2022年3月28日 弁理士試験 代々木塾 商標法 その2
(国際登録の取消し後の商標登録出願の特例)第六十八条の三十二
1 議定書第六条(4)の規定により日本国を指定する国際登録の対象であつた商標について、当該国際登録において指定されていた商品又は役務の全部又は一部について当該国際登録が取り消されたときは、当該国際登録の名義人であつた者は、当該商品又は役務の全部又は一部について商標登録出願をすることができる。
2 前項の規定による商標登録出願は、次の各号のいずれにも該当するときは、同項の国際登録の国際登録の日(同項の国際登録が事後指定に係るものである場合は当該国際登録に係る事後指定の日)にされたものとみなす。
一 前項の商標登録出願が同項の国際登録が取り消された日から三月以内にされたものであること。
二 商標登録を受けようとする商標が前項の国際登録の対象であつた商標と同一であること。
三 前項の商標登録出願に係る指定商品又は指定役務が同項の国際登録において指定されていた商品又は役務の範囲に含まれていること。
3 第一項の国際登録に係る国際商標登録出願についてパリ条約第四条の規定による優先権が認められていたときは、同項の規定による商標登録出願に当該優先権が認められる。
4 第一項の国際登録に係る国際商標登録出願について第九条の三又は第十三条第一項において読み替えて準用する特許法第四十三条の二第二項の規定による優先権が認められていたときも、前項と同様とする。
5 第一項の規定による商標登録出願についての第十条第一項の規定の適用については、同項中「商標登録出願の一部」とあるのは、「商標登録出願の一部(第六十八条の三十二第一項の国際登録において指定されていた商品又は役務の範囲に含まれているものに限る。)」とする。
68条の32は、国際登録に基づく商標権又は国際商標登録出願に係る国際登録が取り消されたときの救済手段について、議定書9条の5に基づき規定したものである。
議定書9条の5は、国際登録の日から5年以内に本国官庁の国において、その国際登録の基礎となった商標登録出願又は商標登録についてその効果を失わせるような事態が生じると、その効果を失った範囲において国際登録の保護を受けることができなくなる(議定書6条(3)に規定する場合であり、通常このような事態をセントラルアタックと称している。)。
議定書は、このようなときには国際登録による保護を受けていた締約国に、もとの名義人が国際登録の対象であった商標及び商品又は役務については、再度その締約国において商標登録を出願することを可能とし、かつ、その出願は、国際登録の日(事後指定のときは事後指定の日)までの出願日の遡及効を認めるという、各締約国ごとの救済手段を定めている。
・1項(セントラルアタック後の再出願)
1項は、国際登録が取り消されたときに商標登録出願できる旨を規定するものである。当該商標登録出願がセントラルアタックに起因するものであることを明らかにするために「議定書第六条(4)の規定により」と規定したものである。
また、68条の32の規定の適用を受けることができるのは日本国を指定していた国際登録であることから、「日本国を指定する国際登録」と規定し、保護の失われた一部についての出願も認められることから、「全部又は一部について」と規定したものである。
・2項(再出願の出願日遡及の要件)
2項は、1項の商標登録出願については国際登録の日に出願されたものとみなされる効果とその要件を規定したものである。このような効果は議定書9条の5の規定に基づくものである。
1号は、議定書9条の5(ⅰ)に対応する要件である。
2号は、議定書9条の5本文中の「同一の標章に係る標章登録出願」に対応する要件である。
3号は、議定書9条の5(ⅱ)に対応する要件である。
議定書9条の5(ⅲ)に対応する要件は、68条の32に規定する商標登録出願が商標法に規定する出願に関する他の要件を満たす必要があることである。
・3項(パリ条約4条の優先権)
3項は、議定書9条の5の要請を受けたものであり、議定書上「当該国際登録についてその名義人が優先権を有していた場合には、当該名義人であった者は、同一の優先権を有するものとする。」と規定されていることから、取り消された国際登録にパリ条約4条の規定による優先権が認められていたときには、本条の規定により優先権が認められることになる。
