多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

通訳案内士制度見直しの動き

2015-04-27 14:15:35 | 多文化共生
(以下、現代ビジネスから転載)
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2015年04月25日(土) 毎日フォーラム
毎日フォーラム~毎日新聞社
通訳案内士制度見直しの動き
多言語の人材、質の向上、就業増など課題が浮き彫り[観光]


訪日外国人観光客の増加に伴い通訳ガイドのニーズが多様化している中で、国家資格の通訳案内士を仕事としている人が少なく、専門言語が英語に偏重しているなどの問題点が浮き彫りになってきた。国は東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年までに外国人観光客2000万人を目指しており、ボランティアも含めた通訳人材の確保が急務だ。このため、観光庁は実態に沿うように通訳案内士制度を見直すための議論を始めている。

通訳案内士は、1949年施行の通訳案内士法で設けられた国家資格で、試験に合格して都道府県知事の登録を受ける必要がある。言語は英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語となっており、年齢や性別、学歴、国籍などに関係なく受験できる。

外国人旅行者に日本を正しく理解してもらうために語学力だけでなく、日本の地理や歴史、産業、経済、政治、文化といった分野の幅広い知識が求められる。その後、06年には都道府県が試験する「地域限定通訳案内士」が設けられた。さらに規制緩和で特例が認められ、国家試験に代えて地方自治体の研修を修了した者を登録する「特例ガイド」が創設された。

観光庁は、資格制度の創設から60年以上が経過しているから、制度の見直しが必要と判断して昨年、「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」を設置し、これまでに7回の検討会を開いている。通訳案内士団体やボランティアガイド団体、観光・経済団体などからヒアリングを続けており、それをまとめた結果は、政府全体で取りまとめる「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」に盛り込む予定だ。

観光庁によると、通訳案内士は現在、全国で1万7736人が登録されている。このうち、75・0%が首都圏や京都、大阪、兵庫といった都市部に集中している。専門の言語は英語が全体の66・9%と多く、他の言語の通訳案内士が少ないのが現状だ。

検討会では、観光庁が13年度に通訳案内士と地域限定通訳案内士、特区ガイドの資格保有者1万6370人にアンケートした結果が報告された。回答を寄せた6928人のうち74・0%が都市部に居住しており、海外試験を実施して海外在住者の資格取得にも努めてきたが、その割合は1%にとどまっていた。また、75・7%が資格を取得しても未就業で、18・1%が兼業、通訳案内を専業としている人は6・2%に過ぎなかった。未就業の理由で最も多かったのは「収入が見込めない」ことだった。一方で今後、資格を活用して就業したいという割合は3割程度あった。検討会は「活動範囲を広げるための環境改善や運用整備が必要」と課題を示した。

旅行業界からのヒアリングでは、地方の通訳案内士不足や多言語対応の人材の不足、海外在住者が資格を取りやすい仕組みづくり、通訳案内士と外国人客とのマッチングの必要性などを指摘する声が出された。欧米からの訪日客は建築や祭りなど歴史、文化に関する知識を求めるが、東南アジアの訪日客は日本の流行や買い物スポットなどの情報を求めることが多い、など国によって通訳案内に求める分野が異なることという指摘もあった。

一方で、通訳案内士やボランティアガイド団体からは、現状では人材は余っており、特に地方からは仕事不足を嘆く声が現場から出ているとし、旅行業界側の主張とは異なる意見が出される場面もあった。さらに、質の高い資格取得者が外国人客に高品質なサービスを提供することがリピーター化につながるとの声もあった。このほか、ボランティアガイドや地域限定通訳案内士が地方では「点」として活躍し、通訳案内士が「線」として全体を補うなど、すみ分けて観光立国実現を目指そうという意見もあった。

観光地の自治体は、独自の取り組みを始めているところがある。

外国人観光客の増加を受けて京都市は、国の特区制度を利用して市内限定の特例ガイドの養成を来年度から始める。古都ならではの伝統文化や文化財など専門分野別の研修をしたうえで認定するという。同市によると、昨年末時点で京都府内の通訳案内士は717人いるが、実際に稼働しているのは4分の1程度という。13年の京都市内の外国人宿泊客数は過去最高の113万人で、増え続ける外国人客に追いついていないという。同市は、通訳に必要な通常の研修に加え伝統産業や伝統文化・芸術、文化財など専門性の高い研修を16年度に100人程度でスタートするという。同市は「中国語や韓国語など、なるべく多くの言語に対応できるようにしたい」と話している。

13年度に外国人観光客が前年比45・9%増の115万3100人で過去最多になった北海道は、通訳ガイドの養成など、受け入れ態勢の整備を急ピッチで進めている。道は17年度までに外国人観光客を120万人にする目標を掲げており、昨年9月から昨年末まで通訳ガイドの研修会を開いた。道内の通訳案内士の登録者は約300人いるが、実際にガイドとして活動しているのはその1割程度のため、研修会はそうした資格所有者や今後取得を目指す人を対象とした。

