多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

第一生命、来年度から新卒採用の1割を外国人留学生に

2010-09-30 10:13:25 | 多文化共生
(以下、日刊工業新聞から転載)
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第一生命、来年度から新卒採用の1割を外国人留学生に
掲載日 2010年09月30日

 第一生命保険は海外事業を担う中核的な人材を確保するため、2011年度から外国人留学生の新卒者を採用する。総合職の定期採用を行う際に外国人留学生の採用枠を目安として設定し、一定規模の留学生を継続的に獲得する。11年度は約100人の採用計画のうち、1割弱を留学生とする予定。語学力や国際感覚のある外国人を活用し、ベトナムやインドの生保事業など海外戦略を推進する。
 第一生命は09年7月に総合職と一般職の区分を廃止し、転勤の有無で「グローバル職員」と「エリア職員」に分けた。グローバル職員は一般的な総合職に相当し、国内外で勤務する。今後は日本人だけでなく、日本の大学で学ぶ外国人の留学生を積極的に雇用する。そこでグローバル職員の定期採用時に、おおよその目安として留学生の採用枠を設け計画的に確保する。
 まず11年4月の入社予定者として、主にアジア圏の留学生を数人採用する方針。

外国人の就労支援で成果

2010-09-30 10:13:02 | 多文化共生
(以下、下野新聞から転載)
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外国人の就労支援で成果
(9月30日 05:00)

 【小山】不況で失職した外国人177件の再就職を支援するため、市国際交流協会が「外国人地域支援センター」を開設して1年。6月から約2カ月続けた「就職のための集中日本語講座」の受講者5人が就職を決め、開設以来の就職者は13人になった。同センターは、一定の満足感をにじませながらも「できるだけ多くの人に職を見つけてほしいと願っている。これからもどんどん利用してほしい」としている。

 集中講座は6月4日から7月末まで、月曜日と金曜日の全16回開催。月曜日は会話を中心に入門レベルと初級レベルに分け、金曜日は読み書きを中心にひらがな・カタカナレベルと漢字レベルに分けて実施した。レベルに合わせた講座を集中的に行った効果もあり、講座終了までに受講21人中ブラジル、ペルー出身の5人が製造業やホテルへの就職を決めた。

 同センターは、昨年8月の開設以来、日本語講座はじめ就職相談、履歴書の書き方指導などを通して、就職を支援してきた。21日までに同センターを訪れた外国人177件は延べ673人。講座受講者が450人を超えるほか、書類の翻訳などの相談に訪れるケースも多い。

 アドバイザーの玉那覇華恋さんは「就職した人から『元気ですか』と電話をもらうこともあるんです」と笑顔を見せ、「センターの存在が知られるようになり、講座受講者も増えてきた。みなさんにはできれば正社員として働けるようになってほしい」と話した。

 現在は、9月から12月までの予定で、毎週金曜日の午前中に「『読める』『書ける』日本語講座」を開講中。問い合わせは同センター電話0285・23・1042。

外国人支援の拠点開設 10月、浦舟に「多文化共生ラウンジ」

2010-09-30 10:12:36 | 多文化共生
(以下、タウンニュース【神奈川】から転載)
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外国人支援の拠点開設 10月、浦舟に「多文化共生ラウンジ」

2010年9月30日号
浦舟複合福祉施設10階に設けられるラウンジ

 外国人支援を目的にした施設「多文化共生ラウンジ」が10月1日、浦舟複合福祉施設10階に開設される。南区内に約7400人いる外国人への情報提供など、生活を支援する拠点となる。区内に多い中国人へ対応するために、中国語を話せるスタッフを常時配置するなど、地域性も意識する。

 ラウンジはこれまで「みなみ市民活動センター」があった場所に併設される形でオープン。このため、10月からは「みなみ市民活動・多文化共生ラウンジ」としてスタートする。

 市内には外国人支援を行う「国際交流ラウンジ」が中区や港南区などに8ヵ所あり、南区は9ヵ所目。施設は区が設置し、運営は市の外郭団体である財団法人横浜市国際交流協会(YOKE)が行う。