また、このときは議定書の要請により優先権主張手続を再度行うことなく優先権が認められることとなる。
・4項(パリ条約の例による優先権)
4項は、日本国においてはパリ条約の例による優先権主張を認めていることから、このような優先権についても前項と同様に優先権を認めることとしたものである。
・5項(再出願の分割の要件)
5項は、1項の規定による商標登録出願についての出願の分割の特例について規定したものである。
68条の32の規定による商標登録出願は、5項を含めて本節の特例規定を除き通常の商標登録出願と同じ様に扱われるが、適法な商標登録出願の分割に係る新たな商標登録出願は出願時の特例が認められているところ、もとの国際登録において指定した商品又は役務の範囲を超えた内容の商標登録出願をして、その超えた範囲について出願の分割に係る新たな商標登録出願をしたときに、その範囲がもとの出願の範囲内であるがもとの国際登録の範囲外であるような場合にまで、出願時の遡及を認めることは妥当ではないことから、出願の分割のできる範囲について限定したものである。
もしこの規定がないとすれば、次のような不都合が生ずる。国際商標登録出願の指定商品がイとロであるのに対し、再出願の指定商品がイとロとハである場合について考えてみる。再出願に指定商品ハが含まれる限り、拒絶理由となるので再出願は商標登録されることはないが、再出願から指定商品ハを分割したときは、分割出願の効果は再出願の時に遡及する。さらに再出願の要件を満たしている場合には(指定商品ハは分割時に削除している)、再出願の出願日は国際登録の日まで遡及する。そうすると、指定商品ハについてまで国際登録の日にされたものとなり、先願主義に反することとなる。そこで、指定商品ハについては分割することができないこととした。
・セントラルアタック
国際登録の基礎となっている締約国の商標登録出願又は商標登録の失効により、その失効した範囲の限度で、その国際登録の保護がされている締約国の商標の保護が失われることをいう。
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(国際登録の取消し後の商標登録出願の特例)第六十八条の三十二
1 議定書第六条(4)の規定により日本国を指定する国際登録の対象であつた商標について、当該国際登録において指定されていた商品又は役務の全部又は一部について当該国際登録が取り消されたときは、当該国際登録の名義人であつた者は、当該商品又は役務の全部又は一部について商標登録出願をすることができる。
2 前項の規定による商標登録出願は、次の各号のいずれにも該当するときは、同項の国際登録の国際登録の日(同項の国際登録が事後指定に係るものである場合は当該国際登録に係る事後指定の日)にされたものとみなす。
一 前項の商標登録出願が同項の国際登録が取り消された日から三月以内にされたものであること。
二 商標登録を受けようとする商標が前項の国際登録の対象であつた商標と同一であること。
三 前項の商標登録出願に係る指定商品又は指定役務が同項の国際登録において指定されていた商品又は役務の範囲に含まれていること。
3 第一項の国際登録に係る国際商標登録出願についてパリ条約第四条の規定による優先権が認められていたときは、同項の規定による商標登録出願に当該優先権が認められる。
4 第一項の国際登録に係る国際商標登録出願について第九条の三又は第十三条第一項において読み替えて準用する特許法第四十三条の二第二項の規定による優先権が認められていたときも、前項と同様とする。
5 第一項の規定による商標登録出願についての第十条第一項の規定の適用については、同項中「商標登録出願の一部」とあるのは、「商標登録出願の一部(第六十八条の三十二第一項の国際登録において指定されていた商品又は役務の範囲に含まれているものに限る。)」とする。
68条の32は、国際登録に基づく商標権又は国際商標登録出願に係る国際登録が取り消されたときの救済手段について、議定書9条の5に基づき規定したものである。
議定書9条の5は、国際登録の日から5年以内に本国官庁の国において、その国際登録の基礎となった商標登録出願又は商標登録についてその効果を失わせるような事態が生じると、その効果を失った範囲において国際登録の保護を受けることができなくなる(議定書6条(3)に規定する場合であり、通常このような事態をセントラルアタックと称している。)。