特例通訳案内士として「沖縄特例通訳案内士」が認められている沖縄県では2月11日に、通訳案内士と観光業界を結ぶ「マッチング会」が那覇市で開かれた。同県の通訳案内士は約200人が登録されているが、通訳案内士から「旅行業界とのコネクションがない」などの声が出ていた。マッチング会では、英語や中国語、韓国語で資格を持つ約50人が15の観光業者と面談した。

民間企業も通訳案内士の育成に協力している。日本航空は「九州観光推進機構」と、特例ガイドである「九州特区ガイド」の育成とそのPRについて連携、協力を行うための協定を2月18日に締結した。13年2月に指定をうけた「九州アジア観光アイランド総合特区」では124人の特例ガイドが誕生している。3月18日には福岡市内で「九州アジア観光アイランド特区ガイドスキルアップセミナー」が開かれ、日本航空客室教育・訓練室のサービスアドバイザーが、JAL流のおもてなしやコミュニケーション術などを講義した。同社は「今回の協定で九州観光の需要のさらなる創出に寄与したい」と話している。

外国人が暮らしやすい京丹後に 市が府内初の指針策定

2015-04-27 14:15:06 | 多文化共生
(以下、産経ニュースから転載)
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外国人が暮らしやすい京丹後に 市が府内初の指針策定

 京丹後市は、市内在住の外国人が豊かに暮らせる環境作りを目指す指針「市多文化共生推進プラン」を策定。「多言語での相談体制の充実」など今後3年間で取り組む基本方針をまとめた。同様の指針の策定は、府内では初という。

 市によると、市内には18カ国(地域)の外国人約500人が在住。ここ5年間では、外国人観光客が年平均で約千人訪れている。

 米軍経ケ岬通信所(同市丹後町)の開設による米軍関係者の滞在(最大予想約160人)や、道路網整備による外国人観光客の増加なども見越して、市は昨夏に市内在住の外国人約250人にアンケートを実施。寄せられた約70人の回答で、約6割が「外国の文化や習慣の違いを理解してほしい」と希望したほか、日本語の読み書きができる人は3割以下と判明した。

 一方、市内在住の日本人へのアンケート(調査対象3200人で約1270人が回答)では、約8割が外国人との交流がないことも分かった。こうしたアンケートも踏まえて、市は外国人が暮らしやすいまちづくりの推進と一層の相互理解を目指し、外部講師も招いて同プランの策定委員会を計4回開催した。同プランの基本理念について「国籍、民族、文化の違いを認め合い、ともに豊かに暮らせるまちへ」と掲げた。また、基本理念の実現に向けて「多言語での災害情報の充実」「日本語ボランティアの養成」「交流機会の提供」を今後の重点施策に決めた。

「ダイバーシティ・アドバイザー養成講座」の参加者受付中

2015-04-20 14:53:45 | ダイバーシティ
(以下、日本商工会議所HPから転載)
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「ダイバーシティ・アドバイザー養成講座」の参加者受付中(日本生産性本部)
2015年4月 2日 17:53

 公益財団法人日本生産性本部は5月9日から5回にわたり、「ダイバーシティ・アドバイザー養成講座」を開催する。講座では、最新の動向を踏まえ、ダイバーシティに関する総合的かつ体系的な理解を深めるとともに、企業経営などに対して効果的な助言・企画・提案を行うために必要な知識・スキル・技法を習得する。また、受講者間のネットワーク構築や情報交換・共有を図ることによって、アドバイザーとして有益なソリューションの提供も可能となる。修了者は、「ダイバーシティ・コンサルタント」試験の受験資格が得られる。定員20名。
 詳細はhttp://seminar.jpc-net.jp/detail/lrw/seminar007857.htmlを参照。

日本生産性本部http://www.jpc-net.jp/
中小企業関連情報http://www.jcci.or.jp/sme/

日本人の大多数はダイバーシティの意味を誤解している

2015-04-20 14:53:08 | ダイバーシティ
(以下、DIAMOND onlineから転載)
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日本人の大多数はダイバーシティの意味を誤解している

佐々木かをり [イー・ウーマン代表取締役社長、
ユニカルインターナショナル代表取締役] 【第1回】 2015年4月8日

ささき・かをり
国際女性ビジネス会議実行委員会委員長。1983年上智大学外国語学部比較文化学科卒業。フリー通訳者として活躍後、87年ユニカルインターナショナル設立。同年より『ニュースステーション』リポーター。96年より毎夏「国際女性ビジネス会議」開催。2000年イー・ウーマン設立。安倍内閣では内閣府規制改革会議委員を務め、その他にも多くの政府審議会の委員を務める。2児の母。著書は『自分を予約する手帳術』(ダイヤモンド社)など多数。近著は『なぜ、時間管理のプロは健康なのか?』。