 南区内の外国人登録人口は8月末時点で7351人。これは中区、鶴見区に続き、市内18区で3番目に多い。これまで、情報提供や生活相談など、南区の外国人支援事業は市民活動センターが中心となって行ってきた。ラウンジ開設により、今までセンターで外国人支援を担当していた職員にYOKEのスタッフが加わり、合計9人体制となり、支援機能をより強化するねらいがある。

中国語への対応強化

 南区内の外国人の約47%は中国人。そのため、これまでも中国人からの相談が最も多かったという。ラウンジには中国語が話せるスタッフを毎日配置し、日本語が不自由な人にも対応。生活全般や子どもの学習などの相談を受け付ける。

 ラウンジは外国人を支援する日本人ボランティアの育成も担う。外国人の日本語学習をサポートするボランティアや小中学生に学校で使う日本語や教科を教える学習支援ボランティアを養成する講座を行っていく。センターが行った過去の講座受講者の中からは4つの日本語ボランティアグループが生まれている。

 今後は、商店街などの組織との連携や外国人が形成するコミュニティに入り込む活動を強化。相談会のチラシを広く配布するなどして「支援施設」としての存在をアピールしていく。

 開設記念イベントを10月2日(土)午前11時から行うほか、9日(土)には講座「在住外国人と一緒に考える多文化共生」を実施。開館時間は午前9時から午後5時、詳細はみなみ市民活動・多文化共生ラウンジ【電話】045・232・9544へ。

経費節減を重視 共生事業継続か不安

2010-09-30 10:12:10 | 多文化共生
(以下、朝日新聞【神奈川】から転載)
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経費節減を重視 共生事業継続か不安

2010年09月24日

 県立地球市民かながわプラザ(あーすぷらざ、横浜市栄区)の指定管理者の選定で、かながわ国際交流財団が外部評価委員会の審査により8月に落選し、財団と共に多文化共生に取り組んできた市民団体や学者らの間に不安が広がっている。23日に横浜市で緊急集会を開き、外国籍県民支援事業は財団が継続することなどを求める声明を採択。24日には県議会に陳情書を提出する。関係者は経費削減重視の選定に疑問を投げかける。

 プラザは国際理解学習や多文化共生支援の拠点。財団は2003年度に県から管理運営を委託され、指定管理者制度導入後は06~10年度の指定を受けた。しかし、来年度からの5年間は、青年海外協力隊経験者らで組織された社団法人青年海外協力協会(東京都渋谷区)を中心とするグループが8月に内定した。

 財団は前身の県国際交流協会が1998年の開館時からプラザに本部機能を置き、プラザ運営と一体化して事業を展開してきた。市民団体などは「事業が縮小されると、蓄積された知財やネットワークが活用できない」と心配する。24日に学識経験者ら有志の会が県議会に出す陳情書では、財団が多文化共生事業を同じ規模で継続できるような予算措置を県に求める。

 参加者が疑問視するのはサービス内容より経費削減が決め手となる評価の仕組みだ。
 外部評価委員会の審査結果(満点100点)は協会が76点、財団は68点だった。内訳は、学習センターや情報・相談センター事業の評価など8項目からなる「サービスの向上」(配点50点)で財団が37点、協会は31点だったが、配点20点の「節減努力」では協会が満点、財団は8点。評価委の審査報告書で協会は「多文化共生の観点が弱い」と指摘されたが、企画内容などで上回った財団を節減努力の項目で逆転した形だ。

 この点について、審査報告書も「制度の趣旨に照らせば、利用者サービスの向上により判断の比重がおかれるべきであり、節減努力の項目に20点の配点は大きすぎる」とする「委員会意見」を付記した。指定管理者制度に詳しい横浜市立大学の南学理事は「施設のミッションを明確にせずに経費削減ばかりを進めると、単なる競争入札になってしまい、施設を殺してしまう」と指摘している。

福岡市:国際貢献団体を表彰 香椎浜小「よるとも会」など

2010-09-30 10:11:45 | 多文化共生
(以下、毎日新聞【福岡】から転載)
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福岡市:国際貢献団体を表彰 香椎浜小「よるとも会」など /福岡

