生が多いのが特徴との説明もあった。
 大規模災害を教訓にした発言も相次いだ。中越地震を経験した新潟県長岡市国際交流センター長の羽賀友信さんは、災害時の支援拠点について「日本語教室など外国人が慣れ親しんだ場所につくる方がいい」。
 一方、「大事なのは正確な情報を拡散することだ」と話したのはNPO法人多文化共生マネージャー全国協議会監事で京都市職員の志渡沢(しとざわ)祥宏さん。東日本大震災の時、災害情報を翻訳して発信する多言語支援センターをボランティアと設置したことがある。当時、外国人窃盗団が相次いでいるとデマが出回ったと言い、「デマの影響で避難所が外国人の受け入れを拒否したり、逆に外国人が避難所へ行くのを遠慮したりしないか心配だった」と振り返った。

外国人労働者、来年5万5000人雇用=韓国

2014-12-24 09:54:02 | 多文化共生
(以下、中央日報から転載)
=============================================
外国人労働者、来年5万5000人雇用=韓国
2014年12月24日08時40分

[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

来年の韓国の外国人労働者の雇用規模が5万5000人と今年より2000人増える。また一部業種について特化国を指定し、人材需給規模をさらに配分する方式で試験運営することにした。

政府の外国労働者政策委員会(委員長:チュ・ギョンホ国務調整室長)は23日、こうした内容の2015年度外国人材運用計画を確定した。

今年よりも外国人材規模が増えたのは、業種別で不足人員が7000人余り減ったが滞在期間が満了して帰国しなければならない外国人労働者が9543人に達するからだ。来年国内に入ってくる外国人労働者の中で新規人材は1万人余りだ。残りはこれまで国内で誠実に仕事をした後に帰国し、国内での再就職を希望する再入国者らだ。ただし政府は今後の経済状況や国内の雇用事情、不法滞在の推移などを勘案して必要な場合に調整していくことにした。

外国人材の選抜方式も変える。農畜産業のような一部業種には農畜産業が発達している東南アジア諸国を特化国に指定し、人材クォーターをより多く与える方式で試験運営する。試験運営の結果によって他業種に拡大する方針だ。また再入国対象者は職務関連の試験を受けるようにして熟練水準を評価した後、選別的に再入国を許容する方針だ。

人材配分も、企業にまんべんなく分配する方式を目指すことにした。代わりに国内に雇用を創り出して企業競争力を高められる成長可能な業種と企業に、より多くの外国人材を配分する。

イ・ギグォン雇用労働部長官は「雇用許可制の運用を中小企業の労働力難解消だけに合わせず、これからは企業の競争力を高めて国内労働市場の条件と緊密に連携できるよう制度を改善していく」と話した。

LGBTと人権意識-「違い」を「差別」にしないために

2014-12-22 11:56:46 | ダイバーシティ
(以下、HUFFPOSTから転載)
========================================
LGBTと人権意識-「違い」を「差別」にしないために
投稿日: 2014年12月18日 11時45分 JST

1948年12月10日、国連は世界人権宣言を採択した。日本でもそれを記念して毎年12月4日から10日までの1週間を「人権週間」と位置づけている。

66回目となる今回の重点目標は『みんなで築こう人権の世紀~考えよう相手の気持ち 育てよう思いやりの心』だ。今年度の啓発活動強調事項の中には、「性的指向を理由とする差別」や「性同一性障害を理由とする差別」をなくすことも掲げられている。

最近、性的マイノリティであるLGBT(レズビアン、ゲイ、両性愛者、トランスジェンダー)などに関する話題をよく耳にする。特に2010年以降、同性婚を合法化する世界の動きは加速しつつある。

ヨーロッパでは、既にオランダ、フランス、ベルギーなど、10か国で同性婚が法的に認められている。アメリカでは大統領選挙の重要な争点のひとつにもなったが、これまでに18の州で容認されている。

LGBTは政治的課題としてだけでなく、企業の間でも、有能な人材確保のためのダイバーシティ施策として強い関心を集めている。また、今年10月にはアップルのティム・クックCEOが同性愛者であることを公表して大きな反響を呼んだが、同性愛カップルの中には、高学歴・高収入の人も多く、経済的な存在感も増している。

他方、伝統的な家族観や宗教上の観点から同性婚に対して否定的な考えが根強く残っていることも事実だ。

日本では、憲法上「婚姻は両性の合意によって成立する」として、同性婚は認められていない。また、多様な「性」への理解はあまり進んでおらず、LGBTの人たちは就職活動においても苦労している。ただ、最近の新聞記事(*1)によると、外資系企業を中心に就活支援を行う企業なども現れている。

社会にはさまざまな「違い」が存在する。

その「違い」を認め、相互に尊重することが多様性を実現することにつながる。しかし、「違い」を理由に偏見に基づいた心理的、経済的、社会的不平等や不利益を強いることは「差別」になる。「違い」を「差別」にしないためにはどうすればよいのだろう。