「ダイバーシティ」という言葉を聞いた事があるだろうか。初めて聞いた、という方もいれば、聞き飽きたという方もいるだろう。「また女性活用の話か」と敬遠する方もいるかもしれない。しかし私は、必ずしも「ダイバーシティ=女性活用ではない」ということを述べながら、本当のダイバーシティとはいったい、どういう意味なのかをここで考えていきたい。

 ダイバーシティは、とにかく大切なキーワードだ。これからの企業の成長に関わる点で重要であり、社会全体の成長に関わり、また、男女一人ひとりの働き方にも影響を与える概念なのである。だからもし既に聞いた事がある、学んだという知識や印象があったとしても、今一度脇においていただき、これから全8回連載で書く「実践ダイバーシティ」を、新しい頭と心で読み、考え、活用していただきたいと思う。

 ではさっそく、最初に単語の意味から考えてみよう。

海外では30年以上前から
意識されていた「ダイバーシティ」

「ダイバーシティ」とは日本語に翻訳すると「多様性」。たくさんのありさま、ということだ。地球環境で言えば、生物の多様性であり、植物多様性である。様々な「種」の生き物が共存している事をさす。動物の種類、昆虫の種類、花の種類等、多く共存することに意義がある。だから種の数が少なくなる事を防ぐために絶滅危惧種を保護するなどしながら、多様性を守って来ている。

 では、人間社会での多様性、ダイバーシティとは、いったい何を指すのだろうか。例えば国際社会の中で、ダイバーシティというと、通常は複数の国籍を指す。15歳になる私の息子は現在スイスに留学中だが、彼の学校教師と話をすると頻繁にダイバーシティという単語が出てくる。何十もの国籍の子どもたちが学んでいるということがいかに魅力であるかという意味で使っているわけだ。

 この場合のダイバーシティは、もちろん国籍を指しているが、それにとどまらず、生活スタイル、宗教、価値観なども多様である事を指している。いまや教育の過程でも、多様な価値観の中で考え、学ぶというダイバーシティは重要なキーワードなのである。

「いろいろな人がいる」という意味でのダイバーシティが特に経済社会の中で意識され始めたのは30年以上前のことであろう。グローバル企業では、そのころからダイバーシティの担当役員を任命し、様々なグループに配慮して来た。アフリカンアメリカンのグループ、ラテンアメリカンのグループ、女性のグループ、ヤングプロフェッショナルのグループそして、LGBTのグループ等である。

 LGBTというのは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーといった性的嗜好のことである。こういった、いわゆるマイノリティーのグループの代表を選び、担当役員をつけて、社内で活動をしていた。最初のきっかけ、そして目的は人権問題からであったろうと思うが、今ではしなければならない人権の視点ではなく、市場で有利になり、多くの消費者・株主・労働者に支援されて経済成長していくための経営戦略として取り入れている。

ダイバーシティの本質とは
「視点のダイバーシティ」

 一方、日本はどうだろう。

 日本の中で、ダイバーシティ、多様性は、あったか。総論的に述べれば、これまではある一定の大学を卒業した、健康な日本男性が、ほとんど全ての日本組織でリーダーシップをとってきたといえるだろう。経済界も、政界も、そしてメディアも、彼らは、互いに知り合いで、育った環境が似ていて、家族構成も似ている。同じ価値観をもって生活してきているために、阿吽の呼吸で互いを理解することができ、決断ができる。戦後、日本の力強い経済成長を作ったのは、この男性ネットワークのパワーだろうと、私は考えている。

 しかしグローバル社会の今、今までと同じでは経営が守れない。企業成長につながらない。そうした経緯で「ダイバーシティ」という概念が日本でも重要視されるようになってきたのである。

 シンプルに考えると、男性ばかりの企業で女性が働きはじめること、という流れに見えるし、今の女性活躍促進の流れはそこから来ていると言っていい。しかし、私が主張するダイバーシティの本質は、性別ではない。私が大切にするダイバーシティは、「視点のダイバーシティ」なのである。すなわち、物事をどう見るか、どのような分析・評価をするかということだ。

 たとえば、柄のあるマグカップが置いてあるとしよう。今までの企業のリーダー達を象徴的に表現するなら、全員がAという場所から、このマグカップを見ているという状態である。色も形も、全員に同じように見えるので、「白いコップである」というモノの見方、評価など全員一致で、話を進めて行くのである。

 しかし、「多様な視点」が組織の中に入ると、どうなるか。A以外に、BやCの場所からこのマグカップを見る人がでてくることになる。いままで「白いコップ」だとおもっていたのが、B地点からは、持ち手が見える。すると、「これはコップではなく、持ち手のついたマグカップに見えます」と指摘することができる。C地点からは、持ち手だけでなく、さらに赤いインクで馬の絵が描かれているのが見えた。「白いコップではなく、赤い馬の絵が描かれているマグカップです」と発言する事ができるのである。

