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外国人技能実習制度の廃止を 意見書提出

2013-06-27 09:11:01 | 多文化共生
(以下、毎日新聞から転載)
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日弁連:外国人技能実習制度の廃止を 意見書提出
毎日新聞 2013年06月26日 19時54分(最終更新 06月26日 20時20分)

 日本弁護士連合会は26日、海外の労働者の技術取得を支援する外国人技能実習制度の廃止を求める意見書を厚生労働省と法務省に提出した。実習生に低賃金で過酷な労働を強いるケースなどが問題になり、海外からの批判も出ていた。

 日弁連のプロジェクトチームが中心となり、実態を調査してきた。チームのまとめによると、2009年の法改正で、労働基準法などが適用されない研修生を無くし、全て労働関係法が適用される実習生に一本化されたが、最低賃金以下で働かされたり、セクハラに遭うなどの被害が後を絶たないという。

 意見書では「労働力不足解消に利用されているのが実態で、廃止するしかない」とした上で、未熟練労働者の受け入れを前提とした在留資格の創設などを議論すべきだとしている。【東海林智】

すべての教育機関で障害のある学生のPC利用が認められる時代に

2013-06-27 09:10:23 | ダイバーシティ
(以下、ITproから転載)
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「障害者差別解消法」成立、すべての教育機関で障害のある学生のPC利用が認められる時代に
東京大学 先端科学技術研究センター 近藤武夫准教授
2013/06/25

 2012年2月に、ITproで「入試でのPC利用を認めて欲しい、障害者への“合理的配慮”が当たり前の社会へ」という記事を紹介した。この中で、東京大学 先端科学技術研究センターの中邑賢龍教授、近藤武夫准教授らは、「高校・大学入試で、肢体不自由や書字障害を持つ受験生に対してPC利用を認めている教育機関が少ない」との問題を提起している。しかし、2013年6月19日に参議院本会議で可決・成立した「障害者差別解消法」によって、この問題が一足飛びに解決する可能性が出てきた。東京大学 先端科学技術研究センター 近藤武夫准教授に話を聞いた。

(聞き手は羽野 三千世=ITpro)
「障害者差別解消法」によって、ディスレクシア(読字困難)や書字困難などを持つ児童・生徒に対する支援はどう変わるのか。


写真●東京大学 先端科学技術研究センター 近藤武夫准教授
 国連の障害者権利条約では、障害者が他者と平等な生活をするために、必要かつ適切な調整/変更を行う「合理的配慮」を規定している。紙の教科書に対して読字困難がある生徒に電子教科書の使用を認めること、鉛筆での書字困難がある学生にPCでの筆記を認めることは合理的配慮だ。しかし、これまで日本では、この合理的配慮は配慮する側の「善意」という意識があった。障害のある学生が授業や入試でPCなどの支援機器を使うことは、学校側が「許可」することであり、学生は学校へお願いする立場だった。

 今回成立した障害者差別解消法は、国連の障害者権利条約の国内での根拠となる強力な法律だ。今後、障害学生はPCの利用を堂々と申請できるようになる。

 同法では、障害者への合理的配慮および差別禁止を法制化している。鉛筆やペンでの書字が困難な学生に対して、授業や入試へ参加するための代替手段を認めないことは、同法の差別禁止および合理的配慮の否定に抵触する。さらに、本人が申請する代替手段の利用について、学校側は検討する義務が発生する。

2011年改正の障害者基本法にも、「合理的配慮」は規定されていたが。

 学校や企業で、合理的配慮が義務化されただけでは有効に機能しない。合理的配慮は、障害のある学生の個々の事情に柔軟に対応しなければいけないものであり、大学側が支援可能な範囲や内容を個別にルール化するだけでは解決しない。