 草の根で国際貢献活動をしている個人・団体を福岡市が表彰する「市民国際貢献賞」に、フィリピンの貧困層支援をするNPO「ソルト・パヤタス」(粕屋町)▽市立香椎浜小(東区)の「親子日本語教室よるとも会」と同小PTA内の「フレンズ委員会」が選ばれた。28日、福岡市役所で表彰式があり、吉田宏市長から賞状と盾が贈られた。【門田陽介】

 ソルトは95年設立。フィリピン・ケソン市のパヤタス地区などのゴミ処分場で、ゴミの山から換金できるものを拾い生活している子供の就学支援や、女性の職業訓練などの自立支援活動を展開。これまで約250人の子供が奨学金で大学などへ進学するなど、地域発展に尽くしたことが評価された。小川博代表(48)は「日本では考えられない現実がある。国際協力でより良い未来をつくりたい」と話した。

 香椎浜小校区は約2000世帯のうち1割程度が永住帰国した中国残留孤児の家族や外国人世帯とされ、同小では1学級の4~5人が外国人児童という。

 よるとも会は03年4月からボランティアで外国人児童や保護者向けの日本語教室を開催。外国人住民の相談窓口にもなっており、住民主体の国際的な地域コミュニティーづくりが評価された。フレンズ委員会は外国人児童が学校生活にとけ込むための支援が評価された。よるとも会の古賀美津子代表(42)は「事故やトラブルの相談で駆け込んで来る人もいる。素人ですが、日本一ゆるい日本語教室を続けたい」と語った。

〔福岡都市圏版〕

アジア100超都市が多文化共生など議論 浜松で来月19日から国際会議

2010-09-30 10:11:22 | 多文化共生
(以下、中日新聞【浜松】から転載)
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アジア100超都市が多文化共生など議論 浜松で来月19日から国際会議

2010年9月29日

 浜松市は28日、同市中区のアクトシティ浜松で10月19日から開かれる国際会議「都市・自治体連合アジア太平洋支部コングレス」(中日新聞東海本社後援)の概要を発表した。会期は同22日までの4日間で、全体テーマはグローバル化への対応。国内外から100以上の都市・団体が参加し、多文化共生や経済・観光の発展、気候変動の課題解決に意見を交わす。

 都市・自治体連合は世界最大の自治体ネットワーク組織。アジア太平洋支部の会議は2005年の韓国大邱市、08年のタイ・パタヤ市に続く3回目で、日本初開催。

 参加が内定しているのは、国外から15カ国・地域の46都市・団体、国内から54都市・団体。約300人が出席する予定。

 19日は市民公開プログラムとして、多文化共生セッションで鈴木康友市長が韓国、豪州、インドネシアの首長と討論。川勝平太静岡県知事と鈴木修スズキ会長兼社長の基調講演もある。20日は気候変動、観光、経済の各セッションがあり、21日は浜松宣言を発表する。

 現在、国内自治体の正会員は浜松市のみだが、鈴木市長は「国も都市の国際化を大きなテーマに取り組んでいる」と述べ、本会議の開催で参加機運を高める意向を示した。

 市民公開プログラムの参加は事前登録制。問い合わせは浜松市国際課にある実行委員会事務局=電053(457)2359=へ。

第三国定住:ミャンマー難民来日 呼んでくれ、ありがとう

2010-09-30 10:10:57 | 多文化共生
(以下、毎日新聞から転載)
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第三国定住:ミャンマー難民来日 呼んでくれ、ありがとう 「農業につきたい」

 「日本に呼んでいただいてありがとう」--。28日朝、母国に戻ることができない難民を避難先以外の国が受け入れる「第三国定住制度」でミャンマー難民3家族18人が来日した。成田国際空港に降り立った18人は、日本の近代的な景色に驚いた様子。「日本はすばらしい国だ。来ることができてうれしい。できれば米や野菜をつくる農業の仕事につきたい」と希望を語った。