 本当は、白地に赤い馬の柄があるマグカップなのに、「白いコップ」だと思い込んでいる集団に経営されるより、「白地に赤の馬の絵が描かれたマグカップである」と理解できている経営陣が組織を動かしていく方が、多様な消費者、株主に受け入れられる経営ができるだろう。なぜなら、消費者や株主は、360度、様々な角度にいて、企業を見ているからだ。

 つまりダイバーシティの本質は、性別でも年齢でもなく、「視点のダイバーシティ」であるというのが、私の指摘である。違ったものの見方ができる人が集まる組織が、健全であり、強い。女性を参画させることですべて組織の問題が解決するかは不明であり、また、男性だけでも多様な組織を作る事は理論上できる。しかし、多様な視点を持つ人をどう素早く集めたら良いかを考え、まずは性別や年齢、学校や国籍等を多様にするという方法を活用し、比較的容易に多様な視点を集めようというのが現在の状況ではないか。

 では、このダイバーシティがどんな風に企業経営や、私たち一人ひとりの働き方に影響をするのか。それを次回から書いていきたいと思う。

外国人技能実習制度拡大で高まる日本の移民議論

2015-04-17 10:59:17 | 多文化共生
(以下、THE WALL STREET JOURNALから転載)
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外国人技能実習制度拡大で高まる日本の移民議論

2015 年 4 月 15 日 23:14 JST
 【東京】労働人口が減少するなか、日本は海外からの労働者で介護スタッフやコンビニエンスストアの店長、建設作業員などの人員を穴埋めしようとしている。

 だが、日本政府は移民を増やすよりも、米国などが人権侵害の疑いがあると批判する「インターンシップ(実習)」プログラムで対応しようとしている。

 安倍晋三首相と政府は、外国人が働きながら日本の技能を学ぶ「外国人技能実習制度」の対象職種を介護にも広げる準備を進めている。昨年には外国人が建設作業に従事できる期間を延長。現在はコンビニ店員も対象職種に加えることを検討している。

 大半の労働者の就労期間が最長3年に限定されているこの制度が続くことは、日本が直面するジレンマを映し出している。

 急速に進む日本社会の高齢化を受け、エコノミストらは今より多くの外国人労働者を早期に確保する必要があると指摘する。ただ、安倍首相の姿勢からも見て取れるように、単純労働に従事する外国人労働者の流入を望む日本人はほとんどいない。

 安倍首相は2月、技能実習制度の拡大に関する野党からの質問に対し、「安倍政権として(より開放的な)移民政策を取る考えはない」と発言した。

 また、安倍氏は「特に欧州で、いわゆる移民政策の中において、さまざまな課題や問題が発生しており、そうした課題を分析する必要がある」とも述べている。


介護施設で高齢者と話をするインドネシア人の介護士(11月) Agence France-Presse/Getty Images
 法務省によると、この制度を利用する外国人技能実習生の数は現在16万7000人ほどで、大部分を中国人とベトナム人が占めている。政府は技能実習制度を人道的なものと位置づけ、技能を身につけた外国人が将来母国に帰り、地元経済の発展に貢献することを狙っていると説明している。

 ベトナム政府は昨年、技能実習制度を通じた農業労働者の派遣人数拡大などで茨城県と覚書を締結した。

 しかし、米国務省が発表した2014年版の「人身売買報告書」では、技能実習制度が強制労働や束縛、効果的な労働者の監視・保護の欠如など、人権侵害につながる危険性をはらむ外国人労働プログラムだと描写されている。

 報告書は「『実習』期間中、移住労働者が(制度本来の目的である)技能の教授または育成ではない仕事に従事させられる」と指摘している。

 この批判を受け、政府は先月に技能実習制度の監視機関を創設する法案を提出した。

 厚生労働省の関係者は、介護実習生が単に低賃金労働者として搾取されることのないよう、政府が外国人労働者に日本語の習得を義務付けたり、実習生と正規スタッフとの比率を定めたりする計画だと話した。

 一方で、技能実習制度の拡大が長期的な労働力不足の解消につながると主張する政府関係者はいない。

 国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の人口は向こう45年間で現在の1億2700万人から4000万人以上減少する見通しだ。


 最も労働力が不足しているのが医療介護業界で、特に高齢者介護の分野で人手不足が目立つ。急速な高齢化を受け、政府は今後10年間で介護職員を70万人増員する必要があると見込んでいる。

 だが、肉体労働である上に給料が平均賃金を下回る介護の仕事に就こうとする日本人は、あまり多くない。

 すでに高齢者にもしわ寄せが及んでいる。トラック運転手を引退した渡辺一昭さん(71)は数年前に脳卒中を起こし、まひが残った。渡辺さんには頼る家族もなく、政府の認可を受けていない東京のグループホームで、6人の見知らぬ人と共同生活を送っている。

