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18.8.19 特許法第36条の2

2006-08-19 08:16:18 | Weblog
特許法第36条の2

1項
 特許を受けようとする者は、前条第2項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第3項から第6項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条第7項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。

・特許を受けようとする者
 特許出願前ですので、「出願人」という表現を使用できません。したがって、「特許を受けようとする者」という表現を使用しています。
・経済産業省令で定める外国語
 特許法施行規則25条の4により、英語となっています。将来的には英語以外の言語も受け付ける可能性があります。
・外国語書面
 わが国の明細書、特許請求の範囲、図面に相当する書面をいいます。
・外国語要約書面
 わが国の要約書に相当する書面をいいます。
・メリット
 36条1項の特許出願の場合は、出願書類はすべて日本語で作成する必要がありますが、外国語書面出願を利用した場合には、願書のみを日本語で作成し、明細書、特許請求の範囲又は図面については英語のままでよいことから、優先権の主張を伴う特許出願を優先期間のぎりぎりにする場合に利用することができます。優先期間内に外国語書面出願をした後、優先期間が経過した後に外国語書面の翻訳文を提出することができます。

2項
 前項の規定により外国語書面及び外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日から1年2月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。
 ただし、当該外国語書面出願が第44条第1項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第46条第1項若しくは第2項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第46条の2第1項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあっては、本文の期間の経過後であっても、その特許出願の分割、変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から2月以内に限り、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。

・1年2月以内
 平成18年改正法により、従来の「2月」から「1年2月」に延長されました。これにより、先の外国語書面出願に基づく優先権を主張して後の外国語書面出願をする場合に、優先期間の1年ぎりぎりに後の外国語書面出願をすることができることになりました。つまり、先の外国語書面出願について外国語書面の翻訳文を提出することなく、後の外国語書面出願をすることができることになりました。これは出願人にとって大きなメリットになります。
・ただし書
 ただし書は、平成18年改正法により新設されたものです。
 もとの出願の日から1年2月経過後に外国語書面出願による分割出願がされた場合には、分割の日から2月以内に翻訳文を提出することができます。
 もとの出願の日から1年2月経過後に外国語書面出願による変更出願がされた場合には、変更の日から2月以内に翻訳文を提出することができます。
 基礎出願の日から1年2月経過後に外国語書面出願による実用新案登録に基づく特許出願がされた場合には、遡及しない特許出願の日(46条の2第2項ただし書)から2月以内に翻訳文を提出することができます。
 ただし書は、分割、変更又は実用新案登録に基づく特許出願を外国語書面出願によりした場合に適用されるものです。

3項
 前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の同項に規定する翻訳文の提出がなかったときは、その特許出願は、取り下げられたものとみなす。

・外国語書面のうち、明細書及び特許請求の範囲に相当する部分の翻訳文の提出がされなかった場合には、外国語書面出願はみなし取下げとなります。
 ただし、図面に相当する部分の翻訳文が提出されなくても、そのことのみにより外国語書面出願がみなし取下げとなることはありません。特許出願においては図面は必須の書面ではないからです。
・取り下げられたものとみなす
 特許庁長官の処分ではありませんので、直接の不服申立てはすることができません。

4項
 第2項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面と、第2項に規定する外国語要約書面の翻訳文は前条第2項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。

・外国語書面に図面が含まれる場合
 外国語書面のうち、明細書と特許請求の範囲に相当する部分の翻訳文を提出したが、図面に相当する部分の翻訳文を提出しなかった場合は、外国語書面出願の願書には「図面」が添付されていなかったものとみなされることになります。外国語書面出願には図面はなかったものとみなされることになります。
 しかし、外国語書面には図面に相当する部分がありますので、誤訳訂正書により図面に相当する部分を追加する補正をすることができます。
 つまり、外国語書面出願の願書には図面は添付されていなかったものとみなされますが、外国語書面に図面が記載されていなかったものとみなされることはありません。