 障害者差別解消法では、学生からの申請ベースで、大学側が個々の申請を検討する義務を負うとされている。さらに、同法を確実かつ有効に機能させるために、障害者が異議申し立てを行うための制度を用意することになっている。例えば、国公立大学に対しては、「異議申し立て機関」の設置が義務付けられている(私立大学では努力義務)。障害のある学生が大学へ合理的配慮を申請した場合、大学側の対応に納得がいかない場合は、同機関を通じて異議申し立てができる。

国立大学に設置される「異議申し立て機関」とはどのようなものか。

 米国の大学での合理的配慮の実装例を説明しよう。まず、学内に合理的配慮の決定権を持つ「障害学生支援室」を置く。異議申し立てをする学生は、支援室に対して合理的配慮の申請を行う。支援室の対応に異議がある場合は、学内の人事部に設けられた「平等機会課」に異議申し立てできる。さらに、学内で問題が解決しない場合、州市民権局、連邦教育省市民権局へと異議申し立てを行う仕組みが用意されている。

性同一性障害の小学生の女子トイレ使用禁止は差別=米国で判決

2013-06-27 09:09:57 | ダイバーシティ
(以下、新華経済から転載)
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性同一性障害の小学生の女子トイレ使用禁止は差別=米国で判決

2013年06月26日

香港紙・明報の26日付の報道によると、米コロラド州の裁判所はこのほど、州内のある小学校が性同一性障害の小学生の女子トイレ使用を禁止したことが差別に当たるとの判断を示した。中新網が伝えた。

6歳の小学生、コイ・メティスちゃんは男として生まれたが、生後5カ月のころ、家族はコイちゃんがピンク色の毛布が好きなことに気付いたという。大きくなったコイちゃんは自動車のおもちゃには興味を示さず、男児の服を着ている時は出かけるのを嫌がった。学校に入学すると男児の服を着せられていることで気分が落ち込み、医師から性同一性障害の診断を受けた。両親はコイちゃんのパスポートなどの性別を「女性」に変え、女児として生活できるようにした。

コイちゃんは2012年秋に小学校に入学し、学校内では女子トイレを使用した。しかし12月、学校側がコイちゃんの両親に対し、コイちゃんは教職員が使用する男女共用のトイレか、男子トイレしか使用できないと通達した。

学校側の決定に不満を感じた両親はコイちゃんを退学させ、今年2月、コロラドの民権監査部門に学校を提訴した。

コロラド民権監査部門は学校側の行為がコロラド州のトランスジェンダー保護法に反しており、コイちゃんから「おしゃべりや情報交換など、女子トイレで起きる特別な人間関係」を奪ったと指摘した。

両親は裁決に満足し、別の地域に引っ越した。母親によると、現在、自宅で勉強しているコイちゃんは学校に通いたがっている。

(翻訳 崔蓮花/編集翻訳 恩田有紀)

2013参院選 憲法の現場(下) 収容外国人の人権

2013-06-26 09:37:01 | 多文化共生
(以下、東京新聞から転載)
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いばらき 2013参院選 憲法の現場(下) 収容外国人の人権