 厚労省によると、政府の補助を受けたグループホームに入れない、渡辺さんのような高齢者の数は50万人に上り、数年前から約25%増加したという。

 政府は無認可のホームの存在を認識しているが、無理に規制を押し通すことはしていない。多くの高齢者にとって、無認可のホーム以外に行き場がないからだ。

 渡辺さんは「行くところがなかったらどうしようもない」とし、「高速道路の下や公園で寝ている人がいるでしょう。ああなっちゃうものね」と話した。

 政府は外国人介護士を引きつける別の方策として、2国間経済協力合意の下でインドネシアやフィリピン、ベトナムからの候補者に訓練を施している。ただ、こうした候補者も最終的には日本語で国家試験に合格しなければならない。

 合格率は低く、現在、日本で介護士として働いているのは203人だけだ。経済協力が合意に至ったのは2008年にさかのぼる。

 新横浜パークサイドホーム(横浜市港北区)で働くインドネシア人の介護実習生、Nafila Diarana Fatonahさん(24)は難関の国家試験に向けて勉強している。「日本語の勉強だけでなく、専門用語や経験、知識も知らなくてはいけない」

 技能実習制度に批判的な人々は、訓練が不十分で効果的な解決策にならないと主張する。また、制度では労働者を利用できる資産として扱い、社会に組み込まれる人材と見なしていないとの批判もある。

 それでも、日本人の大部分は移民の急増には及び腰だ。日本では全人口に占める外国人の割合が1〜2%にすぎず、依然として政府は永住権の取得に厳しい制限を課している。これは彼らが自由な移民政策から生じると考える犯罪や社会不安を警戒しているからだ。

 日本総合研究所のチーフエコノミスト、山田久氏は「日本として移民についての議論を始めなくてはいけない」と指摘した。

名古屋駅西にゲストハウス&カフェバー 多文化共生とグローバル人材育成を目的に

2015-04-17 10:58:52 | 多文化共生
(以下、名駅経済新聞から転載)
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名古屋駅西にゲストハウス&カフェバー 多文化共生とグローバル人材育成を目的に
2015年04月15日

 バックパッカーで世界80カ国を旅したことがあるという同社社長の市野将行さん。約15年前、バンコク・カオサンロードのゲストハウスに長期滞在した際に「理想のゲストハウスをつくってみたいな」と希望を抱いたという。ゲストハウスの魅力は「人と人とのつながりができること」。

 2010年にオープンした英会話スクールでは旅先で出会う外国人との交流で役立つ会話を教えるほか、旅や留学に対する情報発信や準備のサポートも行う。そのほか、外国人の困りごとの解決を目的にしたフェイスブックページ「Nagoya Help」や、名古屋駅周辺にいる外国人に突撃インタビューをした記録「毎日旅人プロジェクト(略称 まいたび)」を展開。「Nagoya Helpではどんな悩み事や問題があるのかが、まいたびでは名古屋の観光やニーズのリサーチができた」と市野さん。

 「愛知県の多文化共生街づくりとグローバル人材育成の拠点」と目標を掲げ、全国から経済圏で集まりやすい場所、アクセスの良い場所として名古屋駅エリアに着目。「日本に来る若い外国人旅行者がたくさんいる今、海外に興味のある日本人の若者と交流して、互いに刺激しあえる場所があれば」。「名古屋市周辺で暮らす外国人が、世間話をするくらいに気軽に寄れる場をつくりたい。日本では他言語の案内がまだ少なく情報が届きづらいので街のフレッシュな情報を届けられるようにしたい」という考えで、英語が話せる地元スタッフや日本在住歴の長い外国人スタッフ、異文化交流をしたい人たちが集まる、名古屋駅そばのカフェとしてコンセプトを固めた。

 5階建てで、1階=カフェバー、2~4階=ゲストハウス、5階=多目的ルームと事務所。カフェバー(30席)では「名古屋名物モーニングサービス」から、「名古屋で暮らす外国人のお母さんのレシピの世界の名物料理」などをメニューに取り入れる。「友人におもてなしするような気持ち」と市野さん。営業時間は8時~23時。

 ゲストハウスは全9室、ベッド数48床。2階は女性専用フロアとし、女性専用シャワールームとパウダールームを設置。3階は共用シャワールーム、共用キッチン、共用ラウンジを設ける。メーンターゲットはバックパッカーを中心とした外国人旅行者を8割、20代の若い日本人女性を2割想定している。宿泊費は3,240円~(ドミトリー)を予定。

<そこが聞きたい>外国人労働者受け入れ 多賀谷一照氏

2015-04-17 10:58:22 | 多文化共生
(以下、毎日新聞から転載)
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Listening:<そこが聞きたい>外国人労働者受け入れ 多賀谷一照氏
2015年04月15日

多賀谷一照氏

 ◇職種ごと計画的に 独協大教授・出入国管理政策懇談会座長代理、多賀谷一照氏

 少子高齢化に伴う労働力不足が深刻だと言われる。政府は外国人を一定期間受け入れる技能実習制度を拡充する方針だが、「使い捨て」との批判も根強い。法相の私的懇談会「出入国管理政策懇談会」の座長代理、多賀谷一照・独協大教授に聞いた。【聞き手・和田武士、写真も】