「差別」はたとえその認識が無くても、常に受ける側から捉えることが原則だ。「人種差別」や「男女差別」に比較すると、LGBTという性的指向による「違い」は実態が見えにくく、無意識のうちに「差別」が生じる可能性がある。まずは、「違い」を客観的に認識することが重要ではないだろうか。

民主主義は、多数派による意思決定にとどまらず、少数派を切り捨てずに多様できめ細かな対応を可能にするシステムだ。人権尊重は少数派だけの問題ではない。LGBTという性的マイノリティに対する鋭い人権意識を醸成することは、誰もが暮らしやすい社会を創ることに他ならないのである。

「インクルージョン」は子育て社員支援の進化系

2014-12-22 11:39:17 | 多文化共生
(以下、日本経済新聞から転載)
========================================
「インクルージョン」は子育て社員支援の進化系
2014/12/19 6:30

 ダイバーシティー推進に積極的に取り組み、功績のあった企業を顕彰する「J-Winダイバーシティ・アワード」(※)において、2012年度に「ユニーク賞」を受賞したバクスター。当年の受賞企業では唯一の外資系企業となりました。「管理職以上の男女比率=50:50」を目指し、着実に成果を上げている同社のダイバーシティーへの考え方・取り組みについて伺いました。

(※)NPO法人J-Win(ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク)が主催。2008年から毎年1回実施されている。

■「偏見の払拭」を主眼とした社内トレーニング

バクスター人事総務本部長・執行役員の吉本靖弘さん。バクスターは米国に本拠を置くグローバルヘルスケア企業・バクスターインターナショナルインクの日本法人。設立は1969年、本社は東京都中央区、従業員数は950人(2013年12月末現在)。腎不全、血友病、輸液、麻酔、疼痛管理の領域に強みを持ち、医薬品、医療機器、バイオサイエンスを中心とした医療サービスを提供している(写真=鈴木愛子、以下同)

 バクスターがダイバーシティーに注力する理由。それは「イノベーティブな組織であるため」だと、人事総務本部長・執行役員を務める吉本靖弘さんは言う。

 「当社の手掛ける生命科学ビジネスにおいては、戦略上、イノベーションがとても大切です。イノベーションを生む組織とは、様々な考えを持った人々が集まっている組織。そのような組織を形成するためには、ダイバーシティーの施策は欠かせません。とはいえ、ダイバーシティーを推進すれば衝突も起きます。そのため私たちはダイバーシティーというより、『インクルージョン(多様性の受容)』というキーワードに基づいて行動しています。これはグローバルでの取り組みで、4年ほど前から社内研修を開始しました」(吉本さん)

 同社が行ったトレーニングとは、見た目では分からない部分、例えば、それぞれの社員が育った環境、受けてきた教育、考え方、価値観、宗教といったものに配慮する必要があることを社員に理解させるというもの。eラーニングと講義形式で実施した。

 さらなる理解を促すために「パワー オブ マネージング インクルーシブリー」という名前のトレーニングを開発。これは「個々の社員に配慮することによって得られる利益」について、マネジャー層の意識を高めることを目的としている。

 「例えば、小さな子どもを育てているワーキングマザーがいたとします。そのマネジャーが『彼女は朝早くは出社できないはずだ』と考え、早朝のミーティングに呼ばなかったとしましょう。マネジャーは配慮したつもりでも、その意図が正確に伝わっていなければ、当の女性は『私は外された』と感じ、モチベーションを下げてしまう。彼女がハイパフォーマーであるほど、それは大きな損失につながります。そうした例を挙げながら、自身の思い込みや偏見を取り払い、組織のためになることを考える習慣を付けてもらうが狙いです」(吉本さん)

■全職級で「男女比率=50:50」を目指す

 バクスターが、ダイバーシティー推進の数値目標として掲げているのが「管理職以上における男女比率=50:50」。つまり、日本の人口における男女比率(男性49%・女性51%)をそのまま社内の各職級の男女比率にすることを目指している。当面の目標は、2014年度のスタート時に20~21%だった女性管理職比率を、年度末までに25%へと引き上げることだ。

 「目標達成に向けてまず採用における男女比率50:50の実現に注力し、2013年にそれを達成しました。当社は中途採用が基本なので、人材紹介会社に求人を依頼する際には男女同数の候補を出してもらうようにしています」(吉本さん)

■制度の拡充で、フレキシブルなワークスタイルを実現

バイオサイエンスメディカルアフェアズ部ディレクターの小川寿幸さん

 すべての社員が個々の事情に応じた働き方を選べるように、環境整備や制度の拡充も進めている。社員をオフィスに拘束しないようペーパーレス化を推進し、全社員にiPhoneとパソコン(PC)を貸与。フレックスタイムやノー残業デーの活用法・活用例なども1~2週間に1回のペースで全社員にメールで発信した。