2013年6月26日


東日本入国管理センター。被収容者との面会を続ける田中喜美子さんは「収容が長期になれば精神的にも苦しい」と語る=牛久市で

 私たち日本人は当然のように仕事に就き、社会保障を受け、旅行も楽しむ。けれど、それは当たり前のことなのだろうか。考えさせられる場所が牛久市内にある。
 「なぜこんなに長く閉じ込められるんだ」「早く出たい」。強制送還の対象となった外国人が収容されている法務省入国管理局の「東日本入国管理センター」。支援者や親族との面会室はいつも、不満の声が響くという。
 面会や差し入れを続けるボランティア団体「牛久入管収容所問題を考える会」の田中喜美子さん(60)=つくば市=は言う。「刑務所でもないのに、一年近くから、長い人で二年以上も収容される。医療も不十分。人間性が壊れてしまう」
 ここにいるのは、不法残留や不法入国など入管難民法違反の疑いで摘発されたが「本国に戻る場所がない」「日本に家族がいる」といった理由で強制送還を拒む人たち。田中さんは主に、難民認定を待つトルコ系クルド人を支援している。
 施設の目的は送還までの間の収容であり、刑罰ではない。午前七時起床、午後十時就寝といった集団生活上の規則はあるが、センターによると施設には個人用ロッカーや国際公衆電話、運動施設などがあり、単独や共同の居室にテレビも備わる。宗教や体調を考慮して食事を提供し、医師の回診も行われる。
 国内での身元が保証されれば、保証金で施設外に出られる仮放免の申請も可能。センターは「保安上支障のない範囲で人権に配慮し、自由を確保している」と力説する。
 この「人権」には異論がある。例えば英国の収容施設だと携帯電話やインターネットが使えるが、東日本入国管理センターでの通信手段は、施設内の公衆電話や面会、手紙などに限られる。仮放免後も仕事に就けず、居住県外への移動には許可が要る。健康保険も生活保護も対象外。支援者は「人権は極めて制限されている」と反論する。
 外国人の入国の許可が、国の裁量で決まることは世界の常識だ。その一方で、憲法一一条などにある基本的人権を享有する「国民」は、通説では在留外国人も含まれると解釈されている。在留が認められない被収容者や仮放免者の人権をどうみるべきか。
 センターは「本来は帰国するべき人。すべて入管難民法や被収容者処遇規則に基づいている」と理解を求める。これに対し、入管問題などに詳しい指宿昭一弁護士は「仮放免で社会に出ても、生存権を奪う今の制度は『帰国しない人は死ね』と言うようなもの」と批判し、こう話す。
 「皮肉にも彼らを知ることで、日本人に通信や移動の自由があり、文化的な最低限度の生活を送れることに気付かされる」。当然と思う人権も憲法の縛りがあいまいになれば、すぐにでも崩れてしまう。そのことに無頓着でいていいのか。
 指宿弁護士は「日本はまだ憲法の理念に追いついていない。これ以上悪くしてはいけない」と憲法の尊重を訴える。
 憲法前文にはこうある。「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免(まぬ)かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と。(この連載は妹尾聡太が担当しました)
 <東日本入国管理センター> 旧横浜入国者収容所を前身として1993年に移転設立された。収容定員は700人。現在は強制送還対象の400人弱が収容され、国籍はフィリピン、中国、タイなどが多いという。収容期間は「送還可能のときまで」で、特に期限はない。有識者による第三者機関が定期的に視察し、被収容者の処遇改善策などを提言している。
◆第11条
 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

サービス分野の外国人労働者、複数職務が来月から可能に

2013-06-26 09:36:34 | 多文化共生
(以下、アジアエックスから転載)
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サービス分野の外国人労働者、複数職務が来月から可能に
シンガポール2013年06月25日 11:39

ワーク・パミット(WP)査証で働く、賃金水準が低いサービス業の外国人労働者に、査証で許可された以外の職務の遂行を認める計画が7月1日に導入される。これに備え人材開発省は6月24日、運用指針を発表するとともに、良識を持って適切に運用するよう、経営者側に求めた。

従来は就労査証で許可された以外の職務遂行は認められなかった。しかし政府は外国人の流入を抑制するため、外国人労働者枠を狭め、外国人雇用者税も引き上げた。このため経営者側は労賃上昇に直面しており、生産性の改善を迫られている。

ホテルやレストラン、小売店で働く外国人労働者に同計画が適用される。ウエイターとしてレストランで雇用されているWPの労働者は、フロント業務や部屋の清掃も認められる。しかしキッチンの機器修理を行うなどの場合は、事前に研修を受けていることが条件。

人材開発省は、シンガポール全国経営者連盟(SNEF)と全国労働組合会議(NTUC)の協力を得て指針をまとめた。

複数職務を労働者にさせる場合、経営者は適切な訓練を労働者に施す必要がある。生産性改善の成果があった場合は、経営者側は労働者と利益を分かち合うことを求められる。

自閉症は似たタイプに共感 福井大など共同研究

2013-06-26 09:36:06 | ダイバーシティ
(以下、福井新聞から転載)
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自閉症は似たタイプに共感 福井大など共同研究
(2013年6月26日午前7時00分)