−−外国人技能実習制度の適正化を図る法案=1=が今国会に提出されました。今年度中には新制度に移行する見込みです。

 この制度には、実習生の受け入れ先を指導する公益財団法人「国際研修協力機構」(JITCO)に強制的な調査・規制権限がなく、外国人が不当な低賃金、長時間労働を強いられているという指摘がありました。事業協同組合や農協などの「監理団体」による監督も行き届いていないと言われています。これに対し、新制度では法的権限を持つ新たな監督機関が設けられます。この仕組みが機能すれば、乱用的利用は一定程度排除されるでしょう。一方で、実習生の受け入れを認められなくなった事業所は労働力確保が難しくなり、事業が立ちゆかなくなる事態も考えられます。新制度の影響を注視していく必要があるでしょう。

−−技能実習制度を廃止すべきだという意見もありますが。

 「途上国への国際貢献」という制度の趣旨と実態が一部で著しく乖離(かいり)しているのは事実です。実習生が未払い賃金の支払いを求めて訴訟を起こすようなケースも相次いでおり、批判は当然です。一方で、約16万人もの実習生が働いているのも事実ですし、例えば機械関係や金属関係といった職種では、制度が比較的うまく機能していると聞いています。制度全面廃止は非現実的です。韓国のような雇用許可制=2=に切り替えるべきだとも思いません。

−−経済団体などは、技能実習制度にとらわれず、外国人労働者の積極受け入れを求めています。

 労働力が不足して日本人の賃金が高くなった結果、企業は利益を確保しにくくなっています。ただ、だから賃金の安い外国人を雇うというのはやや安易な考えです。確かに、少子高齢化に伴い労働生産人口が減少する中、将来的に外国人労働者を増やしていくことは避けられないでしょう。現在は技能実習制度がその手段になっていますが、今後は、産業のIT化によって必要な労働力は減少するとみられています。女性や高齢者の雇用増大といった方策とも組み合わせた上で、外国人受け入れについて考えなければなりません。

−−農業や水産加工業の現場には「実習生なしでは経営が成り立たない」との声があります。

 そもそも農業や水産加工業は実習生に単純労働のような作業をさせているケースも多く、「技能実習」にふさわしい職種なのか疑問です。予測は困難ですが、将来的に農業や水産加工業では現在のような大量生産体制を維持できなくなり、高品質品の少量生産に向かうのではないでしょうか。政府は人口を地方に移動させる政策を進めています。やりがいがある仕事に一定の賃金を支払う仕組みができれば、地方の生産現場にも日本人の働き手が戻ってくる可能性はあります。

−−日本に人材を供給してきたアジアの国々も豊かになりつつあり、近い将来、日本に人が来なくなるとの見方もあります。

 外国人労働者が国境を自由に越えて働く場所を探すという前提に立てば、そういうことも想定されるかもしれません。しかし、日本が市場原理に任せて外国人の出入りを自由にする政策を取り入れることは、現状では考えられません。安全で暮らしやすい日本で働きたいという外国人は今後も減ることはないでしょう。

 技能実習制度による外国人労働者の受け入れ増加には限界があります。例えば今後、労働需要が高まっていくと予想されるサービス分野のうち、既に実習生受け入れが決まった介護は、途上国の人材育成につながるかもしれません。一方で、公的な技能評価制度もない飲食店やコンビニエンスストアなどの接客業は、農業や水産加工業と同様に現在の制度にはなじまないと思います。

−−では、どのような形で労働力を確保していきますか。

 永住を前提として単純労働者を受け入れる移民制度の導入には、治安悪化や社会保障の負担増といった社会的リスクの懸念があります。留学生が日本語を習得し、日本の文化に慣れ親しみ、そのままごく自然に日本で就業するといったケースとは大きく異なります。移民を広く受け入れて「日本人と外国人の共生」を図るという考えは理想的ですが、日本で多文化共生がすぐ実現できるとは思えません。「門を開けて、後は入るに任せる」というような市場主義的な仕組みにも賛成しかねます。職種ごとの状況を見極め、相手国政府との間で何らかの協定を結んだ上で、外国人労働者を計画的に受け入れるという対応が現実的でしょう。

 ◇聞いて一言

 制度の見直しによる外国人技能実習の健全化に期待したい。一方で国際貢献のための制度が安価な労働力確保に使われている現状は変わらないとの見方もある。外国人の労働力で人手不足を補うなら、労働者として受け入れる枠組みが不可欠だ。在留期限を定めないまま外国人労働者を一斉に受け入れた場合、日本の社会にどんな影響を及ぼすのか正確に予測することは難しいし、容易に結論を出せないテーマではある。それでも「ごまかし」を続けないためには議論が必要だろう。

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 ■ことば

 ◇1 外国人技能実習制度適正化法案

 実習先の指導にあたる新たな監督機関の設置や、実習生への人権侵害行為に対する罰則の規定、優良な実習先に限って実習期間を現在の最長3年間から同5年間に延長できるようにすることなどが柱。今年度中に施行され、対象職種に「介護」が追加される見通し。