 ある家族の父親は「道が大きくて迷ったら大変だと思った」と照れ笑いした。子供たちは駐機場に止まった航空機に目を奪われていた。また別の家族の母親は「子供を学校に通わせたい。呼んでいただいてありがとう」と話した。難民の個人名は今後の生活に配慮して伏せられている。

 半年間、東京で日本語研修や職業訓練などを受け、その後、定住先を決める。国際移住機関(IOM)によると、18人は教育制度が整備され、文化的にも近いアジアの日本への移住を希望したという。IOMの橋本直子プログラムマネジャーは「自治体のほか、企業なども就職支援などで積極的にかかわってほしい。オールジャパンで受け入れる姿勢が必要だ」と話す。

 18人は、タイ北西部メラ難民キャンプで暮らしていた少数民族「カレン族」に属する。ミャンマーでは軍事政権と反政府組織「カレン民族同盟(KNU)」との内戦が続いており、同キャンプには母国を脱出した約5万人が暮らす。インドシナ難民に詳しい早稲田大学大学院の川上郁雄教授(日本語教育)は「最も重要なのは言葉の支援。日本政府は、将来は日本から出ていくことを前提に『外国人管理行政』を行ってきた。多文化共生を視点にした政策を取っていくべきだ」と話した。【隅俊之、斎川瞳】

外国人の学習支援充実を 高岡市長と住民らが懇談会

2010-09-28 11:45:22 | TOYAMAな多文化共生
(以下、中日新聞【富山】から転載)
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外国人の学習支援充実を 高岡市長と住民らが懇談会

2010年9月28日

外国人住民に対する施策の充実を訴える支援団体のメンバーら=高岡市駅南5で
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 高岡市の高橋正樹市長が住民と直接対話して施策に生かす「ふれあいトーク」が、同市駅南五のブラジル料理店「コラサン・ド・ブラジル」であった。日系ブラジル人の支援活動をしている関係者が参加し、行政による支援の充実を訴えた。

 高橋市長や市幹部、住民側から情報誌の発行などを通じて県内のブラジル人を支援している「富山日伯交流友の会」、外国人の高校進学支援の学習教室を開いている「高岡外国人の子どものことばと学力を考える会」の各メンバーら、計約二十人が出席した。

 日系ブラジル人住民に対する市の教育施策や、生活相談窓口の現状について議論。教育関係では、支援グループ側が「外国人には、学習そのものをするために必要となる言語の習得に壁がある」と指摘。その上で「外国人相談員の勤務は現在、一校につき週に数回程度にすぎない。もっと抜本的な支援が必要だ」と訴えた。

 これに対し、市の担当者は「人手が少なく十分に支援できないのが現状だ」と説明。一方で、高橋市長は「チームをつくり具体的な取り組みを考えたい」と対応を約束した。 (佐久間博康)

犯罪が大幅減 知立団地、外国人とのコミュニケーション成果

2010-09-28 11:44:55 | 多文化共生
(以下、読売新聞【愛知】から転載)
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犯罪が大幅減
知立団地、外国人とのコミュニケーション成果
防犯パトロールをする知立団地の住民

 ブラジル人などの外国人世帯が多い知立市昭和の知立団地で、昨年9月から県警と団地住民がコミュニケーションを図りながら、防犯対策に取り組んだところ、車上狙いなどの犯罪が大幅に減るなどの成果を上げていることが分かった。当初は1年間の予定だったが、住民からの要望もあり、来年8月末まで継続する。外国人の多い団地を対象にこうした取り組みは全国でも初めてで、県警では県内のほかの団地にも広げていきたい考えだ。(沢村宜樹)

 知立団地は、住民約4900人のうち、半数以上を日系ブラジル人ら外国人世帯が占める。取り組みが始まるまでは、路上駐車が多く、経済的理由で学校に行けない子どもらが、集団で路上にたむろしていたほか、ごみの出し方や騒音でも問題になっていた。2008年9月~09年8月の車上狙いなど刑法犯罪件数は1983件で、団地周辺の住民から「怖いから近づきたくない」という声も出るほどだった。