議定書は、このようなときには国際登録による保護を受けていた締約国に、もとの名義人が国際登録の対象であった商標及び商品又は役務については、再度その締約国において商標登録を出願することを可能とし、かつ、その出願は、国際登録の日(事後指定のときは事後指定の日)までの出願日の遡及効を認めるという、各締約国ごとの救済手段を定めている。
・1項(セントラルアタック後の再出願)
1項は、国際登録が取り消されたときに商標登録出願できる旨を規定するものである。当該商標登録出願がセントラルアタックに起因するものであることを明らかにするために「議定書第六条(4)の規定により」と規定したものである。
また、68条の32の規定の適用を受けることができるのは日本国を指定していた国際登録であることから、「日本国を指定する国際登録」と規定し、保護の失われた一部についての出願も認められることから、「全部又は一部について」と規定したものである。
・2項(再出願の出願日遡及の要件)
2項は、1項の商標登録出願については国際登録の日に出願されたものとみなされる効果とその要件を規定したものである。このような効果は議定書9条の5の規定に基づくものである。
1号は、議定書9条の5(ⅰ)に対応する要件である。
2号は、議定書9条の5本文中の「同一の標章に係る標章登録出願」に対応する要件である。
3号は、議定書9条の5(ⅱ)に対応する要件である。
議定書9条の5(ⅲ)に対応する要件は、68条の32に規定する商標登録出願が商標法に規定する出願に関する他の要件を満たす必要があることである。
・3項(パリ条約4条の優先権)
3項は、議定書9条の5の要請を受けたものであり、議定書上「当該国際登録についてその名義人が優先権を有していた場合には、当該名義人であった者は、同一の優先権を有するものとする。」と規定されていることから、取り消された国際登録にパリ条約4条の規定による優先権が認められていたときには、本条の規定により優先権が認められることになる。
また、このときは議定書の要請により優先権主張手続を再度行うことなく優先権が認められることとなる。
・4項(パリ条約の例による優先権)
4項は、日本国においてはパリ条約の例による優先権主張を認めていることから、このような優先権についても前項と同様に優先権を認めることとしたものである。
・5項(再出願の分割の要件)
5項は、1項の規定による商標登録出願についての出願の分割の特例について規定したものである。
68条の32の規定による商標登録出願は、5項を含めて本節の特例規定を除き通常の商標登録出願と同じ様に扱われるが、適法な商標登録出願の分割に係る新たな商標登録出願は出願時の特例が認められているところ、もとの国際登録において指定した商品又は役務の範囲を超えた内容の商標登録出願をして、その超えた範囲について出願の分割に係る新たな商標登録出願をしたときに、その範囲がもとの出願の範囲内であるがもとの国際登録の範囲外であるような場合にまで、出願時の遡及を認めることは妥当ではないことから、出願の分割のできる範囲について限定したものである。
もしこの規定がないとすれば、次のような不都合が生ずる。国際商標登録出願の指定商品がイとロであるのに対し、再出願の指定商品がイとロとハである場合について考えてみる。再出願に指定商品ハが含まれる限り、拒絶理由となるので再出願は商標登録されることはないが、再出願から指定商品ハを分割したときは、分割出願の効果は再出願の時に遡及する。さらに再出願の要件を満たしている場合には(指定商品ハは分割時に削除している)、再出願の出願日は国際登録の日まで遡及する。そうすると、指定商品ハについてまで国際登録の日にされたものとなり、先願主義に反することとなる。そこで、指定商品ハについては分割することができないこととした。
・セントラルアタック
国際登録の基礎となっている締約国の商標登録出願又は商標登録の失効により、その失効した範囲の限度で、その国際登録の保護がされている締約国の商標の保護が失われることをいう。
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