 ◇2 雇用許可制

 韓国が日本の技能実習制度に似た「産業研修制度」から移行する形で2004年に導入した制度。相手国と2国間協定を結んで単純労働者を受け入れるもので、分野は製造業、建設業、農畜産業、サービス業などに限られる。滞在期間は途中帰国を挟んで最長約10年と定められている。

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 ■人物略歴

 ◇たがや・かずてる

 1948年東京都生まれ。東京大法学部卒。同大大学院を経て千葉大教授、副学長を歴任し、NHK経営委員も務めた。2011年から独協大教授。専門は行政法、情報通信法。

「働きたくても働けない若者」の困難を解決するために必要な5つの観点

2015-04-17 10:57:41 | ダイバーシティ
(以下、BLOGSから転載)
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「働きたくても働けない若者」の困難を解決するために必要な5つの観点

ビッグイシュー・オンライン編集部より:PDFで公開済みの『若者政策提案書』の本文を、ブログ形式で閲覧できるよう編集いたしました。日本で欠如する「若者」世代の政策的支援のあり方を、ぜひ私たちと一緒に考えましょう。すべての関連記事は「若者政策」カテゴリーページから閲覧できます。


現状の問題と課題
働きたくても働けない若者にとっての困難は、働くための教育訓練の機会と、適切な「働く場」が不足しているということである。

彼らの多くは、さまざまな背景要因(低学歴、障害傾向、心身の不調など)によって、仕事をするために必要な能力や経験が十分にない。

こうしたしんどさを抱える若者にとって、働くことが喜びとなりうるような働き方の仕組みを提案したい。

(1)公的職業訓練の拡充・訓練機会の保障
日本は公的職業訓練が少ないが、訓練手当がない場合、経済的に余裕がなければ訓練期間の生活が維持できなくなる。雇用保険に入っていない場合には求職者訓練制度があり手当が支給されるが、「1回欠席で支給不可」となるなど心身が不調な若者への配慮に乏しい。

これは、ジョブカード制度下の有期実習型訓練についても同様である。つまり、日本には、無業状態が長引いた人が参加しやすい職業訓練メニューがない。そこで、日本でも欧米諸国同様、ワークフェア政策とともに標準化された、「経済給付」と「職業訓練」をセットにした教育訓練が必要である。

事例研究:オーストラリアの場合:市役所出張所兼ハローワークの「CenterLink」
CenterLink(センターリンク)に行くと市民としての権利と義務が明示され、行くべき窓口や使えるサービス、応募できる求人一覧が瞬時にアウトプットされる。さらに、少額ではあるが生活費が支給され、自立までの細かいステッププログラムが用意される。

ステップアップすれば国からの支給額も上がり、訓練⇒資格取得⇒よい就職ができるなど本人への見返りも大きいため、若者は自ら来所する。「孤立させない」機能(インセンティブ)が働いているのである。

(2)中間的就労――何らかの働く場で、本人の働くための能力を伸長するための支援
仕事を通じて若者たちを適切に育てる場があれば、働く能力は伸び、一般雇用につながっていく。そこで、「中間的就労」の場を設けて、本人の能力を伸ばす支援を行う。

その場は、“ほんもの”の職場で、支援スタッフの育成、本人の特性を生かせる専門性があり、本人の特性を理解した柔軟な仕組み、公的な資金補助が必要である。

生活困窮者自立支援法における中間的就労事業の育成
2015年度には生活困窮者自立支援法が本格施行されるが、同法における中間的就労事業者の育成が期待される。

萌芽的取組みには、和歌山県の「起業支援型地域雇用創造事業「若者が働き、生きる」地域づくり事業」や、大阪府の「子ども・若者が再チャレンジできる仕組みづくり中間的就労場づくり支援事業」、京都府の「中間的就労提供事業者開拓事業」などがある。なお、同法における中間的就労については、これらの事業で行われているように、就労先への補助と、若者への経済給付が必要である。

(3)社会的雇用――働く能力の限定された若者を包摂しうる雇用の提供
働く能力を、一般雇用に耐えうるまで伸ばせなくても、本人なりの100%の力を発揮し働ける職場を提供する。また、社会的雇用は、(2)の中間的就労と併せて提供することもできる。

1.社会的事業所(滋賀県、箕面市などが実施)の拡充・法制化
障害者雇用の拡充を中心に各自治体に設置されている社会的事業所には、現状でも、被差別地域出身者、外国籍市民、高齢者、母子家庭の母親などが働いており、包摂的な雇用を提供している。これに健常者も対象者と明記し、法制化する。

2.就労継続A型事業所における、障害のない対象者を含めた報酬の算定
就労継続A型事業所では、障害者だけでなく、障害を持たないものを一定の割合で(例えば、20人以下の場合半数まで)受け入れられるとされているので、これも報酬算定の対象とする。