小坂浩隆・福井大特命准教授

 他人の気持ちを理解することが難しいとされる発達障害「高機能自閉症スペクトラム障害」(高機能ASD)の人は、自分と似たタイプには共感しやすいことを、京都大、福井大などの研究チームが確認した。ASDの特性やメカニズムの解明に大きく前進する成果だとして、英科学誌の電子版に発表した。

 ASDでない人を対象にした近年の研究で、自分と似た性格の主人公の物語は理解しやすく、より共感できることが明らかになっている。

 研究チームはASDでも同様の可能性があると考え、ASDとそうでない被験者各約20人を対象に実験した。ASDが登場する物語と登場しない物語を読んでもらい、読後に示した文章が物語に出てきたかどうかを尋ねて理解度を調べた。

 ASDの人はASDが登場する物語を理解しやすく、質問に早く答えられた。さらに内容と結末に一貫性のある物語の方がより理解できた。ASDの人は、自分と似た傾向の人には共感できる可能性を示しており、物語を記憶する際に、文脈を一貫性のある形で覚える傾向がうかがえるという。

 ASDに対する適切な支援者配置や療育、教育プログラムの開発につながる成果で、研究チームに参加した福井大子どものこころの発達研究センターの小坂浩隆特命准教授は「ASDは他者に対する理解や記憶が劣っているのではなく、その仕組みが異なっているだけ」と指摘する。

 その上で「ASDは他者への共感が乏しいといわれるが、自分と似ていない人に共感するのが難しいだけかもしれない」と話す。今後は子どもを対象に研究を進めるとともに、ASDの人同士が共感できるかをさらに検討する。

 また、福井大医学部附属病院では、ASDの治療で脳内ホルモン「オキシトシン」を投与する臨床研究を行っている。小坂特命准教授は「投与の効果が確認できた人は多い。さらに研究を進め、近い将来に薬剤としての認可を目指したい」とし、ASDの人の協力を呼び掛けている。

 問い合わせは、子どものこころの発達研究センターのホームページか、精神医学教室=電話0776(61)8363。

安倍首相「失敗が生かせる社会を」

2013-06-26 09:35:43 | ダイバーシティ
(以下、THE WALL STREET JOUNALから転載)
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2013年 6月 25日 14:01
安倍首相「失敗が生かせる社会を」

 安倍晋三首相は25日午前、首相官邸で挫折から立ち直った経験を持つ経営者らと意見交換した。職にも就かず学校にも行かない「ニート」や、障害者らの就労支援策づくりに役立てるのが目的。首相は「失敗あるいは障害という壁にぶつかった経験は大いなるキャリアだ。そういう方々を生かす社会によって、日本は活力を取り戻していくことができる」と述べ、「再チャレンジ」政策を進めていく考えを示した。 

[時事通信社]

精神障害者の3割超が高齢者 障害者白書

2013-06-26 09:35:17 | ダイバーシティ
(以下、日本経済新聞から転載)
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精神障害者の3割超が高齢者 障害者白書
2013/6/25 10:57

 政府は25日の閣議で2013年版「障害者白書」を決定した。障害者の人口に占める65歳以上の高齢者の割合が拡大。11年の精神障害者(外来患者)に占める高齢者の割合が33.8%に達した。前回調査時の08年に比べて2.3ポイント上昇した。

 住まいの状況を見ると、03年時点で精神障害者のうち、家族と同居している人が76.8%。障害者の高齢化が進んでいることを踏まえ、内閣府は「両親が亡くなった後の成年後見人の確保など、生活支援のあり方の検討を急ぐ」としている。