 県警教養課国際警察センターによると、団地内で警察官が防犯啓発活動や交通安全指導をほとんど行っていなかったほか、団地住民らとの連携がうまく取れていなかったという。

 そこで、県警と団地自治会などが協力して、昨年9月1日から、「知立団地安全安心プロジェクト」と銘打ち、交通安全指導や合同の防犯パトロールに乗り出した。外国人の住民の中には、警察官が団地内に入るのを警戒する人もいたが、ポルトガル語を話せる警察官が何度も足を運び、コミュニケーションを深めながら、交通法規や防犯対策の重要性を説明した。また、ポルトガル語の防犯チラシを配布するとともに、団地内に新たに約100台分の有料駐車場も確保した。

 この結果、今年9月には、130台以上もあった路上駐車がほとんどなくなったほか、09年9月~今年8月の刑法犯罪件数も1341件で、前年同期より約3分の1も減った。

 パトロールに参加する住民らは「違法駐車や犯罪がさらに少なくなるように、活動を続けていきたい」と意気込んでいる。
(2010年9月28日 読売新聞)

外国人医師の受け入れ拡大に医師は「No」、患者は「Yes」

2010-09-28 11:44:21 | 多文化共生
(以下、日経ビジネスから転載)
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【最終回】外国人医師の受け入れ拡大に医師は「No」、患者は「Yes」

 前回の記事「外国人医師の受け入れを拡大すべき?」に対する、たくさんの投票とコメントありがとうございました。

 今回のテーマについては、日経メディカルオンライン(NMO)と日経ビジネスオンライン(NBO)の投票結果に大きな差が出ました。「外国人医師の受け入れを拡大すべき?」との問いかけに対して、NMO(医師)では「Yes」が37%で「No」が63%。約3分の2の回答が「No」です。一方、NBO(患者)では、72%が「Yes」との回答でした。

 現行、日本の医師免許を持たない外国人医師による日本国内での診療行為は、医療法により原則禁じられています。例外として、「臨床修練制度」(臨床修練指導医の下での特定の専門知識や技能の習得を目的としたものであれば、厚生労働大臣の許可を条件に、診療が認められる)の下での診療は可能ですが、在留期間は2年までで、その後は帰国しなければなりません。また、この制度により日本の医師免許を得ることはできません。そのためなのか、現状、この制度により日本で診療業務に従事する外国人医師はごく少数です。

 一方、外国人医師の受け入れ拡大が議論される際、その目的として挙げられるのは、(1)先端医療研究への貢献(2)メディカルツーリズム促進のための環境整備(3)医師不足対策――の3点です。以前は(3)の医師不足対策から論じられることが多かったのですが、最近は、主として(1)(2)が焦点になっています。実際、菅直人内閣が今年6月にまとめた「新成長戦略」の中には、外国人医師・看護師による国内診療などの規制緩和の実施が盛り込まれており、その目的は、先端医療研究への貢献やメディカルツーリズム促進とされています。

「外国人医師はやって来ない」

 今回、医師と患者で結果は大きく分かれましたが、医師の6割が反対した理由の一つは、受け入れ拡大に意義を見出せないと考えたからではないでしょうか。簡単に言えば、多くの医師は「受け入れを拡大したとしても日本で働きたいと思う外国人医師はほとんどおらず、意味がない」と受け止めており、それが投票結果に反映されたのだと推測されます。

 医師が「外国人医師はほとんど来ない」と見ている理由は、過酷な割に薄給とされる日本の労働環境にあります。そんな日本に、言葉の壁を乗り越えてやって来る医師は、いてもごく少数との見方です。

 実際、「Yes」に投票した方の中にも、「私が外国人なら間違いなく、障壁が低く、給与が良く、自分の時間もある他の国に行くと思います」「日本で働きたい外国人医師はほとんどいないでしょう。あえて日本を選ぶメリットがありません」といった意見が複数見られたほどです。そうした背景からでしょうか、「一度受け入れを拡大してみて、来日した外国人医師の反応を日本社会に知らしめるべきだと思います」といった、少々自虐的な意見も寄せられました。

 このほかでは、「医師は、どこの国でもまずその国民の必要のために養成されるべき。相手国の社会的資源を奪う形になるのはよくない」とのコメントが印象に残りました。

大きなメリットもデメリットもなし?

