特許法42条と国際出願との関係
①先の出願が国内出願で、後の出願が国際出願の場合
先の出願が国内出願ですので、特184条の15第4項は適用されません。そうすると、先の国内出願は、先の国内出願の出願日から1年3月を経過した時に、みなし取下げとなります(特42条1項)。
後の出願が国際出願ですので、国内優先権の主張の取下げは、PCT規則90の2.3により、優先日から30月以内であればすることができます。
しかし、先の国内出願の出願日から1年3月を経過した後に国内優先権の主張を取り下げたとしても、先の出願はみなし取下げとなっていますので、復活することはありません。
② 先の出願が国際出願で、後の出願が国内出願の場合
後の出願が国内出願ですので、優先権の主張に関してPCT8条を適用する義務はありません。わが国では、出願人がパリ条約の優先権又は国内優先権のいずれかを任意に選択することができるとしています。
国内優先権を選択した場合には、先の出願が国際出願ですので、特184条の15第4項が適用されます。そうすると、先の国際出願がみなし取下げとなるのは、国内処理基準時又は国際出願日から1年3月を経過した時のいずれか遅い時となります。
後の出願が国内出願ですので、国内優先権の主張の取下げの時期については、特42条2項が適用され、先の出願の日(国際出願日)から1年3月を経過する時までとなります。
したがって、先の出願の日から1年3月以内に国内優先権の主張を取り下げていない場合(後の国内出願の取下げも含む(特42条3項))には、先の国際出願のみなし取下げを回避することはできないことになります。
③ 先の出願が国際出願で、後の出願も国際出願の場合
国際出願は、みなし全指定となりますので(PCT規則4.9(a))、国際出願の出願時において一の国のみの指定を含む国際出願とすることができないことになります。
PCT8条(2)(b)の「一の国のみの指定を含む国際出願」とは、優先権を発生させる国際出願のことを意味しますので、国際出願の出願時において「一の国のみの指定を含む国際出願」であることが必要となります。
すなわち、パリ条約4条A(3)により、正規の国内出願とは、結果のいかんを問わず、当該国に出願をした日付を確定するために十分なすべての出願をいいますので、国際出願後、一の国以外の他のすべての国の指定の取下げをしたことにより、他のすべての指定国における国際出願がみなし取下げとなったとしても、すべての指定国における正規の出願としての効果は失われないことになります。
したがって、この場合は、PCT8条(2)(b)が適用されることはなく、8条(2)(a)が適用されることになり、パリ条約の優先権となります。すなわち、国内優先権とはならないということになります。
以上が私の最新の理解です。
①先の出願が国内出願で、後の出願が国際出願の場合
先の出願が国内出願ですので、特184条の15第4項は適用されません。そうすると、先の国内出願は、先の国内出願の出願日から1年3月を経過した時に、みなし取下げとなります(特42条1項)。
後の出願が国際出願ですので、国内優先権の主張の取下げは、PCT規則90の2.3により、優先日から30月以内であればすることができます。
しかし、先の国内出願の出願日から1年3月を経過した後に国内優先権の主張を取り下げたとしても、先の出願はみなし取下げとなっていますので、復活することはありません。
② 先の出願が国際出願で、後の出願が国内出願の場合
後の出願が国内出願ですので、優先権の主張に関してPCT8条を適用する義務はありません。わが国では、出願人がパリ条約の優先権又は国内優先権のいずれかを任意に選択することができるとしています。
国内優先権を選択した場合には、先の出願が国際出願ですので、特184条の15第4項が適用されます。そうすると、先の国際出願がみなし取下げとなるのは、国内処理基準時又は国際出願日から1年3月を経過した時のいずれか遅い時となります。
後の出願が国内出願ですので、国内優先権の主張の取下げの時期については、特42条2項が適用され、先の出願の日(国際出願日)から1年3月を経過する時までとなります。
したがって、先の出願の日から1年3月以内に国内優先権の主張を取り下げていない場合(後の国内出願の取下げも含む(特42条3項))には、先の国際出願のみなし取下げを回避することはできないことになります。
③ 先の出願が国際出願で、後の出願も国際出願の場合
国際出願は、みなし全指定となりますので(PCT規則4.9(a))、国際出願の出願時において一の国のみの指定を含む国際出願とすることができないことになります。
PCT8条(2)(b)の「一の国のみの指定を含む国際出願」とは、優先権を発生させる国際出願のことを意味しますので、国際出願の出願時において「一の国のみの指定を含む国際出願」であることが必要となります。
すなわち、パリ条約4条A(3)により、正規の国内出願とは、結果のいかんを問わず、当該国に出願をした日付を確定するために十分なすべての出願をいいますので、国際出願後、一の国以外の他のすべての国の指定の取下げをしたことにより、他のすべての指定国における国際出願がみなし取下げとなったとしても、すべての指定国における正規の出願としての効果は失われないことになります。
したがって、この場合は、PCT8条(2)(b)が適用されることはなく、8条(2)(a)が適用されることになり、パリ条約の優先権となります。すなわち、国内優先権とはならないということになります。
以上が私の最新の理解です。