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2023年2月3日 弁理士試験 代々木塾 特許法46条の2第2項

2023-02-03 05:08:51 | Weblog
2023年2月3日 弁理士試験 代々木塾 特許法46条の2第2項

(実用新案登録に基づく特許出願)第四十六条の二
2 前項の規定による特許出願は、その願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が当該特許出願の基礎とされた実用新案登録の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にあるものに限り、その実用新案登録に係る実用新案登録出願の時にしたものとみなす。ただし、その特許出願が第二十九条の二に規定する他の特許出願又は実用新案法第三条の二に規定する特許出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用並びに第三十条第三項、第三十六条の二第二項ただし書及び第四十八条の三第二項の規定の適用については、この限りでない。

〔解説〕

・46条の2第2項本文(遡及的効果)

(1)46条の2第2項本文は、実用新案登録に基づく特許出願の出願時が遡及する旨及びそのための要件について規定している。

(2)実用新案登録に基づく特許出願の時には、実用新案登録出願ではなく実用新案登録が存在しているため、その特許出願は実用新案登録に基づくこととしている。したがって、実用新案登録に基づく特許出願の明細書等に記載した事項がその実用新案登録の願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内であるときに限り、実用新案登録に基づく特許出願はその実用新案登録に係る実用新案登録出願時にしたものとみなすこととした(46条の2第2項本文)。

(3)特許出願の願書に添付した明細書等に記載した事項とは、出願時遡及の要件を判断する時点(査定時)における明細書等に記載した事項を意味する。適法な補正がされたときは、補正後の記載事項を意味する。

(4)基礎とされた実用新案登録の願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内とは、実用新案権の設定の登録時(訂正がされている場合は訂正後)の明細書等に記載した事項の範囲内を意味する。

(5)実用新案権の設定の登録時の明細書等に記載されている発明であっても、出願当初の明細書等に記載されていなかった発明については、出願時の遡及効は認められない。出願時からみて新規事項が含まれている場合に遡及効を認めるのは、先願主義に反するからである。

(6)明細書等の補正及び訂正においては、新規事項の追加が禁止されているため(実2条の2第2項及び14条の2第3項)、不適法な補正又は訂正がされない限り、実用新案登録の願書に添付した明細書等に記載した事項は、実用新案登録に係る実用新案登録出願の願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内となる。

(7)記載した事項が範囲外である場合は、出願時が遡及せず、実用新案登録に基づく特許出願は、通常は、基礎とした実用新案登録の実用新案掲載公報によって新規性がないとして拒絶されることとなる(29条1項3号、49条2号)。

(8)特許実用新案審査基準
 実用新案登録に基づく特許出願がその実用新案登録に係る実用新案登録出願の時にしたものとみなされるという実用新案登録に基づく特許出願の効果を考慮すると、以下の(要件1)に加えて、以下の(要件2)も満たされる必要がある。
(要件1)実用新案登録に基づく特許出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が、その特許出願の基礎とされた実用新案登録に係る実用新案登録出願の登録時の明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面(明細書等)に記載した事項の範囲内であること(46条の2第2項)。 
(要件2)実用新案登録に基づく特許出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が、その特許出願の基礎とされた実用新案登録に係る実用新案登録出願の出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内であること。
 (要件1)において、実用新案登録後に明細書等の訂正があったときは、「訂正後の」明細書等が、実用新案登録に係る実用新案登録出願の登録時の明細書等となる(実用新案法14条の2第11項)。

・46条の2第2項ただし書(遡及しない場合)

(1)46条の2第2項ただし書においては、実用新案登録に基づく特許出願の出願時遡及の例外を規定している。
 特許出願の分割の規定である44条2項ただし書に規定されている例外に加え、48条の3第2項も例外の対象としている。

(2)平成26年改正前の41条4項及び43条1項は、新たな特許出願については適用しない旨を規定していたが、平成26年改正により、41条4項及び43条1項を改正し、経済産業省令で定める期間内は優先権の主張が可能となることから、44条2項を改正し、新たな特許出願について、これらの規定の適用除外は行わないこととした。

(3)平成18年改正により、36条の2が改正され、実用新案登録に係る実用新案登録出願の出願から1年以内に実用新案登録に基づく外国語書面出願を行った場合の翻訳文提出期間が、実用新案登録に係る実用新案登録出願の出願日から1年2月以内となるとともに、実用新案登録に係る実用新案登録出願の出願から1年以上経過後の実用新案登録に基づく外国語書面出願についての翻訳文提出期間は外国語書面出願の出願日から2月以内となったことに伴い、36条の2第2項本文に規定する「特許出願の日」のみを実用新案登録に係る実用新案登録出願の出願日とみなすための改正を行った。

(4)実用新案登録に基づく特許出願が29条の2の他の特許出願に該当する場合には、出願日は遡及しない。
 その趣旨は、分割出願の場合と同様である。

(5)実用新案登録に基づく特許出願が実用新案法3条の2の他の特許出願に該当する場合には、出願日は遡及しない。
 その趣旨は、分割出願の場合と同様である。

(6)実用新案登録に基づく特許出願において30条3項(新規性の喪失の例外の手続)の手続をするときは、出願時は遡及しない。
 手続の期間を確保するためである。

(7)実用新案登録に基づく特許出願が外国語書面出願の場合の翻訳文提出期間の1年4月については(36条の2第2項本文)、出願日が遡及した実用新案登録出願の日を基準とする。
 36条の2第2項ただし書の2月については、出願日が遡及しない現実の特許出願の日を基準とする。

(8)実用新案登録に基づく特許出願については、48条の3第2項の「特許出願の日」とは、遡及しない現実の日を意味する。


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