2022年2月22日 弁理士試験 代々木塾 特許法
(外国語でされた国際特許出願の翻訳文)第百八十四条の四
1 外国語でされた国際特許出願(以下「外国語特許出願」という。)の出願人は、条約第二条(xi)の優先日(以下「優先日」という。)から二年六月(以下「国内書面提出期間」という。)以内に、前条第一項に規定する国際出願日(以下「国際出願日」という。)における条約第三条(2)に規定する明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。以下この条において同じ。)及び要約の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。
ただし、国内書面提出期間の満了前二月から満了の日までの間に次条第一項に規定する書面を提出した外国語特許出願(当該書面の提出の日以前に当該翻訳文を提出したものを除く。)にあつては、当該書面の提出の日から二月(以下「翻訳文提出特例期間」という。)以内に、当該翻訳文を提出することができる。
〔解説〕
PCTに基づく国際出願であって国際出願日が認められたものは、各指定国において国際出願日から正規の国内出願としての効果を有することとされているが(PCT11条(3))、PCTは、一方で、出願人は指定官庁・選択官庁に対し、所定の期間内に翻訳文等の提出をしなければならない旨を規定することができる旨を規定する(PCT22条、39条)とともに、その手続が所定の期間内にされないときは、国際出願の国内出願としての効果は指定国において当該指定国における国内出願の取下げの効果と同一の効果をもって消滅すると規定している(PCT24条(1)、39条(2))。
このようなPCTの規定に対し、翻訳文の提出を求めないという選択も可能であるが、日本国においては、権利は日本語で設定されることとなっていることから、日本国としては翻訳文を求めることとし、その旨を明確にするとともに、提出された翻訳文の取扱いについて定めたのが184条の4である。
・1項(翻訳文の提出)
(1)1項は、翻訳文を提出する期限及び提出すべき翻訳文の対象について規定している。
1項は、外国語でされた国際特許出願(外国語特許出願)の出願人は、優先日から2年6月以内(2年6月の満了前2月から満了の日までの間に184条の5第1項に規定する書面を提出した場合にあっては、その提出の日から2月以内)に国際出願日における明細書、請求の範囲、図面の中の説明及び要約の日本語による翻訳文を提出しなければならない旨を規定している。
(2)昭和60年改正(願書)
国際出願日における願書の翻訳文については、手続の簡素化の観点及び願書の様式は世界的に統一されたものであり、外国語特許出願であってもその翻訳文を提出するには及ばないことから、昭和60年改正により提出を要しないこととした。
(3)昭和60年改正(図面)
図面の翻訳文については、昭和59年2月のPCT同盟総会の決定により、PCT22条(1)に規定する所定の翻訳文の内容及び提出手続等が明確化された(PCT規則49.5)ことに伴い、昭和60年改正において、図面については図面の中に説明がある場合に限り、その図面の中の説明の翻訳文を提出することとし、図面中説明を除く部分については翻訳文として提出する必要がないこととした。
(4)平成2年改正
要約の翻訳文は、平成2年改正において国内出願をする際に要約書を提出することを義務付けた(36条2項)ことに伴い、提出すべきこととした。
(5)昭和62年改正
昭和62年改正前は、日本国では、国際特許出願についての翻訳文の提出期間は、国際予備審査請求の有無にかかわらず一律に優先日から1年8月とすることとしていた。
しかし、昭和62年改正により、留保していたPCT39条(1)(a)の規定を適用することとしたことに伴い、優先日から1年7月以内に国際予備審査の請求をし、かつ、日本国を選択国として選択した国際特許出願の翻訳文の提出にあっては、優先日から2年6月以内とすることとなった。
すなわち、PCT22条及び39条の規定に準拠して、外国語特許出願については、日本語による翻訳文の提出を求めるとともに、その提出の期限としてPCT22条(1)、(2)及び39条(1)(a)によることとし、PCT22条(3)及び39条(1)(b)は選択しないこととした。
(6)平成14年改正(PCT22条の改正)
