2024年4月13日 弁理士試験 代々木塾 意匠法 意匠権の侵害
問題
甲は、蓋と本体との両方に特徴のある、「蓋」と「シャンプー容器本体」からなる「蓋つきシャンプー容器」の意匠イについて意匠登録出願をし、意匠イについて意匠登録を受けている。
次の記載は、適切であるといえるか。
乙が、甲の意匠イの意匠登録後、意匠イのうち「蓋」と同一の意匠の蓋Xを、甲の許諾なく製造した丙から国内で譲り受けて、業として輸出した。
乙は、当該輸出時に、蓋Xが、意匠イの「シャンプー容器本体」に取り付けられる蓋であり、意匠イの視覚を通じた美感の創出に不可欠であること、蓋Xの意匠が意匠イのうち「蓋」と同一であること及び蓋Xが意匠イの「シャンプー容器本体」に用いられることを知っていた。
この場合、甲は、乙の上記行為に対して、意匠権侵害に基づく差止請求をすることができない。
解答
意匠法38条柱書は「次に掲げる行為は、当該意匠権又は専用実施権を侵害するものとみなす。」と規定している。
意匠法38条2号は「登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造に用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等(これらが日本国内において広く一般に流通しているものである場合を除く。)であつて当該登録意匠又はこれに類似する意匠の視覚を通じた美感の創出に不可欠なものにつき、その意匠が登録意匠又はこれに類似する意匠であること及びその物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等がその意匠の実施に用いられることを知りながら、業として行う次のいずれかに該当する行為
イ 当該製造に用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
ロ 当該製造に用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為」と規定している。
乙は、意匠イのうち「蓋」と同一の意匠の蓋Xを、甲の許諾なく製造した丙から国内で譲り受けて、業として輸出している。
「輸出」は、意匠法38条2号の行為に該当しない。意匠権の効力の不当な拡張になるからである。
乙は、当該輸出時に、蓋Xが、意匠イの「シャンプー容器本体」に取り付けられる蓋であり、意匠イの視覚を通じた美感の創出に不可欠であること、蓋Xの意匠が意匠イのうち「蓋」と同一であること及び蓋Xが意匠イの「シャンプー容器本体」に用いられることを知っていたとしても、甲は、乙の上記行為(輸出)に対して、意匠権侵害に基づく差止請求をすることができない。
よって、本問の記載は、適切である。
問題
甲は、蓋と本体との両方に特徴のある、「蓋」と「シャンプー容器本体」からなる「蓋つきシャンプー容器」の意匠イについて意匠登録出願をし、意匠イについて意匠登録を受けている。
次の記載は、適切であるといえるか。
乙が、甲の意匠イの意匠登録後、意匠イのうち「蓋」と同一の意匠の蓋Xを、甲の許諾なく製造した丙から国内で譲り受けて、業として輸出した。
乙は、当該輸出時に、蓋Xが、意匠イの「シャンプー容器本体」に取り付けられる蓋であり、意匠イの視覚を通じた美感の創出に不可欠であること、蓋Xの意匠が意匠イのうち「蓋」と同一であること及び蓋Xが意匠イの「シャンプー容器本体」に用いられることを知っていた。
この場合、甲は、乙の上記行為に対して、意匠権侵害に基づく差止請求をすることができない。
解答
意匠法38条柱書は「次に掲げる行為は、当該意匠権又は専用実施権を侵害するものとみなす。」と規定している。
意匠法38条2号は「登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造に用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等(これらが日本国内において広く一般に流通しているものである場合を除く。)であつて当該登録意匠又はこれに類似する意匠の視覚を通じた美感の創出に不可欠なものにつき、その意匠が登録意匠又はこれに類似する意匠であること及びその物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等がその意匠の実施に用いられることを知りながら、業として行う次のいずれかに該当する行為
イ 当該製造に用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をする行為
ロ 当該製造に用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をする行為」と規定している。
乙は、意匠イのうち「蓋」と同一の意匠の蓋Xを、甲の許諾なく製造した丙から国内で譲り受けて、業として輸出している。
「輸出」は、意匠法38条2号の行為に該当しない。意匠権の効力の不当な拡張になるからである。
乙は、当該輸出時に、蓋Xが、意匠イの「シャンプー容器本体」に取り付けられる蓋であり、意匠イの視覚を通じた美感の創出に不可欠であること、蓋Xの意匠が意匠イのうち「蓋」と同一であること及び蓋Xが意匠イの「シャンプー容器本体」に用いられることを知っていたとしても、甲は、乙の上記行為(輸出)に対して、意匠権侵害に基づく差止請求をすることができない。
よって、本問の記載は、適切である。