 今国会では、障害を理由とする差別的取り扱いを禁止し、公的機関に障害者に必要な配慮を義務付ける障害者差別解消法が成立した。

日系大学生ら教育支援策で 外国人家庭へ訪問計画 親の意識啓発も視野に

2013-06-25 10:01:23 | 多文化共生
(以下、毎日新聞から転載)
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フォーラム:日系大学生ら教育支援策で 外国人家庭へ訪問計画 親の意識啓発も視野に--浜松 /静岡
毎日新聞 2013年06月24日 地方版

 ◇「勉強望む子の力に」

 1990年の出入国管理法改正後に日本で教育を受け、静岡文化芸術大(浜松市中区中央)に進学した日系ブラジル人らが、日本の公立小中学校の外国人への教育支援策をめぐり意見を述べるフォーラムが22日、同大で開かれた。フォーラムでは、今秋にもこの学生たちが市内の小学校に子が通う外国人の家庭を訪問する事業を予定している。

 同大が昨年度から続ける研究事業「多文化子ども教育フォーラム」の5回目。日系ブラジル人や中国人の同大学生7人が自らの体験を述べ、県内外から行政、教育関係者や支援者らが耳を傾けた。宇佐見ナオミさん(1年生)はブラジルで生まれ96年に家族3人で来日。以来、家庭ではポルトガル語、学校では日本語の生活を続ける。宇佐見さんは「小学校5年生のときに、『外人だからわからなくていい』という先生がいた。外国人を教える経験や知識が先生には必要だ」と述べた。鈴木由香里さん(同)は「親は工場で働いているが私には悪い条件で働いてほしくないと話した。学校をやめて早く働けと親に言われる子もいた。親の支援は重要だ」と話した。

 学生は、外国人の子どもたちが、より学習しやすい環境を整えるために小中学校教員への異文化理解講座の開講や、親の意識啓発などの方策を提案した。

 この中で、同大でデザインを学んだ卒業生が、日本の教育制度に不案内な保護者向けに学校を紹介する冊子を作ったことから、フォーラムではこれを市内の小学校に子が通う外国人の家庭へ学生が配布する事業を計画中だ。同大の池上重弘教授は、「親の理解が進めば子の学習環境は著しく改善される。学生たちに訪問させることで子供たちに見習うべき先輩の実例を示し、親の啓発も試みたいと考えている」と話す。

 配布事業は11月ごろから同市内の小学校に通う子がいる50世帯を目標に実施予定という。同大1年の三宅・エベルトン・アキオさん(19)は、「日本で勉強を続けたいと望む子どもたちの力になりたい」と事業への意欲を見せた。【高橋龍介】

女性登用 多様性 成長社会実現の鍵

2013-06-25 10:00:50 | ダイバーシティ
(以下、SankeiBizから転載)
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【80th 次の日本へ】女性登用 多様性 成長社会実現の鍵
2013.6.21 05:00
 □イー・ウーマン 佐々木かをり社長 特別インタビュー

 安倍晋三首相は、女性の活躍を成長戦略の中核と位置づけ、待機児童の解消や育児休業3年といった案を打ち出した。働く女性の声を発信するサイトを運営するイー・ウーマンの佐々木かをり社長は「日本社会が強くなるには人と異なる視点をいかに付け加えられるかが重要。究極は男とか女ではなく、ダイバーシティ(多様性)が成長のキーワードになる」と説く。

                   ◇

 --成長戦略の女性関連施策をどうみるか

 「保育施設不足をはじめ取り組むべき課題は山ほどあるが、子育てと仕事の両立の仕組みは徐々に整備されつつある。ただ、育児休業3年は、選択肢として悪くないと思うが、今までと同じような男女差を生みやすくするだけ。基本的に反対だ」

 --では、どうしたらいい

 「男性の場合、男女雇用機会均等法が施行された1986年から働き方が変わっていない。3年間休んで子育てに専任する男性はほとんどいないはずだ。育児休業3年というのは、残念ながら女性が職場から離れる施策になりかねない。海外で主要な要職に就いている方から『ナンセンス』とまで言われた」