平成13年9月のPCT22条の改正前においては、国内移行期間として20月と30月とが存在する制度の下で、PCTを利用する出願人は、国内移行の判断に要する期間として20月ではなく30月の期間を得るために国際予備審査の請求をするという事態が少なからず発生しており、毎年10パーセント以上の伸び率で増加する出願件数とあいまって、日・米・欧の特許庁では、国際予備審査報告の作成負担の増大という問題を抱えていた。
そこで、国内移行期間の30月を得ることを目的とした国際予備審査の請求の抑制を図るため、PCT22条に規定する国内移行期間の20月を30月とする改正が、平成13年9月のPCT同盟総会において採択された。
これに伴い、平成14年改正により、国際特許出願の翻訳文の提出期限を国際予備審査の請求の有無にかかわらず一律に優先日から2年6月とした。
(7)平成14年改正(翻訳文提出特例期間)
出願人が国内段階に移行するための判断は、特許権取得の可能性、事業化の可能性を含めて慎重に行うため、多くの出願の場合、この最終的な判断が国内移行期限の間近になるということが少なくない。
この場合、国内出願の際に提出が必要となる翻訳文の作成期間が圧迫されることになり、代理人の負担が増大するとともに、品質の十分でない翻訳文が提出される要因となっている。
このような翻訳文は、審査効率を著しく低下させるもので、特許庁の審査処理の遅延の一因となるばかりか、公開情報として頒布されても却って技術内容の把握等に支障をきたすこととなる。
PCT22条(3)及び39条(1)(b)は、国内法令により、翻訳文等の提出期間としてPCT22条(1)及び39条(1)(a)に定める期間より遅いときに満了する期間を定めることができる旨を規定しており、これに基づき、平成14年改正において、審査効率の向上かつ審査処理の促進を図るため、国内移行手続である184条の5第1項に規定する書面の提出から2月以内に翻訳文を提出できることとした。
この国際特許出願の翻訳文の提出期限及びただし書により延長された翻訳文の提出期限は、他の条文において頻繁に引用されることから、それぞれ「国内書面提出期間」、「翻訳文提出特例期間」との略称規定を設けた。
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(外国語でされた国際特許出願の翻訳文)第百八十四条の四
1 外国語でされた国際特許出願(以下「外国語特許出願」という。)の出願人は、条約第二条(xi)の優先日(以下「優先日」という。)から二年六月(以下「国内書面提出期間」という。)以内に、前条第一項に規定する国際出願日(以下「国際出願日」という。)における条約第三条(2)に規定する明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。以下この条において同じ。)及び要約の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。
ただし、国内書面提出期間の満了前二月から満了の日までの間に次条第一項に規定する書面を提出した外国語特許出願(当該書面の提出の日以前に当該翻訳文を提出したものを除く。)にあつては、当該書面の提出の日から二月(以下「翻訳文提出特例期間」という。)以内に、当該翻訳文を提出することができる。
〔解説〕
PCTに基づく国際出願であって国際出願日が認められたものは、各指定国において国際出願日から正規の国内出願としての効果を有することとされているが(PCT11条(3))、PCTは、一方で、出願人は指定官庁・選択官庁に対し、所定の期間内に翻訳文等の提出をしなければならない旨を規定することができる旨を規定する(PCT22条、39条)とともに、その手続が所定の期間内にされないときは、国際出願の国内出願としての効果は指定国において当該指定国における国内出願の取下げの効果と同一の効果をもって消滅すると規定している(PCT24条(1)、39条(2))。
このようなPCTの規定に対し、翻訳文の提出を求めないという選択も可能であるが、日本国においては、権利は日本語で設定されることとなっていることから、日本国としては翻訳文を求めることとし、その旨を明確にするとともに、提出された翻訳文の取扱いについて定めたのが184条の4である。
・1項(翻訳文の提出)
(1)1項は、翻訳文を提出する期限及び提出すべき翻訳文の対象について規定している。
