堤卓の弁理士試験情報

弁理士試験に関する情報を提供します。

特許法16条の解説(18.4.28)

2006-04-28 08:54:04 | Weblog
特許法16条の解説

(手続をする能力がない場合の追認)
第16条

 本条は、特許法7条違反の手続をした場合の救済として追認について規定しています。

第1項
〔未成年者がした手続の追認〕
 手続能力がない未成年者がした手続は、法定代理人が追認することができます。もっとも、追認する時に、未成年者が手続能力を取得しているときは、未成年者のみが追認することができます。
 つまり、追認する時に、未成年者が手続能力を相変わらず取得していないときは法定代理人が追認することができ、未成年者が手続能力を取得しているときは、未成年者が追認することができることになります。
 なお、未成年者が成年に達したときは、法定代理権も消滅し、未成年者のみが追認することができます。

〔成年被後見人がした手続の追認〕
 成年被後見人がした手続は、法定代理人が追認することができます。
 追認する時に後見開始の審判が取り消されている場合には(民法10条)、本人が手続能力を取得していることになりますので、本人が追認することができます。

〔追認の効果〕
 民事訴訟法34条2項と同様に、追認したときは、瑕疵ある手続がされた時に遡及して有効として扱われることになります。将来効ではなくて遡及効です。
 追認は、自発的にすることもできますし、補正命令を受けた場合には指定期間内に追認することもできます。 
 追認は、過去の手続を一体としてしなければなりません。一部の行為のみを追認して他の行為は追認しないという選択はすることができません。

第2項
 代理権がない者(無権代理人)がした手続は、手続をする能力がある本人又は法定代理人が追認することができます。
 手続能力がない未成年者には法定代理人がいますが、法定代理人は、自己の名において復代理人を選任し、又は未成年者の名において任意代理人を選任することができます(方式審査便覧02.20)。この場合は、復代理人または任意代理人が未成年者に代わって手続の代理をすることになります。ところが、復代理人または任意代理人であると称して手続をした者が実は代理権の委任を受けていなかったとすると、無権代理人が手続をしたことになります。この場合は、本項の規定により、法定代理人が追認することができます。
 なお、未成年者が法定代理人の同意を得て任意代理人を選任してその代理人が手続をするということはできません(方式便覧02.20)。

第3項
 被保佐人が保佐人の同意を得ないでした手続は、被保佐人が保佐人の同意を得て追認することができます。
 保佐人は、同意権はありますが、代理権は有しません。したがって、追認するのはあくまでも被保佐人となります。

第4項
 後見監督人がある場合において法定代理人がその同意を得ないでした手続は、後見監督人の同意を得た法定代理人又は手続をする能力を取得した本人が追認することができます。
 後見監督人は、同意権はありますが、代理権を有しませんので、追認できるのは、法定代理人であるか手続能力を取得した本人となります。