 --女性が活躍するには何が必要か

 「男性の評価システムや価値判断、ライフスタイルを変えていくことだ。夕食は家で食べて授業参観に足を運び、お祭りを手伝うような男性が有能であると認められるようになる。そこまで劇的に日本社会が変わらない限り、女性の本当の社会進出はなかなか難しい。女性向けの施策も数多く取り組む必要はある。ただ、男性向けも拡充することにより、受け入れた企業が成長し、優秀な社員、良い株主が集まるようになるのが理想的な構図だ」

 --男性のライフスタイルが変わると、経済的にどういった効果をもたらすか

 「私は自分で仕事をうまくコントロールして子供の通う学校に行き、職場で会わないようなタイプの父母と接するようにしている。先生とも話すし、そこでひらめくことがあるので、ビジネスのためのネタ探しにもなる。そうした場に顔を出さずいつも同じメンバーで企画会議をやっている方が、よっぽど駄目だと思う。今日明日のことだけではなく、その後のことを視野に入れ、働き方を変えることで新しい人脈を形成することが重要だ。その姿勢がビジネスに発展していく」

 --それがダイバーシティという考え方が重要と指摘している理由か

 「男性中心に作られてきた経済や社会は、当然ながら決定権者の大半が男性という構造だ。そこに多様な視点を入れることで、健全に成長できる社会を実現することが必要となる。そのきっかけは女性の進出を促すことで、大本はダイバーシティという視点だ」

 --企業経営の上で、多様性が重要な理由は

 「ガバナンス(企業統治)の面で有効に作用する点だ。似たような大学、似たような入社年次の男性が、同じような視点から取締役会を開くような企業の場合、ガバナンスの危険性が大きい。女性や社外役員を送り込めば、視点の多様化につながって、結果としてガバナンスの質が高まることになる」

 --商品開発面ではどうか

 「これまで、女性の意見を募る作業は専業主婦に依存していた。しかし、働く女性が増えたことで、さまざまな層の意見を聞く必要性が増している。多様な視点は、より多くの消費者の心をつかむようになる。売れる商品の開発やサービスの向上にもつながると思う」

 --イー・ウーマンは「女性スピーカーズギルド」という女性講演者のマネジメントサービスを始めた

 「世界各国と比べて圧倒的に男女格差の大きい日本を動かすには、女性が発言・発信する機会を増やすことが必要だと感じたからだ。メンバーは医者や法律家、経営者ら多種多様。全員がイー・ウーマンが発信する意見と同じなのかというと、そうではない。女性にも100通りの視点がある。そこは制限するものではない」

 --具体的にはどういった形で事業を進めていくのか

 「世の中に山ほどの講演会、パネルディスカッションが存在している。女性の声を聞こうという動きが顕在化し、私も招かれる。しかし、『50年間にわたって活動を行ってきたが、女性スピーカーは初めて』というケースも少なくない。サービスを通じて『優秀な女性スピーカーが数多く存在している』ことをアピールしていきたい」

 --どのような効果を期待しているか

 「日本企業にはあまりにも女性役員や監査役が少ない、と海外から指摘を受ける。でも、私の周囲には多くの有能な経営者、専門家がいる。活動を通じ、女性の声が決定権を持つ人の下へ確実に届く環境を整備したい。そして、企業や審議会にどんどん優秀な人材を推薦していけるようになりたい。その次のステップは、障害を持つ方や外国人など、ダイバーシティのスピーカーを募ることだ。海外の団体とも提携し、多様性という視点でリーダーシップを取れるようなネットワークを構築していくことが課題だ」(聞き手 伊藤俊祐)

                   ◇

【プロフィル】佐々木かをり

 ささき・かをり 上智大学外国語卒。1987年に国際コミュニケーションのコンサルティング会社、ユニカルインターナショナルを設立。2000年3月イー・ウーマンを設立し現職。国際女性ビジネス会議実行委員会委員長なども務める。横浜市出身。