1項は、外国語でされた国際特許出願(外国語特許出願)の出願人は、優先日から2年6月以内(2年6月の満了前2月から満了の日までの間に184条の5第1項に規定する書面を提出した場合にあっては、その提出の日から2月以内)に国際出願日における明細書、請求の範囲、図面の中の説明及び要約の日本語による翻訳文を提出しなければならない旨を規定している。
(2)昭和60年改正(願書)
国際出願日における願書の翻訳文については、手続の簡素化の観点及び願書の様式は世界的に統一されたものであり、外国語特許出願であってもその翻訳文を提出するには及ばないことから、昭和60年改正により提出を要しないこととした。
(3)昭和60年改正(図面)
図面の翻訳文については、昭和59年2月のPCT同盟総会の決定により、PCT22条(1)に規定する所定の翻訳文の内容及び提出手続等が明確化された(PCT規則49.5)ことに伴い、昭和60年改正において、図面については図面の中に説明がある場合に限り、その図面の中の説明の翻訳文を提出することとし、図面中説明を除く部分については翻訳文として提出する必要がないこととした。
(4)平成2年改正
要約の翻訳文は、平成2年改正において国内出願をする際に要約書を提出することを義務付けた(36条2項)ことに伴い、提出すべきこととした。
(5)昭和62年改正
昭和62年改正前は、日本国では、国際特許出願についての翻訳文の提出期間は、国際予備審査請求の有無にかかわらず一律に優先日から1年8月とすることとしていた。
しかし、昭和62年改正により、留保していたPCT39条(1)(a)の規定を適用することとしたことに伴い、優先日から1年7月以内に国際予備審査の請求をし、かつ、日本国を選択国として選択した国際特許出願の翻訳文の提出にあっては、優先日から2年6月以内とすることとなった。
すなわち、PCT22条及び39条の規定に準拠して、外国語特許出願については、日本語による翻訳文の提出を求めるとともに、その提出の期限としてPCT22条(1)、(2)及び39条(1)(a)によることとし、PCT22条(3)及び39条(1)(b)は選択しないこととした。
(6)平成14年改正(PCT22条の改正)
平成13年9月のPCT22条の改正前においては、国内移行期間として20月と30月とが存在する制度の下で、PCTを利用する出願人は、国内移行の判断に要する期間として20月ではなく30月の期間を得るために国際予備審査の請求をするという事態が少なからず発生しており、毎年10パーセント以上の伸び率で増加する出願件数とあいまって、日・米・欧の特許庁では、国際予備審査報告の作成負担の増大という問題を抱えていた。
そこで、国内移行期間の30月を得ることを目的とした国際予備審査の請求の抑制を図るため、PCT22条に規定する国内移行期間の20月を30月とする改正が、平成13年9月のPCT同盟総会において採択された。
これに伴い、平成14年改正により、国際特許出願の翻訳文の提出期限を国際予備審査の請求の有無にかかわらず一律に優先日から2年6月とした。
(7)平成14年改正(翻訳文提出特例期間)
出願人が国内段階に移行するための判断は、特許権取得の可能性、事業化の可能性を含めて慎重に行うため、多くの出願の場合、この最終的な判断が国内移行期限の間近になるということが少なくない。
この場合、国内出願の際に提出が必要となる翻訳文の作成期間が圧迫されることになり、代理人の負担が増大するとともに、品質の十分でない翻訳文が提出される要因となっている。
このような翻訳文は、審査効率を著しく低下させるもので、特許庁の審査処理の遅延の一因となるばかりか、公開情報として頒布されても却って技術内容の把握等に支障をきたすこととなる。
PCT22条(3)及び39条(1)(b)は、国内法令により、翻訳文等の提出期間としてPCT22条(1)及び39条(1)(a)に定める期間より遅いときに満了する期間を定めることができる旨を規定しており、これに基づき、平成14年改正において、審査効率の向上かつ審査処理の促進を図るため、国内移行手続である184条の5第1項に規定する書面の提出から2月以内に翻訳文を提出できることとした。
この国際特許出願の翻訳文の提出期限及びただし書により延長された翻訳文の提出期限は、他の条文において頻繁に引用されることから、それぞれ「国内書面提出期間」、「翻訳文提出特例期間」との略称規定を設けた。
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