2023年6月22日 弁理士試験 代々木塾 意匠法26条の2
(意匠権の移転の特例)第二十六条の二
1 意匠登録が第四十八条第一項第一号に規定する要件に該当するとき(その意匠登録が第十五条第一項において準用する特許法第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は第四十八条第一項第三号に規定する要件に該当するときは、当該意匠登録に係る意匠について意匠登録を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、その意匠権者に対し、当該意匠権の移転を請求することができる。
2 基礎意匠又は関連意匠の意匠権についての前項の規定による請求は、基礎意匠又は関連意匠の意匠権のいずれかの消滅後は、当該消滅した意匠権が第四十九条の規定により初めから存在しなかつたものとみなされたときを除き、することができない。
3 第一項の規定による請求に基づく意匠権の移転の登録があつたときは、その意匠権は、初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなす。当該意匠権に係る意匠についての第六十条の十二第一項の規定による請求権についても、同様とする。
4 共有に係る意匠権について第一項の規定による請求に基づきその持分を移転する場合においては、第三十六条において準用する特許法第七十三条第一項の規定は、適用しない。
〔解説〕
・1項(意匠権の移転の請求)
意匠登録が準特38条違反の過誤登録である場合、意匠登録が48条1項3号(冒認)に該当する場合には、真の権利者は、意匠権の移転を請求することができる。
・2項(基礎意匠又は関連意匠の意匠権の移転の請求の制限)
(1)令和元年改正により、「本意匠」を「基礎意匠」に変更した。
基礎意匠とは、当該関連意匠に係る最初に選択した1の意匠をいう。
(2)関連意匠制度は、重複する権利の併存を同一人に限って認めるものである。意匠権の移転の請求により、基礎意匠の意匠権と関連意匠の意匠権とが別人に帰属することは、関連意匠制度の趣旨に反し、不適切である。22条1項は、基礎意匠の意匠権と関連意匠の意匠権については、分離移転を禁止しているので、26条の2第1項において、基礎意匠の意匠権と関連意匠の意匠権について分離移転となるような移転の請求は認められない。
しかし、基礎意匠の意匠権又は関連意匠の意匠権のいずれかが消滅した後は、22条1項のみでは、存続している基礎意匠の意匠権又は全ての関連意匠の意匠権を一体としてならば、分離移転とならないので、26条の2第1項により移転の請求ができることとなる。そうなると、基礎意匠の意匠権又は関連意匠の意匠権が消滅しても、消滅の効果が遡及するものでないときは、有効に存続していた期間があり、意匠権の移転の請求を認めたとすると、重複した権利が別人に帰属することとなる。そこで、このような事態が生ずることを防止するために、基礎意匠の意匠権又は関連意匠の意匠権のいずれかが消滅した後は、意匠権が初めから存在しなかったものとみなされたときを除き、存続する基礎意匠の意匠権又は関連意匠の意匠権については、移転の請求をすることができないこととした。
・3項(意匠権の移転の効果)
(1)1項の請求により意匠権の移転の登録があったときは、その意匠権は、初めから真の権利者に帰属していたものとみなす。通常の意匠権の移転であれば、移転の登録時から移転後の権利者に帰属することとなる。
(2)平成26年改正によりジュネーブ改正協定に基づく特例が新設され、60条の12第1項において国際意匠登録出願について補償金請求権を認めることとしたので、補償金請求権についても初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなすこととした。
・4項(意匠権が共有に係る場合)
共有に係る意匠権について、1項の請求による意匠権の移転の際に持分を移転するときは、準特73条1項は適用しないこととした。他の共有者の同意を得ることなく、持分を譲渡することができることとなる。
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(意匠権の移転の特例)第二十六条の二
1 意匠登録が第四十八条第一項第一号に規定する要件に該当するとき(その意匠登録が第十五条第一項において準用する特許法第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は第四十八条第一項第三号に規定する要件に該当するときは、当該意匠登録に係る意匠について意匠登録を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、その意匠権者に対し、当該意匠権の移転を請求することができる。
2 基礎意匠又は関連意匠の意匠権についての前項の規定による請求は、基礎意匠又は関連意匠の意匠権のいずれかの消滅後は、当該消滅した意匠権が第四十九条の規定により初めから存在しなかつたものとみなされたときを除き、することができない。
3 第一項の規定による請求に基づく意匠権の移転の登録があつたときは、その意匠権は、初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなす。当該意匠権に係る意匠についての第六十条の十二第一項の規定による請求権についても、同様とする。
4 共有に係る意匠権について第一項の規定による請求に基づきその持分を移転する場合においては、第三十六条において準用する特許法第七十三条第一項の規定は、適用しない。
〔解説〕
・1項(意匠権の移転の請求)
意匠登録が準特38条違反の過誤登録である場合、意匠登録が48条1項3号(冒認)に該当する場合には、真の権利者は、意匠権の移転を請求することができる。
・2項(基礎意匠又は関連意匠の意匠権の移転の請求の制限)
(1)令和元年改正により、「本意匠」を「基礎意匠」に変更した。
基礎意匠とは、当該関連意匠に係る最初に選択した1の意匠をいう。
(2)関連意匠制度は、重複する権利の併存を同一人に限って認めるものである。意匠権の移転の請求により、基礎意匠の意匠権と関連意匠の意匠権とが別人に帰属することは、関連意匠制度の趣旨に反し、不適切である。22条1項は、基礎意匠の意匠権と関連意匠の意匠権については、分離移転を禁止しているので、26条の2第1項において、基礎意匠の意匠権と関連意匠の意匠権について分離移転となるような移転の請求は認められない。
しかし、基礎意匠の意匠権又は関連意匠の意匠権のいずれかが消滅した後は、22条1項のみでは、存続している基礎意匠の意匠権又は全ての関連意匠の意匠権を一体としてならば、分離移転とならないので、26条の2第1項により移転の請求ができることとなる。そうなると、基礎意匠の意匠権又は関連意匠の意匠権が消滅しても、消滅の効果が遡及するものでないときは、有効に存続していた期間があり、意匠権の移転の請求を認めたとすると、重複した権利が別人に帰属することとなる。そこで、このような事態が生ずることを防止するために、基礎意匠の意匠権又は関連意匠の意匠権のいずれかが消滅した後は、意匠権が初めから存在しなかったものとみなされたときを除き、存続する基礎意匠の意匠権又は関連意匠の意匠権については、移転の請求をすることができないこととした。
・3項(意匠権の移転の効果)
(1)1項の請求により意匠権の移転の登録があったときは、その意匠権は、初めから真の権利者に帰属していたものとみなす。通常の意匠権の移転であれば、移転の登録時から移転後の権利者に帰属することとなる。
(2)平成26年改正によりジュネーブ改正協定に基づく特例が新設され、60条の12第1項において国際意匠登録出願について補償金請求権を認めることとしたので、補償金請求権についても初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなすこととした。
・4項(意匠権が共有に係る場合)
共有に係る意匠権について、1項の請求による意匠権の移転の際に持分を移転するときは、準特73条1項は適用しないこととした。他の共有者の同意を得ることなく、持分を譲渡することができることとなる。
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