3.社会的協同組合や社会的企業に関する基本法の制定
欧州における社会的雇用の代表的な形態である、社会的協同組合や社会的企業についての基本法を制定する。韓国の協同組合基本法や社会的企業育成法が参考となる。

(4)グレーゾーンの若者を雇用するための、企業・事業所のキャパシティの向上
包摂的雇用を目指す企業や事業所側をサポートすることにより、グレーゾーンの若者に力を発揮してもらい、社会的雇用ではなく、一般雇用による職場定着を図る。

1.グレーゾーンの若者を雇う企業の認証
若者の雇用に貢献している企業を認証し、社会的調達などの優先調達や優先発注、債務保証の信用強化、補助金、税制上の補助、助成要件の緩和、低利融資、企業間連携の促進などの支援を行う。

2.企業などへの職場づくりや雇用ノウハウの研修・共有支援
発達障害や精神障害の傾向を持つ者が多いことから、豊中市などのように、そうした若者が定着・活躍できる職場づくりのための研修を行う。

3.企業などへの報奨(法定雇用率、助成金付き雇用など)
グレーゾーンの若者に対する法定雇用率を定め、また、雇用に対し一定期間の助成を行うような仕組みを取り入れる。現行のトライアル雇用奨励金を若者の支援にも使いやすいものに変えていく。

(5)地方活性化と連動した若者の雇用の創出
地方では、雇用の不足から多くの若者が仕事のないまま孤立しており、地域での雇用創出など地域課題と連動した、例えば福祉課題や医療課題の解決と絡めた若者のための雇用の場を内発的に創ることが求められている。

一例として「、福祉でまちづくり」を標榜する、秋田県藤里町社会福祉協議会では、特産のマイタケを生かしたキッシュを開発し、引きこもりの若者の雇用を創りだしている。

『若者政策提案書』が完成しました|活動報告・イベント案内|ビッグイシュー基金

編集部より:随時記事を追加していきます。記事の一覧はカテゴリーページ「若者政策」をご覧ください。

また、提案書発表会で話された「出口」に関する記事はこちら。
少年院を出所した子どもは、就職できるか否かで「再犯率」が大きく変わる。若者支援における「出口」の重要性 : BIG ISSUE ONLINE

浜田で国際交流会 留学生らと住民 親睦深める

2015-04-14 12:00:11 | 多文化共生
(以下、山陰中央新報から転載)
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浜田で国際交流会 留学生らと住民 親睦深める

 島根県の浜田市などで生活している外国人を対象にした国際交流会が12日、同市内であり、県立大浜田キャンパス(浜田市野原町)の留学生ら16人と企画した住民グループのメンバーなど計29人が、公園散策や山菜の天ぷら作りなどを通して親睦を深めた。

 県高齢者大学「シマネスクくにびき学園」西部校(同)で学ぶ有志6人が2月に設立した「多文化共生6」(安井好裕代表)と、しまね国際センターが、異文化理解と交流の場をつくろうと初めて企画した。

館長退任前に最終講演 市ふれあい館 三浦さん

2015-04-14 11:59:37 | 多文化共生
(以下、神奈川新聞から転載)
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館長退任前に最終講演
市ふれあい館 三浦さん
掲載号:2015年4月10日号

「差別に向き合う」をテーマに講演する三浦さん

 社会福祉法人青丘社が運営する川崎市ふれあい館館長の三浦知人さんが3月31日付で退任した。これに先立つ3月27日には、桜本の同館で記念講演会が開かれ、三浦さんは「差別に向き合う」をテーマに、青丘社での約40年にわたる実践活動などを振り返った。

 三浦さんは1954年生まれ。78年に社会福祉法人青丘社職員となり、2010年から館長を務めた。

 講演で三浦さんは「学生時代、在日コリアンの子ども会活動を通じて、在日と出会い、戦争と差別の歴史、差別の生活課題を知った」と述べた。そうした中、戦争と差別については「表と裏の関係。差別が厳しくなれば、戦争が近づく」ことを実感。また、差別は再生産されているとの認識を深めたとした。

 88年に設立された市ふれあい館については「地域社会の中で差別のない施設が税金で運営された。川崎市が日本の社会を豊かにする舵を切った一歩を示した」と意義を強調。その一方で「全国から多くの視察があったにも関わらず、第2、第3のふれあい館が造られなかった」とも述べた。

 青丘社、市ふれあい館の活動についても言及。子育て、教育、高齢者、障害者、人権、まちづくり、多文化活動と活動領域が広がり、地域に根を下ろしたのは「誰もがやらない様々な生活課題を『私たちがやらねば』と感じて取り組んだ結果」と話した。

 今後は子どもの居場所づくりや貧困問題への取り組み強化の必要性を指摘。地域の中での実践活動だけでなく、「区との連携を深めることにシフトすべきだ」とも語った。

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 市ふれあい館は、原千代子さんが4月1日から館長に就任したと発表した。