 こうした制度を活用し、自由度が高い働き方を実現している社員に話を聞いた。

 医学博士号を持ち、バイオサイエンスメディカルアフェアズ部でディレクターを務める小川寿幸さん。脳神経外科医として24年間臨床現場で働いた後、12年前に事業会社に転職したという経歴を持つ。数社の医薬品・医療機器メーカーを経て6年前にバクスターに入社した。

 転職を決意した理由は、激務により医師として働くには体力が限界に近づいていたこと、そして妻からの一言だった。

 「今、働き方を変えなければ、最後の子どもの大切な時期を見逃すよ」

■家族と一緒に夕食を取れるようになった元医師

 5人の息子を持つ小川さん。当時、一番下の男の子は5歳だった。長時間勤務のため、三男と四男に至ってはどのように育っていったのかすら、ほとんど記憶が無いほど、子どもと過ごす時間が少なかったという。転職により、その生活は一変した。

 現在、勤務時間も柔軟に設定できるので、案件が入ってきたら動くというワークスタイル。例えば、研究・開発部門からの相談に対し、医学的な考察をしてドキュメントを作成したり、外部の医療関係者と話し合い、薬品の適正な使用を促進するための支援を依頼するといった仕事を担っている。

 「帰宅は毎日18時ごろ。20時を過ぎると『今日はえらく遅いね』と言われるようになりました(笑)。ほぼ毎日、家族と一緒に夕食を取り、週末に妻がいないときには私が子どもの食事を作ります。家族旅行にも出かけるようになりました。読書の時間も増えたし、学会にも頻繁に足を運べるようになりましたね」(小川さん)

 また、貸与されているPCを使い、思い立ったときに仕事ができる環境にも大きなメリットを感じている。「夜中でも、何かアイデアを思い付けばすぐに書き留めてメンバーにメールを送っておきます。これによって翌朝にはメンバー全員に周知され、次の工程をスムーズに進めることができます。自分で時間をコントロールできるので、働きやすいなと日々感じています」と小川さんは話す。

■週5日の在宅勤務もOK

カスタマーサービス部グループマネジャー、山口ひろみさん

 働き方の柔軟性を高める施策の一つとして、在宅勤務制度も用意している。2014年7月からは週5日の在宅勤務も認めた。最近では、ある男性社員が妊娠中で体調を崩した妻をケアするため、週4日在宅勤務を行ったケースがある。

 1歳11カ月の子どもを育てながらマネジャーを務める山口ひろみさんは、在宅勤務制度について「一番助かる制度。これが無かったら仕事を続けるのは難しかったかもしれない」と話す。

 「子どもが熱を出して午後早い時間に退社したときなど、子どもが寝てから在宅で仕事をします。看病のため、丸1日在宅勤務をさせてもらうこともあります。在宅勤務制度は全社で積極的に活用されていて、遠慮無く使えるのでとても助かっています」(山口さん)

 2011年から現在まで、合計74人の社員が育休を取得した。育児休暇からの復帰率は100%。フレキシブルな働き方を支援する制度が、同社のワーママ達を支えている。しかし、制度だけではない。部署のメンバーが育児休業者や時短勤務者をフォローする体制があることも重要な要素だ。

(ライター 青木典子)

韓国の「人口構造問題」  解決策は「移民受け入れ」の促進か

2014-12-22 11:17:45 | 多文化共生
(以下、Searchinaから転載)
========================================
韓国の「人口構造問題」  解決策は「移民受け入れ」の促進か=韓国華字メディア
2014/12/22(月) 06:36

 韓国メディア・亜洲経済の中国語版は14日、韓国で出生率が大幅に落ち込んでいることについて、「急速に少子高齢化が進んでいる」としたうえで、生産年齢人口の減少が最大の問題となっていると伝えた。さらに専門家の意見を引用し、「移民を積極的に受け入れることが問題の解決法」と報じた。

 記事は、韓国経済研究院が14日に発表した報告書を引用し、韓国の人口構造を現在のままであると仮定した場合、2050年末までに韓国の潜在成長率は1%以下に落ち込むと指摘。さらに、2026年には労働投入量(労働者数と労働時間の積で定義される)の経済成長に対する貢献率はマイナスに落ち込むとしたうえで、「生産年齢人口の減少は経済発展にマイナスの影響をもたらす」と論じた。

 続けて、韓国が潜在成長率を1%引き上げるためには2015年に166万500人の移民を受け入れる必要があるとしたほか、2030年には926万7500人の移民受け入れが必要と指摘。

 さらに記事は、時間の経過とともに必要とされる移民数も増加していくと論じたほか、関係者の言葉として「生産年齢人口の減少がもたらすマイナスの影響を軽減するために移民受け入れの拡大が急務」と論じた。

 続けて、韓国政府は現在、高度人材の受け入れに力を入れているとしながらも、「外国人労働者の韓国定住こそ急務」と指摘。さらに外国人労働者の多元化を図るための政策も必要だとし、「将来の人口構造や産業構造、国際環境の変化に対応するためには、移民を受け入れていくために中長期的な計画が必要」と指摘した。(編集担当:村山健二)