 一方、患者側のコメントを見ても、受け入れ拡大により多くの外国人医師が日本で働くようになると考えている向きは、決して多くはないようです。にもかかわらず「Yes」が多数に上ったのは、患者の立場からすると、受け入れ拡大による目立ったデメリットが感じられないからかもしれません。

 外国人医師に診察を受ける場合、患者にとって大きな問題になると思われるのは、コミュニケーションと医師の質の2点だと考えられます。

 コミュニケーションに関しては賛否両論あり、「海外に10年以上住んだが、どれだけ現地に溶け込んで言葉が話せるようになっても、医療現場でのデリケートで細かい意思表示にはいつも苦労したし、時には大丈夫だろうかとも思った」と不安視する声がある一方で、「外国語(特に英語)に関する意思疎通は、それほど大きな問題ではありませんでした。これは実際の経験から感じたことです」「タイのバンコクに住んでおりますが、いつも利用する病院には日本語を話すタイ人の医師がいます。本当に上手に日本語を話されます」といった楽観論も複数ありました。

 コミュニケーションに関する考え方は人それぞれで、恐らく、受け入れ拡大に反対する決定的な要因にはならなかったのでしょう。

 医師の質に関しても同様で、「外国人医師の医療水準は日本人医師と比べて決して高くありません。また、高度先進医療を行える外国人医師はごく少数に限られており、医療水準の向上は期待薄です」「日本の医療は諸外国に比べて進んでいるのではなく、医療機器だけが若干多く整備されているだけ。現在も持病を治療しているが、外国人医師と比較して知識が優れているかといえば、言うほどの差はない」といった、相反する意見が寄せられています。

 このほかでは、一部、「日本の医師の収入は、その実力に比べて高すぎます。外国人医師の受け入れ拡大は、高すぎる日本の医師の人件費削減に一定の効果を持つものと思われます」といった理由で受け入れ拡大を支持するコメントもありました。ただ、この主張については、医療界からは異論があるところかもしれません。

賛成派の医師が寄せる期待

 今回、受け入れ拡大に「Yes」と回答した医師は4割弱です。その大半は、海外の医師との交流促進による医療レベルの向上を期待しているようです。実際、「他の国の文化を持ったドクターを接することで日本人医師の視野も広がるし、日本から海外に留学する意欲も高まると思います」「日本医療のガラパゴス化を防ぐためには、世界との人事交流が不可欠」「外国人医師を受け入れて診療レベルを上げるべき」といった意見が複数見られました。

 こうして見ると、今回のテーマは、想定されるメリット・デメリットが具体的にイメージしにくく、賛否の判断が難しかったのかもしれません。それゆえ、「だからこそ、受け入れを拡大してみればいい」「であれば、受け入れを拡大する必要はない」のどちらもあり得るわけで、結果的には、患者の多くは前者の考え方を、医師は後者を選んだとも考えられます。

 ただ、前回の記事でも書いたように、外国人医師が日本国内で診療に従事するうえでの条件は、もう少々緩和してもいいというのが私の意見です。日本の国家試験に合格しないと国内では診療できないという基本ルールを堅持していれば、コミュニケーション能力と診療の質はある程度担保されます。そのうえで、臨床修練制度を柔軟に活用して受け入れを拡大すれば、先端医療研究やメディカルツーリズムなどの分野では効果が期待できます。

 また、患者サイドからは異論があるかもしれませんが、日本の医師の労働環境は、先進国の中では非常に厳しいレベルにあるのは確かだと思います。外国人医師の受け入れ拡大は、日本の医師の労働環境を考え直す一つのきっかけになるかもしれません。

 さて、これまで約1年にわたり続けてきた本コラムですが、今回で最終回となります。このコラムは、医師と患者における“情報の非対称性”を少しずつ解消し、相互理解を促したいとの考えから、日本の医療が抱える様々な問題を両者で議論するための場として始めたものです。医療問題を改めて考え、新たな視点や知識を得る機会となったのでしたら、うれしく思います。

 本当にどうもありがとうございました。